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欠損率80%でも分析したい!〜疲労度の時系列データを可視化してみた〜①

Last updated at Posted at 2025-11-30

この記事は Qiita Advent Calendar 2025 - 時系列データ の1日目の記事です。

はじめに

「年のせいか疲れやすくなった」「今日はなんだかいつもより疲れている気がする」と思うことはありませんか?また、自覚はなくても既に疲労が蓄積して、気づいたらヘロヘロになってしまっていることもあったりします。

疲労度を客観的に測る指標があればいいなと思い調べたところ、PERCLOS(Percentage of Eye Closure)というのを見つけました。この記事ではPCのカメラで定期的に自分の顔を撮影し、疲労度を自動計測するシステムを作った記録を紹介します。PCを起動している時間しか計測しない不規則なデータですが、こんなデータからも分析ができるか複数記事のシリーズにして書いてみます。

PERCLOSとは

疲労度の指標として使用したPERCLOS(Percentage of Eye Closure)について説明します。

定義

PERCLOSは、一定時間内に目が80%以上閉じている時間の割合

もともとは自動車運転中の眠気検出のために研究された指標で、複数の論文で有効性が確認されています。

閾値

研究(Dasgupta et al., 2015)によると:

PERCLOS値 状態
< 15% 覚醒(正常)
≥ 15% 眠気警告

この 15% という閾値が、眠気による危険を検出するための基準として広く使われています。

計測方法

私のシステムでは:

  1. 3分間の動画を撮影(15分ごと、毎時4回)
  2. 顔のランドマーク検出でEAR(Eye Aspect Ratio)を算出
  3. EAR < 0.2 のフレームを「目が閉じている」と判定
  4. 閉眼フレーム数 / 総フレーム数 = PERCLOS

sample_frame_emoji.png

※ 1時間に4回、3分間の自撮り動画を撮りました

計測結果:欠損だらけの時系列

収集期間と記録数

  • 期間: 2025年10月21日〜11月30日(約40日間)
  • 記録数: 734レコード
  • 理想の記録数: 96回/日 × 40日 = 3,840回
  • 実際のカバレッジ: 約19%

つまり、8割以上が欠損しているデータです。

欠損の原因

当然PCを起動している時間、しかもPCの対面カメラに映っている時間しか記録できません。

  • 睡眠時間
  • 離席中 (会議や打ち合わせ)
  • ポーズや顔の向きで顔が認識できないとき

可視化の工夫

欠損だらけのデータを意味のある形で可視化するために、少し工夫をしました。

1. 1時間単位での集計

生データをそのままプロットすると、記録のない時間帯が空白になり傾向が見づらくなります。そこで1時間単位の平均値で集計しました。

2. 閾値ベースの色分け

  • : PERCLOS ≥ 15%(眠気警告)
  • : PERCLOS < 15%(覚醒)

色分けすることで「危険な状態かどうか」を視覚的に把握できます。

3. 可視化結果

なんと、ほとんどの記録時間帯で15%を超えていました

realboard_perclos.png

※ PROMPT-X の RealBoard で可視化しています。

なぜこんな結果になったのか

あまりにも疲労度の割合が高いのですが、次のような可能性が考えられます。

カメラ位置の影響

MacBook Proの内蔵カメラ(画面上部)で撮影しているため、PC作業中は自然と目線が下向きになります。これにより:

  • EAR(Eye Aspect Ratio)が実際より低く計測される可能性
  • 結果としてPERCLOSが高めに出ている可能性

が考えられます。

もともと眠そうな顔をしている

😪

まとめ

  • PERCLOSは眠気検出の研究で確立された疲労度指標
  • 閾値ベースの色分けで傾向を把握
  • カメラ位置や作業姿勢に影響されるので参考程度に

次回予告

今回はPERCLOSの概要と可視化に焦点を当てました。今回のアドベントカレンダーで:

  • 欠損率80%以上のデータから意味のある分析ができるか?
  • EAR・MARの詳細分析と計測システムの実装

など、「不完全な時系列データでも無駄じゃない!」を掘り下げていきたいと思います。


明日の時系列データ Advent Calendar 2025 2日目は、私の「こんなところにも時系列データ(仮)」です!

参考文献

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