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【AWS Summit Japan 2026】「AI ネイティブで実現する、妥協なき顧客体験 - Amazon Connect Customer」セッションレポート

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Last updated at Posted at 2026-06-28

はじめに

2026年6月25日・26日の2日間で開催された AWS Summit Japan 2026に参加しました。本記事は、そこで聴講したセッション「AIネイティブで実現する、妥協なき顧客体験 - Amazon Connect Customer」(BIZ201)のレポートです。

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各セッションはオンデマンドで視聴でき、資料のダウンロードもできるので、あわせてご確認ください。

この記事は、セッション当日に速報的なメモとして書き上げ、後日あらためて内容を追記・整理したものです。

セッション概要

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コンタクトセンターやカスタマーサポートの世界では、顧客体験の品質をとるか、コストを重視するかという、いわばトレードオフの関係が長く続いてきました。セッションの冒頭では、AIネイティブな顧客体験であれば、こうしたトレードオフのどちらか一方を選ぶ必要はなくなる、と語られました。

それが具体的にどのようなものかを、Amazon Connect Customerを通して示すのがこのセッションです。個々の機能を深掘りするのではなく、AIネイティブな顧客体験の全体像とその要点をつかむことが目的だと、最初に明示されていました。

対象者

AIによる顧客体験の変革に関心があり、Amazon Connect Customerで何ができるかを知りたい方。

セッションのゴール

AIネイティブのAmazon Connect Customerで実現する、妥協のない顧客体験のイメージとその要点をつかむこと。

登壇者情報

項目 内容
セッションコード BIZ201
セッション名 AIネイティブで実現する、妥協なき顧客体験 - Amazon Connect Customer
登壇者 坂田 陽一郎 氏
所属 アマゾン ウェブサービス ジャパン合同会社

アジェンダ

セッションは、なぜ今AIネイティブな顧客体験が必要なのかという問題提起から始まり、ホテル滞在を題材にしたビジョンデモ、Amazon Connect Customerの全体像(Know / Act / Design / Evolve / Trust)、対応実績と導入効果、そしてまとめ、という流れで進みました。

なぜ今、AIネイティブな顧客体験が必要なのか

カスタマージャーニーの観点から、なぜ今AIネイティブな顧客体験への転換が求められているのかが解説されました。

"Deflection"の時代の終焉

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Deflectionとは「反らす」「回避する」といった意味の言葉です。コンタクトセンターの文脈では、問い合わせをオペレーターにつなぐ前にボットやIVRで捌いたり、チャットなどの安価なチャネルへ誘導したりすることを指します。

その背景にあるのはコストとの兼ね合いです。顧客体験の質を上げようとすれば人を増やす必要があり、コストがかさみます。一方でコストも抑えたい。この両立を図るためにIVRなどを活用してきた結果、お客様からすると、問題が解決されないままたらい回しにされたような感覚が生まれていました。解決されなかった顧客は、結局その問題を解決してくれる競合サービスへ移ってしまいます。

妥協なき顧客体験の3つの軸

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ディフレクションをやめ、トレードオフをなくすとはどういうことか。それは、あらゆる顧客にまっすぐ向き合い、寄り添った対応をしていくことだとして、AIネイティブな体験で実現できる3つの軸が示されました。

1つ目は「体験」です。オペレーターの応対だけでなく、その手前のシステムまで含めた顧客体験全体で妥協せず、最高の体験を提供します。2つ目は「リーチ」です。つながった瞬間から体験が始まり、待ち時間もありません。助けを必要とするすべての顧客にサポートを届け、ときには顧客が問い合わせてくる前に先回りして声をかけます。3つ目は「パーソナライゼーション」です。最高の体験を届けるには一人一人の状況に合わせることが欠かせず、AIネイティブな体験であればそれも実現できます。

この3つによって、妥協することなく、顧客が本当に求めている体験をエンドツーエンドで提供できるようになります。そしてそれを実現するのが、Amazon Connect Customerというサービスだと紹介されました。

ビジョンデモ:ある日のホテル滞在

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ここからは、海外のリゾートホテルに滞在中の田中さんを主人公に、帰りの便が天候不良で欠航してしまう状況を題材にしたデモが紹介されました。見どころは3つあります。優秀なホテルコンシェルジュのように振る舞うAIエージェントが登場すること、その音声が人と聞き分けがつかないほど自然なこと、そして音声とアプリの画面が同期するマルチモーダルな体験が組み込まれていることです。

欠航、そしてホテルからの先回りの連絡

田中さんのスマートフォンに、航空会社から欠航の通知が届きます。

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アプリで翌日の振替便を予約しようとしますが、満席で空席待ちとなります。便が確定しないため、何日延泊すればよいか分からず、田中さんは困ってしまいます。

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フロントに連絡しようかと考えていたところに、今度はホテル側から先回りして連絡が入ります。予約時に登録された帰りの航空便の情報と運航情報をホテルのシステムが突き合わせ、欠航による延泊が必要だろうと察知したのです。顧客が困って問い合わせてくるのを待つのではなく、こちらから気を利かせて声をかける、という場面でした。

