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「独自開発環境」をチームリポジトリで活用する

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サマリ

本記事では、チーム開発において各メンバーが異なる開発環境を持つ場合の「独自設定」管理方法について説明します。Gitブランチとcherry-pickを活用したシンプルな手法により、個人の開発環境設定をリポジトリで管理しながら、チーム開発の混乱を避ける方法を提案します。この手法により、独自のDocker設定やLLMルールファイルなどを安全に管理し、チーム開発に支障をきたすことなく個人の開発効率を向上させることができます。

本文

背景と課題

チーム開発においては、開発環境を統一することで余計なトラブルを避け、開発効率を向上させることが理想的です。しかし、現実には以下のような理由で開発環境がバラバラになることがあります:

  • PCのスペックの違い
  • 別プロジェクトでの作業環境との兼ね合い
  • OSの違い(Windows、macOS、Linux)
  • データベースやサーバー構成の違い
  • Docker使用の有無

さらに、AIを活用したシステム開発では、独自に調整したLLMルールファイルを開発ツリーに追加したくなることもあるでしょう。

このような状況では、チームで管理するリポジトリに「独自の設定等」を追加して、自身の開発環境を構築したくなります。しかし、その結果として以下のような葛藤が生まれます:

  • 「独自の設定等」もリポジトリで管理したい
  • でも本家のリポジトリやブランチには入れられない
  • かといって個人のローカル環境だけで管理するのは不便

提案する解決方法

このような課題に対して、シンプルでコミットミスのリスクが少ない方法を検討しました。以下に4つのステップで構成される手法を説明します。

ステップ1: 本家リポジトリをフォークする(オプション)

「独自の設定等」をコミットするためのブランチ作成が許可されていない場合は、本家リポジトリをフォークします。フォーク作成も許可されていない場合は、ローカルブランチとして管理することを割り切るのがシンプルです。

ステップ2: 「独自ブランチ」の作成と管理

「独自の設定等」を管理するための専用ブランチ(「独自ブランチ」)を作成します。このブランチでは以下のようなファイルを管理します:

  • 独自のDocker構成ファイル
  • 個人用の環境設定ファイル(.env)
  • LLMルールファイル
  • その他の個人設定ファイル

重要なポイント

  • 修正コミットしたら都度rebaseまたはsquashして、このブランチには単一のコミットのみが存在するようにする
  • 既存ファイルの修正は最小限に留める

独自ファイルを追加して差し替えスクリプトを実行する方式を採用するのもよいかもしれません。

ステップ3: 開発ブランチでの作業

新規開発のためのブランチを作成し、最初に「独自ブランチ」の内容をcherry-pickします。
「独自ブランチ」が単一のコミットで構成されているので、cherry-pickが簡単になります。

cherry-pickを選択する理由
「独自ブランチ」をmergeしようとすると、独自設定以外のコミットの扱いを考慮する必要があり、作業が複雑になります。cherry-pickにより、必要な変更のみをシンプルに取り込むことができます。

ステップ4: マージ用ブランチでの統合

マージ用ブランチ(フォークした場合はmainブランチ、そうでなければ別途作成したブランチ)から、開発ブランチのうち「独自ブランチ」の内容以外をcherry-pickします。

cherry-pickを選択する理由
mergeを使用すると、後で「独自ブランチ」の内容を除去する必要が生じるため、作業が複雑になります。cherry-pickにより、必要な変更のみを確実に取り込むことができます。

取り込んだらプルリクエストを作成します。

継続的な開発とメンテナンス

さらなる修正が必要な場合

開発ブランチで引き続き作業し、マージ用ブランチでcherry-pickを繰り返します。

「独自ブランチ」のメンテナンス

軽微な修正の場合
修正、コミット、rebase(squash)を繰り返します。

システム構成が大幅に変更された場合

  1. mainブランチから新しい「独自ブランチ」を作成
  2. 古い「独自ブランチ」からcherry-pick
  3. 修正、rebase(squash)を実行してアップデート

結論

本記事で提案した手法により、チーム開発における「独自開発環境」の管理問題を解決できます。この手法の主な利点は以下の通りです:

得られた結論

  1. シンプルな管理: cherry-pickとrebase/squashを活用することで、複雑なマージ操作を避けながら、必要な変更のみを確実に取り込むことができます。

  2. リスクの最小化: 独自設定が本家ブランチに混入するリスクを大幅に削減し、誤ったコミットによる影響を最小限に抑えることができます。

  3. 柔軟性の確保: フォークの有無に関わらず適用可能で、組織のポリシーに応じて柔軟に対応できます。

  4. 継続的な開発: 「独自ブランチ」のメンテナンス方法も明確化されており、長期的な開発プロジェクトでも持続可能です。

制約と限界

この手法には以下の制約があります:

  • 学習コスト: cherry-pickとrebaseの操作に慣れる必要があります
  • メンテナンス負荷: 「独自ブランチ」の更新は手動で行う必要があります
  • チーム規模: 大規模なチームでは、各メンバーの「独自ブランチ」管理が複雑になる可能性があります
  • ツール依存: Gitの高度な機能に依存するため、Gitの理解が浅いメンバーには適用が困難な場合があります

これらの制約を理解した上で、チームの状況に応じて適切に活用することが重要です。

参考

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