はじめに
New Relicは、APMからInfrastructure、Browserに至るまで、システムのあらゆるデータを収集し、単一のプラットフォームで可視化・分析できる強力なツールです。
しかし、優れた可視化も「New Relicにログインできるエンジニア」しか見られない状態では、その価値は半減してしまいます。ビジネスサイドやカスタマーサポートなどエンジニアではない方とも同じ指標を見て会話がしたい——そんなオブザーバビリティの民主化を実現するのが Public Dashboard です。
本記事では、Public Dashboardの機能概要から設定方法、そしてConfluenceへの埋め込みを通じた実践的な活用フローまでを解説します。
Public Dashboardとは
Public Dashboardは、New Relicのユーザー認証を経ずにダッシュボードを閲覧可能にする機能です。 特定のダッシュボードに対してユニークなURLを発行し、そのURLを知っているユーザーであれば誰でもブラウザからリアルタイムのデータを確認できるようになります。
主な特徴:
- リードオンリー: 閲覧者はデータの参照のみが可能で、NRQLの編集やダッシュボード構成の変更はできません
- ライセンス不要: 閲覧者はNew Relicのユーザーアカウント・ログインを必要としません
- リアルタイム性: キャプチャ画像ではなく、New Relic上のデータがリアルタイムに描画されます
注意:
セキュリティに関する注意 発行されるURLは推測困難な文字列を含みますが、本記事ではiframeから呼び出すことを想定しているためパスワード制限などはかかりません。URLを知り得た人は誰でも閲覧可能になるため、個人特定情報や機密性の高いビジネス数値が含まれていないか、公開前に必ず精査してください。
設定してみよう
Public Dashboardを利用するには、適切な契約(Advanced CCU契約)が必要です。前提条件をクリアしていれば、設定自体はとても簡単です。
手順:
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対象のダッシュボードを開く:
New Relic上で公開したいDashboardを開きます -
Shareメニューを開く:
画面右上にある [Share] ボタンをクリックし、ドロップダウンメニューから [Share Dashboard] を選択します
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公開設定を行う:
設定画面が表示されるので、パスワード要求のトグルスイッチを OFF にします。また、必要に応じて公開期間を設定します。 (※初めて設定する場合、下の画像のようにセキュリティリスクとCCU使用量の注意に関する同意が求められる場合があります)

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URLを取得する:
公開用のURLが生成され、クリップボードにコピーされます
URL例:
https://share.newrelic.com/dashboard/********-****-****-****-************
注意:
設定項目に「Share Dashboard」が表示されない、またはグレーアウトしている場合は、ご契約プランや権限設定を確認してください
活用例:Confulenceに埋め込む
URLをチャットで共有するだけでも便利ですが、社内ポータル・wikiであるConfluenceに埋め込むことで、「ドキュメントと最新の状況」をセットで確認できるようになります。 これにより、「Wikiの情報は古いからあてにならない」という問題も解決できます。
それでは実際に、Confluenceページにiframeを使って埋め込んでみましょう。
手順:
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Iframeマクロの呼び出し:
Confluenceの編集画面で /iframe と入力し、Iframe マクロを選択します。
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URLの貼り付け:
マクロの設定画面にある「URL」フィールドに、先ほど取得したPublic DashboardのURLを貼り付けます。
表示サイズの調整 そのままだと表示領域が狭すぎる場合があるため、以下のように設定すると見やすくなります。
幅: 100% (画面幅いっぱいに表示)
高さ: 1000 (ダッシュボードの高さに応じてpx指定)
frameborder: hide (枠線を消してすっきりさせる)
グラフの幅が意図した通りに表示されない場合は、「中央揃え」から「ワイド表示」や「全幅で表示」に設定を変更すると意図した通りに表示できる場合があります。

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公開:
ページを保存・公開します。
これで、Confluenceを開くだけで、New Relicにログインすることなく現在のシステム稼働状況がひと目でわかるようになります。「サービスレベルが低下気味なので確認しよう」といった会話が、自然と生まれるようになるでしょう。
活用のためのTips
運用をスムーズに行うために、いくつか知っておくべき仕様とコツがあります。
- 編集ロックの仕様: ダッシュボードを公開状態にしている間は、そのダッシュボードを「公開設定したユーザー」以外は編集できなくなります。 チームメンバーがグラフを追加・修正したい場合は、一度公開設定をオフにするか、公開した本人が操作する必要があります。これは、公開中のビューが予期せず崩れるのを防ぐための仕様です
- 空のダッシュボードは公開不可: チャートが一つも配置されていないダッシュボードは公開できません(テキストのみのダッシュボードも公開不可です)。まずは何か一つグラフを追加してから設定を行ってください
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コストへの意識 Public Dashboardは非常に便利ですが、誰かがページを開く、もしくはリロードするたびに、裏側ではNew Relicへのクエリが実行されます。 多くのウィジェットを配置したダッシュボードを、オフィスの大型モニターで常時自動更新表示させたりすると、大量のクエリが発生し、コストに影響する(Advanced CCU使用量を大量に消費する)可能性があります
更新頻度を適切にする、重いクエリを多用しすぎない、閲覧頻度の高すぎる場所に設置しないなどの工夫を推奨します。 -
「詳細はこちら」の導線を用意する: Public Dashboardはあくまで閲覧専用であり、ドリルダウンやフィルタリングはできません。 そこで、ダッシュボード内にMarkdownウィジェットを追加し、元のNew Relicダッシュボードへのリンクを記載しておくことをおすすめします。 こうすることで、Confulenceを見て「おや、変だな?」と気づいたエンジニアが、即座にNew Relicへアクセスし、詳細な調査を開始できるようになります
まとめ
Public Dashboardは、エンジニアだけのものだった「観測データ」を、チーム全体、あるいは会社全体の共通言語に変える強力な機能です。
「見たい人が見たい時に見られる」環境を作ることは、DevOps文化を醸成する第一歩です。セキュリティには十分配慮しつつ、まずはチーム内の小さなダッシュボードから公開してみませんか?