はじめに
2026年7月20日のアップデートで、Amazon Connect Customerに、新しい音声プロバイダー「Amazon Connect agentic voice(Amazon エージェントボイス)」が追加されました。
これにより、従来のAmazon Pollyに加えて、より自然で表現力のある音声を選べるようになります。日本語にも対応しており、東京リージョンでも利用できます。
本記事では、実際に「Amazon エージェントボイス」のAikoで日本語文章を再生し、
従来のKazuha(Polly)と聞き比べてみます。
本記事の情報は2026年7月時点のものです。
最新情報については公式ドキュメントをご確認ください。
先に結論
コンタクトフローの「音声の設定」ブロックで、音声プロバイダーとして新しく「Amazon エージェントボイス」が選べるようになっていました。私の環境では、日本語(日本)・音声「Aiko」を選んでサンプル再生まで確認できています。
| 項目 | Before | After |
|---|---|---|
| 音声プロバイダーの選択肢 | Amazon(Polly) / Deepgram / ElevenLabs | 左記に加えて「Amazon エージェントボイス」 |
| 日本語の声 | Amazon(Polly)の Mizuki / Takumi など | 「Aiko」「Ren」「Yumiko」が選べる |
音声プロバイダーのドロップダウンには、いまは「Amazon」「Amazon エージェントボイス」「Deepgram」「ElevenLabs」の4つが並んでいました(Deepgram と ElevenLabs はサードパーティのプロバイダー)。
この中で今回加わったのが「Amazon エージェントボイス」です。
基盤が気になったので少し調べたところ、この「Amazon エージェントボイス」はPollyでもBedrockのNova Sonicでもなく、Amazon Connect Customer専用の音声プロバイダーと考えられます。agentic voiceという枠組み自体はAmazon Nova Sonicとも関係しますが、Aikoなどの音声そのものがNova Sonicなのかどうかは公式には明言されておらず、また執筆時点では、Amazon PollyからもAikoなどは選択できず、Amazon Nova 2 Sonicも日本語対応していませんでした。
1. 何が追加されたのか
今回の発表(2026年7月20日)のタイトルは以下でした。
Amazon Connect delivers more natural agentic voice experiences with expanded language support and speech controls
ひとことで言うと、agentic voiceの対応言語が50以上に広がり、100を超える新しい音声オプションと、速度や音量、感情などを調整できるspeech controlsが加わった、というアップデートのようです。発表文には対応言語として日本語も明記されていました。
2. 実際に触ってみた
コンタクトフローの「音声の設定」ブロックを開いて、音声プロバイダーの選択肢を確認しました。
検証環境
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| サービス | Amazon Connect Customer |
| リージョン | ap-northeast-1(東京) |
| 言語 | 日本語(日本) |
| 音声 | Aiko / Ren / Yumiko(日本語の3種。主にAikoで確認) |
東京リージョン(ap-northeast-1)で、実際に選択から日本語の再生まで動作することを確認しました。機能別のリージョン対応表の「Amazon Connect agentic voice」にも東京が掲載されており(プレビューの表記なし)、東京で正式に使える機能と見てよさそうです。
操作の流れ
- コンタクトフローに「音声の設定」ブロックを配置する
- 音声プロバイダーで「Amazon エージェントボイス」を選ぶ
- 言語で「日本語(日本)」を選ぶ
- 音声で「Aiko」を選ぶ
- サンプル再生で読み上げを確認する
音声プロバイダーを「Amazon エージェントボイス」にしたとき、日本語で選べたのは「Aiko」「Ren」「Yumiko」の3種でした。いずれもPollyの日本語音声(Mizuki / Takumi / Kazuha / Tomoko)には無く、念のため確認したBedrockのNova Sonic(Nova 2 Sonic)の音声一覧にも出てきません。
では、この「Amazon エージェントボイス」は何者なのか。公式ドキュメント(Agentic voice configuration guide)では、独立した音声プロバイダーとして次のように説明されていました。
Amazon Connect agentic voice is a next-generation speech experience that delivers expressive voice capabilities and enhanced automatic speech recognition (ASR).
