はじめに
本記事では、Adobe Experience Manager(以下、AEM)という製品について紹介します。
私は、数年間AEMのカスタマイズ開発に携わってきましたが、まだまだわからないことだらけなので、これを機に色々調べながら、AEMに関する記事を開発者目線で書けたらと考えています。
AEM なんて聞いたことないという方にも、どんな製品かが伝わるように出来るだけ分かりやすく紹介できればと思いますので、AEMに興味がある方や、これからAEMプロジェクトに携わる方の参考になれば幸いです。
Adobe Experience Manager とは?
Adobe Experience Managerとは、Adobe社が提供しているCMS製品になります。
そもそもCMSとは、Content Management System(コンテンツ管理システム)の略で、Webサイトを専門知識なしで作成・更新できるシステムのことです。
世の中に普及しているCMS製品の一例をあげると、
- Wordpress(Automattic)
- Wix(Wix.com) など
世の中には様々なCMS製品がリリースされていますが、AEMとは、その中の1製品に当たるということになります。
つまり、AEMとは・・・
コンテンツ作成者が専門知識なしで作成・更新できる Adobe社製 の製品ということです。
AEM の特徴
AEMの 公式ホームページ では、以下のように謳っています。
Adobe Experience Manager
コンテンツ管理とデジタルアセット管理の最強の組み合わせ
デジタルアセット管理とコンテンツ管理システムの機能を組み合わせたAdobe Experience Managerなら、パーソナライズされたコンテンツ主導型のエクスペリエンスを迅速に市場に投入できます。
つまるところ、Adobe社のもっとも推しポイントは、
- 膨大なWebページコンテンツ
- Webページで使用する画像や動画などのデジタルアセット
この2つを同じシステムで管理することにあるということです。
他にも、以下のような点もセールスポイントとして掲げています。
- AIを活用したコンテンツ作成
- 拡張性・カスタマイズ性・柔軟性を兼ね揃えたヘッドレスCMS機能
- Adobe AnalyticsやAdobe Targetなど、他のAdobe製品との連携
- 直感的な操作感
- 大規模サイト・グローバルサイトにも対応できる堅牢性
特に Adobe Analytics や Adobe Target など、多様なAdobe製品と連携してパーソナライズなどが可能なのは、他社製品との差別化できるところかと思います。
AEM の製品ラインナップ
一口に「AEM」といっても、実はいくつかの製品群で構成されています。
主な製品は以下の通りです。
| 製品名 | 概要 |
|---|---|
| AEM Sites | Webサイトのコンテンツ作成・管理 |
| AEM Assets | 画像・動画などのデジタルアセット管理 |
| AEM Forms | デジタルフォームの作成・管理 |
| AEM Screens | 店舗などのデジタルサイネージ向けコンテンツ管理 |
本記事シリーズでは、主に AEM Sites(Webサイト管理)を中心に扱っていきます。
AEM のデプロイメントモデル
AEM には、大きく分けて以下の3つのデプロイメントモデルがあります。
1. AEM on-premise(オンプレミス)
自社のサーバーに AEM をインストールして運用するモデルです。
インフラの管理はすべて自社で行う必要があるため、運用コストや専門知識が求められますが、環境を自由にカスタマイズできるという柔軟性があります。
2. Adobe Managed Services(AMS)
Adobe がクラウド上のインフラをホスティング・管理してくれるモデルです。
オンプレミスに比べてインフラ管理の負担が軽減されますが、完全なクラウドネイティブ環境ではありません。
3. AEM as a Cloud Service(AEMaaCS)
Adobe が提供するフルマネージドのクラウドネイティブ環境です。
インフラ管理はすべて Adobe 任せで、自動スケーリングや自動アップデートなど、クラウドならではのメリットを享受できます。現在 Adobe が最も推しているモデルでもあります。
本記事シリーズでは、現在の主流である AEM as a Cloud Service を中心に扱っていきます。
AEM はどんな企業・サイトに向いているの?
AEM は WordPress などの一般的なCMSと比べると、大規模なエンタープライズ向けの製品です。
グローバルに展開する大企業や、多言語・多地域のサイトを一元管理したい企業に特に向いています。
WordPress との比較
| WordPress | AEM | |
|---|---|---|
| ターゲット | 個人〜中小企業 | 中大企業〜グローバル企業 |
| 導入コスト | 低い | 高い |
| カスタマイズ性 | プラグインで拡張 | フルカスタム開発 |
| 多言語・多サイト管理 | 工夫が必要 | 標準で対応 |
| 他Adobe製品との連携 | ✗ | ◎ |
| ライセンス | 無料(OSS) | 有償(エンタープライズ契約) |
AEM は導入・運用コストが高い分、大量のコンテンツをグローバルに管理したい・Adobe Analytics や Adobe Target と組み合わせてパーソナライズしたいといったニーズに応えられる強力なプラットフォームです。
最新の生成AI機能
近年、AEM に対する生成AI機能の統合が急速に進んでいるみたいです。
ここでは、少しだけAEMに関連する主なAI技術を紹介します。
- Adobe Firefly
- テキストプロンプトから画像を直接生成・編集できる
- 最適化したコンテンツバリエーションをAIが自動生成する
- AI Assistant
- コンテンツ作成者がAEMの操作に関する質問を自然言語で問い合わせることができる
私が調べられたのは、これだけでしたが、恐らくまだ他にも沢山生成AIを使った機能は存在し、また、これからもどんどん機能が追加されていくと思われます。
これらのAI機能の多くは AEM as a Cloud Service でのみ利用可能です。オンプレミスやAMSでは利用できないものも多いため、最新AI機能を活用したい場合はAEMaaCsへの移行が前提となります。
まとめ
本記事では、AEMの概要について以下の内容を紹介しました。
- AEMはAdobe社が提供するエンタープライズ向けCMS製品
- AEM Sites / Assets / Forms / Screens などの製品群で構成されている
- デプロイメントモデルは、オンプレミス・AMS・AEMaaCsの3種類があり、現在は AEMaaCS が主流
- WordPress などと比べて大規模・グローバルサイト向けの製品
- 生成AIを活用した機能がこれからどんどん追加される見込み(但し、AEMaaCs のみ)