コンシェルジュAIとの対話とマルチモーダル体験

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通知をタップするとホテルのアプリに切り替わりますが、今の部屋は翌日空いておらず、アプリだけでは解決できません。そこで通話機能からコンシェルジュに相談すると、応答するのは人間ではなくAIのコンシェルジュです。

ここでAIは「ご用件は何でしょうか」とは尋ねません。田中さんに何が起きていて、どんな状況なのかをあらかじめ把握しているため、最初から本題に入り、空席待ちの状況を踏まえて金曜日(5月1日)のチェックアウトを提案します。早めに出発する場合は未使用分の料金がかからない、という安心材料も添えられました。このコンシェルジュの声は現在プレビュー中のAgentic Voiceによるもので、その自然な日本語の発話にも驚かされました(アーカイブから実際の音声を聞くことができます)。

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田中さんが「部屋の詳細を見せて」と話すと、操作をしていないのにアプリの画面が自動的に切り替わり、オーシャンビュールームの詳細が表示されました。従来であれば顧客が自分で画面を探すか、AIが内容を読み上げるかでしたが、ここでは声とアプリが連動します。これは、ノーコードでエージェントを設計できるAgent CX Designerや、会話と画面を同期させるLive Syncといった、プレビュー発表されたばかりの機能によるものです。

予約の確定

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最後は予約の確定です。AIは予定変更へのサポートとしてホテルクレジットを適用しますが、これは田中さんの会員ランクなどの状況から「このお客様には適用できる」とAI自身が判断し、実行まで自律的に行ったものです。途中で田中さんが「ギフトショップはどこ?」と本題と関係のない質問を挟んでも、AIは慌てず場所を答えてから元の予約確認に戻り、最終的に予約完了と確認のSMS送信まで進みました。

このデモでは、電話での会話からアプリの連動、最後のSMSによる確認まで、3つのチャネルが一つの会話の中で途切れずつながっていました。しかもこの間、人間は一度も介在していません。質の高い体験を提供するには人手が必要だという従来のトレードオフを打ち破った例として示されました。

Amazon Connect Customerの全体像

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デモで示された体験を実現するために重要な要素として、5つが挙げられました。中心に位置するのがAct、それを支えるKnow・Design・Evolve、そしてすべての土台となるTrustです。この5つはどれか一つでも欠けると顧客が違和感を覚えてしまう、いずれも欠かせない要素だと説明されました。ここからは、それぞれを順に見ていきます。

Act:顧客のあらゆる場面に対応する

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中心となるActは、顧客のためにあらゆる場面で行動するAIです。質問に答えるだけでなく、本人確認をして情報を照会し、手続きの実行まで、解決をやりきります。先ほどのデモで見たとおりの流れですね。音声でもチャットでも顧客の好むチャネルに対応し、一つのAIであらゆるチャネルをカバーしながら、一人一人に合わせた対応や先回りの提案まで行います。

Know:すべての顧客を深く理解する

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Actが力を発揮するには、AIがお客様を理解している必要があります。それを担うのがKnowです。お客様が誰で、何を購入し、前回何を相談したのか。こうした状況を把握しておくことが土台になります。必要なデータは社内のあちこちに散らばっていることが多く、そのままではAIがアクセスしづらいため、すぐに引き出せる形で手元に保持できる仕組みも備えています。ただ、知ることは始まりに過ぎず、知った状況に合わせて行動できて初めて意味を持ちます。

Design:価値ある体験を素早く構築する

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そのアクションを素早く作るのがDesignです。これまでは、価値ある体験を作ろうとすると専門の開発者に依頼することになり、費用も時間もかかるというコストの壁がありました。Connect Customerであれば、ドラッグ&ドロップで素早く作成し、細かなロジックが必要なところはコードを組み合わせることで、数日から数週間で実現できます。エージェントAI、決定論的な処理、プロアクティブなキャンペーンといった仕組みはあらかじめ用意されており、ゼロから作る必要はありません。既存のCRMやナレッジベース、社内システムも、作り変えたり移行したりせず、そのまま連携できます。

Evolve:すべての体験を向上し続ける

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作った体験は作りっぱなしにせず、良くし続ける必要があります。それがEvolveです。AIエージェントをモニタリングして評価し、改善してテストする、というサイクルを回し続けます。Connect Customerには会話を評価するAIも揃っており、顧客とAIの会話だけでなく、顧客と人間のオペレーターの会話も対象に、サンプル抽出ではなく100%すべての会話を評価できます。問題があればリアルタイムに把握してすぐ手を打てるほか、生成AIは思わぬ振る舞いをすることもあるため、本番リリース前に数千のAIインタラクションをシミュレーションして問題を見つけられるテスト機能や、稼働後に分析するダッシュボードも用意されています。