To use Amazon Connect agentic voice features, make sure Amazon Connect Customer is enabled for your instance. Amazon Connect agentic voice is the default voice provider for Amazon Connect Customer. Both ASR and voice share the same Amazon Connect agentic voice provider selection in their respective configuration panels.
概要
- 正式名称:英語UIは Amazon Connect agentic voice、日本語UIは「Amazon エージェントボイス」
- 特徴:音声認識(ASR)と音声合成(TTS)の両方で、この同じプロバイダーを選択できる
- 利用の前提:Amazon Connect Customer を有効にしている必要がある
3. 動作確認
最低限東京リージョンかつ日本語で利用可能か、という観点で主に以下3点を確認しました。
| 検証項目 | 期待する挙動 | 結果 |
|---|---|---|
| 音声プロバイダーの一覧に出るか | 「Amazon エージェントボイス」が選択肢に表示される | ⭕ |
| 日本語(日本)・Aiko を選べるか | 言語と音声を選択できる | ⭕ |
| サンプルの音声再生 | 日本語で読み上げが再生される | ⭕ |
音声サンプル
音声の設定ブロックには「音声サンプルを聞く」というリンクがあり、選んだ音声のサンプルをその場で確認できます。日本語(日本)で選べた3種のサンプルがこちらです。リンクをクリックするとブラウザで再生されます(wav)。
従来のPollyとの聞き比べ
エージェントボイスが従来のPollyと何が違うのか、同じIVR用のプロンプトを「Aiko(エージェントボイス)」と「Kazuha(Polly)」で聴き比べました。流したプロンプトはこれです。
お電話ありがとうございます。テスト株式会社です。
ご用件をお伺いします。製品に関するお問い合わせの方は1を。
その他のお問い合わせの方は2を押してください。
前半がAiko(エージェントボイス)、後半がKazuha(Polly)です。エージェントボイスはPollyのプレビューからは再生できなかったので、実際に電話をかけてIVRとして流れた音声を録っています。SSMLでの調整はかけず、素の状態で読ませたシンプルな比較です。
聞き比べて気づいた違いはこの2点でした。
| 観点 | Kazuha(Polly) | Aiko(エージェントボイス) |
|---|---|---|
| 「方は」の読み | 読み仮名を付けないと「ほうは」と読む | 「かたは」と正しく読む |
| 間・テンポ | ゆったりめ | 間が短く、やや早口に聞こえる |
一番大きいと感じたのは読みの正確さです。「製品に関するお問い合わせの方は」の「方は」を、Kazuha(Polly)は読み仮名を付けないと「ほうは」と読んでしまうのに対し、Aiko(エージェントボイス)は「かたは」ときちんと読み分けていました。
- Kazuha(音声プロンプト記述)
製品に関するお問い合わせの方は
- Kazuha(実際の読まれ方)
せいひんにかんするおといあわせのほうは
- Aiko(音声プロンプト記述)
製品に関するお問い合わせの方は
- Aiko(実際の読まれ方)
せいひんにかんするおといあわせのかたは
逆に、エージェントボイスは文の間が短くやや早口に聞こえます。案内としてはもう少しゆっくり喋らせたい場面もありそうで、ここは速度調整が要りそうです。エージェントボイスにはスピーチ制御タグがあり、<speed ratio="0.8"/> のように書けば読み上げ速度を落とせるようなので、実際の案内ではこのあたりを詰めることになりそうです。
まとめ
本記事では、新しい音声プロバイダー「Amazon エージェントボイス」を実際に選び、日本語(日本)・音声「Aiko」でサンプル再生まで確認しました。
簡単な検証でしたが、音声体験としての差を感じられました。調整をせずにより自然な抑揚やアクセントがつけられていたり、「方は」を「かたは」と読むなど、案内文をそのまま渡しても読みが崩れにくいのは好印象です。
今回はTTS(音声の設定ブロック)での再生確認までですが、次回はAIエージェントや音声ボットに載せて、会話としての自然さや音声認識(ASR)まで含めて試してみたいと思います。
参考


