はじめに
これまでAccessやAccess VBAに触れる機会がなく、ExcelやExcel VBAとの違いもよく分かりませんでした。
今回、Accessを学ぶ機会を得たことで、その違いを整理しながら理解を深められたため、これから学ぶ方の参考になればと思い、記事にまとめました。
Accessとは?
Access(アクセス)は、Microsoft Officeシリーズの一製品であるデータベース管理ソフトです。
データを「テーブル(表)」として管理し、テーブル同士を関連付けることで
「リレーショナルデータベース(RDB)」 を構築できます。
大量のデータを「整理」「検索」「集計」「入力」するのに向いており、
主に業務システムや社内管理ツールの構築に使われます。
Accessには「フォーム」「レポート」「クエリ」などの機能があり、
入力画面や印刷帳票をノーコードで作成できるのも大きな特徴です。
- フォーム:データを入力・検索・表示するための専用画面
- レポート:データをもとに帳票や集計結果を出力・印刷する機能
- クエリ:複数のテーブルからデータを抽出・集計・加工する機能
Access VBAとは?
Access VBA(Access Visual Basic for Applications)は、
Accessの作業を自動化・効率化するためのプログラミング言語です。
ExcelにもVBAがありますが、扱う対象が異なります。
Excel VBAが「セルやシート上のデータ」を操作するのに対し、
Access VBAは「テーブル・クエリ・フォーム・レポート」など
データベース全体の構造や動作を制御します。
ExcelとAccessの違い
| 比較項目 | Excel | Access | 
|---|---|---|
| 目的 | 計算・集計・グラフ作成 | データの蓄積・管理・検索 | 
| データ構造 | 複数のシートで構成された表計算ファイル | テーブル・クエリ・フォーム・レポートで構成 | 
| 扱えるデータ量 | 大量データでは動作が重くなる | 大容量のデータを扱える(最大2GB) | 
| データ編集 | セルを直接編集(誰でも更新可能) | 入力フォームを通して編集(権限設定や入力規則の強制が可能) | 
| 複数人での利用 | 同時に同じセルを編集すると、後から保存した内容で上書きされ、競合やデータの破損リスクあり | レコード単位で排他制御が行われるため、同時編集時に衝突が起きにくく、データの整合性が保ちやすい | 
| ファイル拡張子 | .xlsx(Excel2007以前は.xls) | .accdb(Access2007以前は.mdb) | 
Excel VBAとAccess VBAの違い
| 比較項目 | Excel VBA | Access VBA | 
|---|---|---|
| 目的 | データ集計・分析などの数値データの処理や定型業務の自動化 | データ管理・入力フォーム・帳票出力など業務処理全体の自動化 | 
| 主な操作対象 | セル、ワークシート、ブック | テーブル、クエリ、フォーム、レポート | 
| 処理の流れ | セルやシートを直接操作 | SQLでデータを抽出・加工して処理 | 
| システム規模 | 小規模な計算・定型処理 | 中規模の業務管理システム | 
| メリット | ・学習が容易で始めやすい →Excelの基本操作を知っていれば、VBAの学習ハードルが低い ・単体で完結できる →Excelファイルだけで動作するため、手軽に自動化ツールを作成・配布できる | ・データの信頼性が高い →厳密なデータ管理と、複数人での同時編集時の競合回避が可能 ・大量のデータ処理に強い →大量のデータを高速に処理でき、検索や集計のパフォーマンスに優れる | 
| デメリット | ・大量データ管理に不向き →データ量が増え、計算式が複雑になるほど処理速度が低下する ・複数人の同時作業に不向き →同時に同じセルを編集することで、データの不整合や破損リスクあり | ・学習コストが高い →データベースの知識が必要で、Excelに比べ学習のハードルが高い ・運用開始までの手間がかかる →複数人で利用する場合、データベースのファイル分割など事前準備が必要 | 
まとめ
Excelは表計算ツールであり、主に数値計算やデータ分析を目的としています。
Accessはデータベースツールであり、データの蓄積・管理・共有に適しています。
Excel VBAは、数値データの処理や定型業務の自動化を担い、
Access VBAは、データ管理・帳票出力など業務処理全体の自動化を担います。
Accessは、「Excelでは管理しきれない大量データを、複数人で安全に扱いたい」 という場合に役立つツールといえます。
この記事が、AccessやAccess VBAの学習を始める方の一助になれば幸いです。

