はじめに
私はSEをやっている個人事業主です。趣味もコーディングで、JavaScriptが好きです。
AIも大好きで、2017年ごろから、趣味でも仕事でもAI・機械学習に関わってきました。新しいものが出るといろいろ試しています。
この1年くらいでようやく、生成AIのコーディングが全体的に使えるようになってきたと感じています。そこで orca を入れて、複数のプロジェクトを並列で進めるようにしてみました。
AI側の上限を気にしなくてよくなったら、今度は私のほうが先に上限に達するようになりました。
その話を書きます。
AIコーディングの現在地
生成AIでコードを書くのは、もう普通に使えるレベルになったと思います。ただ、全部をAIに任せられるかというと、まだ意外と大変なところが残っています。
- HPを作るのは意外と大変
- 見た目には好みがあるから
- こだわりがあると、細かく指示せざるを得ない
- ログイン機能も大変
- セキュリティ的に大事
- 「ID忘れた」など、ルートがめちゃくちゃ多い
- メールを送る仕組みを作るのも難しい
- インフラや外部サービスのところは、まだエンジニアの技術がいる
- もう少ししたら、ここはいらなくなるかもしれない
- 契約が必要になることもある
並べてみると、どれも人間が決断しないと決まらないところです。好みはAIには決められないし、セキュリティやルートの分岐は「どうするか」を誰かが決めないといけない。
コードを書く手はもうAIで足りています。残っているのは決断のほうです。
orca で多面指し
そこで orca を導入してみました。
- 並列で5個くらいのプロジェクトを進められる
- 人間さえ耐えられれば、もっとできる
- 将棋の多面指しをやっている気分(やったことないけど)
すぐに利用上限に達する
ところが並列で進めると、すぐに Claude Code の利用上限に達します。5時間の上限も、1週間の上限もです。
- 上限に達すると、開発が止まる
- 開発が止まると、モチベーションも止まる
- そして、そのプロジェクトの存在を忘れる
Max 20x にした
そこで、Claude Code のサブスクを Max 5x から Max 20x に変更しました。
- Max 5x の2倍の金額で、4倍使えるプラン
- かなりの容量があって、使える
- まだ上限に達したことはない
- ただ、Fable の週の上限には必ず達するし、全体でも週で70〜80%には達する
- なので、費用対効果的には満足
この環境だと、思い付きでサービスを作り始められます。AIの上限はお金で引き上げられました。
止まったのは自分だった
AIが止まらなくなったら、今度は私が止まるようになりました。
人間は1日のうちで「決断する回数」の上限が決まっている、という話があります。科学的に正しいかはさておき、実感としてはかなり当たっています。決断する回数を、高速で消費している感じがあります。
特に消費しているのは、こういうものです。
- 仕様の細かい選択
- 見た目・好みの決断
- 多面指しをしている状態で、「この話はなんだったっけ?」と思い出すこと
最初の2つは前に書いた「AIに任せきれないところ」そのものです。AIが速くなったぶん、それが次々に回ってきます。
3つ目は並列にしたことで新しく増えたものです。5面を行き来するたびに、その盤面がどういう状況だったかを思い出すところから始まります。
判断の前に読む
判断するには、その前にAIのアウトプットを読まないといけません。なので、読む能力が求められていると感じています。
- AIの使い方というと「プロンプトの書き方」に注目されがち
- それに比べると、「読む」の方は軽視されているかもしれない
- でも、複雑になってくるほど読まないといけない
夕方には上限に達する
こうして読んで判断してを繰り返していると、夕方〜夜には、かなり疲労というか、あまり考えられなくなってきます。(そうなったら猫とちょっと遊んで、ちょっと回復することにしています。)
そんな具合でClaude Code の5時間上限より先に、私の上限が来るようになりました。しかも、こっちはプランを変えても増えません。
たぶん、鍛えられるとは思います。
これからどうなるか
近い未来、エンジニアの仕事は「手を動かす」から「決断する回数を消費する」になる、なりつつあるのではないでしょうか。
その決断には、読む能力も要ります。YouTube が流行っているのは、文章を読む能力は低いけど、動画なら理解できる(目や耳からインプットする能力は高い)人が多いからだ、という話があります。
AIを使いこなすには、プロンプトを書く力とアウトプットを読む力の両方が要ります。読む能力の件が本当かどうかはわかりませんが、もしそのとおりだとすると、AIを使いこなす人はあまり多くならないかもしれません。
もしかしたら、アウトプットを動画でわかりやすく見せてくれるAIが出てくるのかもしれません。
まとめ
- 生成AIで、コードを書く手はほぼ足りるようになった
- 残っているのは、好み・セキュリティ・仕様など、人間の決断が要るところ
- orca で並列にすると、AIの利用上限がボトルネックになる
- これは Max 20x にして、お金で解決した
- すると、最後に人間の「決断する回数」がボトルネックとして残った
- こっちはお金では増やせない
- 判断するには、AIのアウトプットを読む能力も要る
- 「プロンプトの書き方」に比べて、「読む」は軽視されているかもしれない
おわりに
決断の回数を使い切って、夕方にはあまり考えられなくなるので、疲れるし忙しくて、なんか大変です。
でも、これまで経験したことのない状況で、どんどん新しいサービスを作れるという新しいステージに来た感じがあって、楽しんでいます。
ではよき多面指しライフを!
追記
コメントで、「判断する回数」の上限は一般には「決断疲れ」(意思決定の回数)と呼ばれる話だと教えていただきました。うろ覚えのまま書いていて、判断と決断の違いを意識していませんでした。ありがとうございます!
これを受けて、本文で「決断」の意味で「判断」と書いていたところを「決断」に直しました。AIのアウトプットを読んで良し悪しを見極めるところは、「判断」のままにしています。