深夜残業・休日出勤が多かったプロジェクトの健全化への軌跡
私事で恐縮ですが、今年の11月にredmine.tokyoの勉強会に講演者の一人として参加してきました。
私はSEとして十年近く働いており、有難いことに今ではリーダーを任されるような立場にもなりました。
やりがいがある反面、やはりリーダーは色々と苦労することが多いです。
様々な課題に対して試行錯誤しながらも改善を図ってきたわけですが、そんな中でも、私が携わったプロジェクトでは深夜残業・休日出勤が多く、ここの健全化が上手くできたなと自分でも思っており、redmine.tokyoの勉強会でも皆様のお役に立てればということで発表させていただきました。嬉しいことに反響が大きかったです。
今回の記事では、私が発表した「チケット駆動開発現場の最前線 ~ 深夜残業・休日出勤が多かったプロジェクトの健全化への軌跡 ~」を勉強会に参加していなかった方々にも共有できればなと思い、執筆させていただきました。
課題
まずはじめに、深夜残業・休日出勤が多くなる原因は何だろうか?を考えてみると、「開発計画が実績に基づいたものではないため乖離が大きくなってしまっている」、「開発を進めていく中でやるべきことが増えていき、それらをうまく管理できていない」というようなことが見えてきました。
さらにいくつかの課題に分けると、以下のようになりました。
これらの課題に対してアプローチしていった軌跡を、 4つの段階(チケット駆動・実績時間の蓄積・見積り手法改善・開発計画の改善) に分けて、ご紹介したいと思います。
チケット駆動
チケット駆動開発の考え方を導入して、全ての作業をRedmineでチケット化するようにしました。ここで1番効果が大きかったのは、作業の依頼や質問などもチケットで実施したことで、これにより「情報がメールやTeamsで流れてしまう」課題が改善できました。
また、以下のプラグインを導入することで、チケット上に情報が残るのと、現在誰が作業の主担当なのかがわかるため、「情報がメールやTeamsで流れてしまう」、「やることが誰待ちになっているのかが分からない」といった課題の改善に役立ちました。
仮でよいから期日を入力により、「登録しただけで、やらないチケットが山積してしまう」という課題も解決できました。
チケットツリーで階層化では、この後述べる実績時間の蓄積でも役立ちました。
実績時間の蓄積
Redmine Time Puncherというデスクトップアプリを使用しました。チケット駆動していると、自分の1日の作業はRedmineの活動として記録されます。活動に残らない作業は、メールやTemasでのやり取りくらいになると思います。
Redmine Time Puncherがすごいのは、それらの情報を一括して工数として入力できるところです。
お手軽に工数を入力できるのと、活動履歴や通話履歴をもとにしてるので、とても正確なデータを入力することができます。
アプリは、以下のホームページからダウンロードでき、無料で利用可能です。
(Redmineの良いところの一つが、様々なアプリやプラグインが無料で使えることですね。有難いです。)
余談ですが、以下のQiitaの記事を見かけてRedmine Time Puncherを使い始めました。
こういう記事に出会えるのが、Qiitaのよいところだと、今記事を書いていて思いました。
見積り手法改善
「計画が勘や経験に頼ったものになる」ことを改善するために、過去の規模感が近い案件どうしを、チームメンバーみんなで比較する相対見積りを行いました。ここで、さきほどの実績時間の蓄積が役立ちます。
※この牛は何キロ?と聞かれても、ぱっとは答えられないと思いますが、比較対象がいると予想しやすくなります。
開発計画の改善
さらに、見積もった工数をもとに以下のような開発計画の改善も行いました。
見積りが、持ち工数を超過してしまった場合は、以下のような対策を実施します。
まとめ
以上が私が取り組んできた健全化の軌跡となります。
見えないものは、改善できない。とよく言われていますよね。プロジェクト管理がまさに、それですね。
特にリモートワーク時代において、メンバーがどのくらいやっているのかが、以前にも増して見えずらくなってきています。
Redmine + チケット駆動開発で、各種ツール + プラグインを利用することで、無料で、手間なく、正確に、見える化することができるようになります。
見えてしまえば、色々な改善アイディアが出てきますので、恐れることはないですね。プロジェクト管理をしている人に、本記事が届きますように。
少し早いですが、メリークリマス!来年もよい年をお過ごしくださいませ!
記事の一番下に、私が発表したときのYouTubeのリンクなども載せてますので、ぜひそちらも見ていただけると嬉しいです。