Trust:すべてを支える信頼の土台

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そしてすべてを支える土台がTrustです。AIが自ら判断し、返金処理や予約の実行といった行動を取るということは、さまざまなシステムにアクセスし、顧客データにも触れるということです。だからこそ信頼が最も重要になります。Connect CustomerはPCIをはじめとする各種認証に準拠し、暗号化や、有害な内容が顧客に届く前に止めるガードレールを標準で備えています。リスクの高い手続きは生成AIに任せず、入力に対して出力が確実に定まる決定論的な処理を組み合わせることもできます。さらに、AIがなぜその判断をし、どう対応したのかを後から追える説明可能性を持ち、AIの回答が根拠から外れていないかを最大99%の精度で検出します。

AIネイティブの対応実績と導入効果

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こうした体験が実際にどれくらい使われているのかを示す数字として、Connect CustomerのAI機能が処理した対応時間が紹介されました。2024年は世界全体で60億分でしたが、2025年には120億分と1年で倍増し、今年に入ってからもさらに加速しているとのことです。これだけの規模の顧客体験が、すでにConnect CustomerのAIで実現されています。

顧客中心が目的、AIは手段

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ここで、冒頭の「妥協は不要」というメッセージが改めて繰り返されました。大切なのは顧客中心であること、そして最高の体験を提供するためにAIをどう活用するかという視点です。AIネイティブという言葉は、すべてを無理やりAIに置き換えるという意味ではありません。AIネイティブであること自体を目的にするとうまくいかず、あくまで手段としてAIを活かすという考え方が強調されました。

そのため、AIと人間はミックスして使うことになります。数のうえでは引き続き人間が対応の中心で、そのオペレーターをAIがアシストする形が基本です。一方で、すべてをエージェンティックAIに任せる構成もあれば、リスクの高い場面に決定論的な処理を組み込む構成もあり、その配分は業務内容や顧客の特性によってさまざまです。Connect CustomerはいろいろなタイプのAIを用意しているため、状況に合わせて自由に組み合わせ、後から変えていくこともできます。

すべての役割をAIで加速

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AIネイティブの考え方は、セルフサービスの領域だけにとどまりません。「AIが仕事を奪うのではないか」という議論もありますが、実際に起きているのはむしろ逆で、人を置き換えるのではなく、人がより価値のある業務に集中できるようになる、という説明でした。

現場のオペレーターには、一人一人にAIが寄り添ってリアルタイムにアシストします。対応後の事務作業を自動化して負担を減らし、顧客がつながる前に問い合わせ内容を把握してサマリーを伝えるため、オペレーターは会話そのものに集中できます。管理者にとっては、これまで限られたサンプルしか評価できなかったところを全会話の評価が可能になり、データに基づいて適切なコーチングを行えます。需要予測やスタッフィングといった業務もAIが底上げします。経営層に対しては、人間とAIの対応状況をリアルタイムにダッシュボードで確認でき、チャネルを横断してビジネスにつながるKPIを把握できます。

導入企業の成果

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実際にConnect Customerを活用した事例も紹介されました。国際送金サービスを提供するZEPZでは、CasesとCustomer Profilesを使い、AIエージェントによるパーソナライズした応対で解決率67%を達成しています。人工内耳などを手がける聴覚関連の医療機器メーカーであるコクレアでは、すべての顧客対応にAIを活用した品質管理を展開し、評価数を22倍に増やしました。北米のトヨタインシュアランスでは、それまで使っていたチャットボットをAIエージェントに置き換え、固定ライセンス料をなくしながら98.5%のコスト削減と、問い合わせの60%の即時解決を達成しています。

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財務面では、Forrester(フォレスター)がConnect Customer利用企業へのインタビューをまとめた数字として、342%のROIと、6か月未満という短い投資回収期間が示されました。重要なのは、これが単なるコスト削減にとどまらない点です。顧客体験が向上することで売上や利益も増えるため、導入を先送りすれば月あたり280万ドルの機会損失につながる、というメッセージでした。

まとめ

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セッションは、3つのメッセージで締めくくられました。トレードオフはもう過去のものであること、必要なものはConnect Customerにすべて揃っていること、そして顧客中心が目的であってAIはあくまで手段であること、の3つです。「AIを導入するかどうか」ではなく「どう先頭に立つか」を問い、素早く動いて先を行き、すべての顧客に向き合う。それをひとつのソリューションで実現できるという主張が、全体を通して一貫していました。

感想

Amazon Connect Customerの進化は、単なる電話対応の自動化にとどまらず、エージェンティックAIと組み合わせることで顧客体験そのものを作り直していると感じました。

特に印象に残ったのは、ビジョンデモで示された「先回り」と「マルチモーダル」の体験です。欠航という状況を予約情報や運航情報から捉えてホテル側から声をかけ、会話の流れに応じてアプリの画面まで自動で遷移させる様子は、従来の 「何度も同じ説明をする」「セルフサービスで完結できずエージェントに転送される」といった体験が、根本から変わっていく可能性を感じさせるものでした。

参考

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