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ドブル (Dobble / Spot it!) 自作 (6): 派生版のアイデア帖

Last updated at Posted at 2024-10-05

はじめに

本記事では、ドブルの派生版について、思いつきのアイデアを並べてみます。

以下はこれまでの記事です。

アイデア1: シンボルIDを属性IDと考える

概要

例えば以下のデッキがあるとします。各行が各カードに対応します。

\begin{matrix}
1 & 2 & 3 & 10 \\
1 & 5 & 9 & 11 \\
1 & 8 & 6 & 12 \\
1 & 4 & 7 & 13 \\
... & ... & ... & ...
\end{matrix}

通常は、各シンボルIDが同じ場合、同じ絵を使います。上記の例で示したカードは4枚ともシンボルID: 1 を共有し、それらはすべて同じ絵、ということです。

これを、同じ属性を持つ異なる絵、に変えてみます。これによって、同じ絵を探す、のではなく同じ属性を持つ絵を探す、になります。

属性の例

  • 色を表す言葉
    • シンボルID: 1 は「黒を表す文字」
      • カード 1 のシンボルID 1 は、「くろ」
      • カード 2 のシンボルID 1 は、「クロ」
      • カード 3 のシンボルID 1 は、「黒」
      • カード 4 のシンボルID 1 は、「black」
  • ポケモンのタイプ
    • シンボルID: 1 は「ほのおタイプのポケモン」
      • カード 1 のシンボルID 1 は、ヒトカゲ
      • カード 2 のシンボルID 1 は、ロコン
      • カード 3 のシンボルID 1 は、ガーディ
      • カード 4 のシンボルID 1 は、ファイヤー
  • 計算結果が同じになる数式1
    • シンボルID: 1 は「計算結果が5」
      • カード 1 のシンボルID 1 は、$3 + 2$
      • カード 2 のシンボルID 1 は、$10 \div 2$
      • カード 3 のシンボルID 1 は、$5 \times 1$
      • カード 4 のシンボルID 1 は、$8 - 3$
  • 直交基底(いずれの組み合わせも内積が $0$ になるベクトル群)
    • シンボルID: 1 は「 GF(7) における 5 次元空間中の 4 次元部分空間の直交基底」
      • カード 1 のシンボルID 1 は、$\left( 5 \quad 5 \quad 0 \quad 0 \quad 1 \right)_{GF(7)}$
      • カード 2 のシンボルID 1 は、$\left( 6 \quad 1 \quad 6 \quad 6 \quad 0 \right)_{GF(7)}$
      • カード 3 のシンボルID 1 は、$\left( 0 \quad 1 \quad 1 \quad 0 \quad 2 \right)_{GF(7)}$
      • カード 4 のシンボルID 1 は、$\left( 1 \quad 3 \quad 2 \quad 0 \quad 1 \right)_{GF(7)}$
    • これはほかのパターンと違って「 1 つずつのシンボル(絵)を見ても属性はわからず、 2 つのシンボルを比較して初めて明らかになる属性」なので、(ゲーム性はさておき)おもしろいパターンかと思います

実例

以下はカードあたりのシンボル数 $3$ で、「 2 枚のカードに『同じ色を表す言葉』が共通」するデッキです。文字色は適当に付けたお邪魔虫です。

image.png

昔、こういう脳トレのゲームがあったような……

アイデア2: 各シンボルに二重の属性を持たせる

1 つのシンボルに複数の属性を与える、という派生形です。デッキはガッチャンコ方式で作ります。

作り方

まず 2 つのデッキを作って並べます。

\begin{array}{ccc|ccc}
0 & 1 & 4 & A & B & E \\
2 & 3 & 4 & C & D & E \\
0 & 3 & 5 & A & D & F \\
2 & 1 & 5 & C & B & F \\
0 & 2 & 6 & A & C & G \\
1 & 3 & 6 & B & D & G \\
4 & 5 & 6 & E & F & G \\
\end{array}

両デッキにおいて、例えば数字のデッキを「『形』デッキ」、アルファベットのデッキを「『色』デッキ」とします。「『形』デッキ」では、 0 は丸、 1 は三角、などを属性として与えて、「『色』デッキ」では、 A を赤、 B を青、などの属性を与えます。

次に、片方のデッキを 1 列左にシフトさせます。

\begin{array}{ccc|ccc}
0 & 1 & 4 & B & E & A \\
2 & 3 & 4 & D & E & C \\
0 & 3 & 5 & D & F & A \\
2 & 1 & 5 & B & F & C \\
0 & 2 & 6 & C & G & A \\
1 & 3 & 6 & D & G & B \\
4 & 5 & 6 & F & G & E \\
\end{array}

両デッキを結合します。

\begin{matrix}
0B & 1E & 4A \\
2D & 3E & 4C \\
0D & 3F & 5A \\
2B & 1F & 5C \\
0C & 2G & 6A \\
1D & 3G & 6B \\
4F & 5G & 6E \\
\end{matrix}

各属性は以下の対応であるとします。

0 1 2 3 4 5 6
三角 四角 クラブ ハート スペード
A B C D E F G

とすると、各カードは以下のような画像になります(枠の色はいったん無視)。

これで「任意の 2 枚のカードは必ず『色』が共通するシンボル、及び『形』が共通するシンボルを 1 つずつ持つ」デッキができました。

image.png

遊び方

遊び方はいろいろあると思うのですが、想定しているのは「 2 枚のカードを開くタイミングで 2 つの属性のどちらを答えるかを決める」遊び方です。

例えば上図のように枠に色を付けて「選択した 2 枚のカードの枠の色が同じだったら、共通する『色』を答える。枠の色が異なるなら、共通する『形』を答える」とか。

あるいは『色』か『形』かを書いたサイコロや別のカードを用意しておいて、うまいこと使うとか……

さらなる派生

当然、『色』と『形』以外の 2 属性でも良いし、 3 属性以上を持たせても良いかなと思います。

アイデア1 と組み合わせて、『形』を『色を表す言葉』にしても良いかも。「クロ」と書いてあるけど黄色の文字で、しかも文字を答えるべきか色を答えるべきかが変わる、みたいな。

『色』と『形』で共通するものを答えるって、おばけキャッチみたいですね?何か全然別のコンポーネントを持ってくる、はあり?

この拡張は結構広がりがありそうで、何か面白いのができるかもしれません。

おわり

  1. 数式を使うのは知育系でありそうだな、と思ったら 知育玩具 SUZY’s の提案とその数理構造 (2023/3/14) というレポート、及びこちらの ポスト (2022/8/7) で提案されていました

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