目次
- 標本点と標本空間
- 事象の集まり(加算加法族)
- 確率と確率空間
- 参考文献
- バージョン
標本点と標本空間
サイコロを振った結果など、一回の出来事で起こることを標本点 $E_1, E_2, E_3, ...$ と呼び、標本点の全体からなる集合を標本空間 $\{E_1, E_2, E_3, ... \}$ と呼び $\Omega$ と表す。
事象の集まり(加算加法族)
標本空間 $\Omega$ に対し、$\Omega$ の部分集合で次を満たすものを事象の集まり $\mathscr{F}$ と呼ぶ。
- $\mathscr{F} \ni \emptyset$(単に集合の性質「どんな集合も空集合 $\emptyset$ を含む。」を言っている。)
- $E \in \mathscr{F}$ なら $E^c \in \mathscr{F}$($\mathscr{F}$ に含まれる任意の事象 $E$ に対し、それが起こらない事象 $E^c$ も $\mathscr{F}$ に含まれる。)
- $E_1, E_2, E_3, ...$ に対し $\bigcup_{i}^{\infty}E_i \in \mathscr{F}$($\mathscr{F}$ に含まれる任意の事象 $E_1, E_2, E_3, ...$ に対し それらの和集合も $\mathscr{F}$ に含まれる。)
サイコロの出た目で $\Omega$ を考えると、$\mathscr{F}$ を $\Omega$ 全体として、2番については奇数が出る事象は $\mathscr{F}$ に含まれるが、奇数が出ない事象は偶数が出る事象のことなので $\mathscr{F}$ に含まれることがわかり、3番目については奇数が出る事象または偶数が出る事象はサイコロの結果の全ての事象のことなので $\mathscr{F}$ に含まれることがわかる。
確率と確率空間
標本空間 $\Omega$ に対して事象の集まり $\mathscr{F}$ がある時、$\Omega$ 上の関数で次を満たすものを確率と呼ぶ。
- 全ての事象 $E \in \mathscr{F}$ に対し事象 $E$ が起こる確率は 0 以上 1 以下である、$0 \leq P\left[E\right] \leq 1$。
- 全事象が $\Omega$ が起こる確率は1である、$P\left[\Omega\right] = 1$。
- それぞれ排他的(共通する部分がないよう)な事象 $E_1, E_2, E_3,... \in \mathscr{F}$に対し、どれか一つが起こる確率は、それぞれが起こる確率の合計になる、$P\left[\bigcup_{i}^{\infty}E_i\right] = \sum_{i}^{\infty}P\left[E_i\right]$。
またこの時、組 $\left(\Omega, \mathscr{F}, P\right)$ を確率空間と呼ぶ。
先ほどのサイコロの例で考えれば、1番目については偶数、奇数の出る確率はそれぞれ 0.5 であり、2番目については偶数または奇数の出る確率は 1 であり、偶数の確率と奇数の確率の合計は 0.5 + 0.5 = 1 となり一致することがわかる。
参考文献
バージョン
- [2017.08.22] First Release
- [2017.08.22] 標本点と標本空間の説明を修正
- [2017.08.22] タグ修正
- [2017.08.23] 確率の定義を修正