目標設定の途中変更について
ITやスタートアップ企業ではOKRやMBOなどのフレームワークを用いた目標設定が増えてきているように思います。書籍や解説記事も充実しているため、目標管理の全体のやり方について理解が広まっているのではないでしょうか。一方、期中の目標の変更方法についてはあまり触れられていないように感じます。ここでは、目標設定における変更方法について、私の考えをまとめたいと思います。
※ MBOやOKRの概要については触れません
なぜそう思ったか?
OKRに代表されるような近年の目標管理では、「ムーンショット」(困難だが実現すれば大きなインパクトのあるワクワクする壮大な目標や挑戦)が設定されるように推奨されます。
ただ、期間や難易度を検討せずにただただ現実離れした目標を立てるとどうなるでしょうか?設定当日はその野心に心踊らされるものの、次第に現実と目標とのギャップに気づかれれて、気づけば目標シートさえ見なくなる..といったことがありえます。
また、技術やトレンドの移り変わりが早い現代において、当初予想していなかった要因によって目標達成が困難になる(容易になる)ことも日常茶飯事です。どのような場合に、目標を変更すべきなのでしょうか?
代表的な目標設定手法の変更に対する考え方
それぞれの目標変更についての考え方を整理します。
目標管理制度(MBO)
目標変更に対して、明確な記述があるわけではありませんでした。(諸説あるようです)ただ、目標を柔軟に解釈するための手法が用意されています。書籍「目標管理の教科書」では 「終了時点で仕事の質を評価して、それをもって目標設定に代替する(後追い設定)」 が述べられています。
手段や手順の質や、明確に描けない成果物の質の高さを、目標設定の時点で具体的にするのは難しい。では、どうするか。やむを得ず、目標の質的部分の詳細は後追い的に設定する。つまり、仕事の終了時点で仕事の質を評価して、それをもって目標設定に代替する、という方法
五十嵐 英憲. 目標管理の教科書 (Japanese Edition) (p.96). Kindle 版.
この、後追い設定を利用することで、目標設定に途中解釈を加えることは可能です。ただ、あくまで既存目標への後追いなので、思い切った廃止やピボットは難しそうです。
Objectives and Key Results (OKR)
こちらも諸説あるようです。変更が認められているというケースもあれば、たとえあやまった目標でも走り切ることが推奨されている場合もあります。書籍「OKR(オーケーアール)」では変更について、以下のように記載されていました。
OKRを四半期の途中で変えてはいけない。設定を誤ったことに気がついたら、くよくよせずに進み、失敗するなり楽々成功するなりの結果が出てから、その経験を活かして次回はもっとうまく設定しよう。
クリスティーナ・ウォドキー. OKR(オーケーアール) (Japanese Edition) (p.140). Kindle 版.
ただ、やはり目標は変更してもよいのでは
ここまで、どちらかというと、「設定変更はしない」というスタンスを感じられましたが明確な変更ルールがないというのが所感でした。
一方、目標を変更しないことで事業成果にも影響が起こることも考えられます。
私個人としても、 形骸化した目標であるなら早期に軌道修正すべき だと考えています。
では、どのようなタイミングで変更すべきなのか、いくつかケースを紹介します。
事業(組織)の方針変更にともなう、KGI/KPIの変更
個人の目標を変更しないのは、目的地が変更になっても、従来の目的地に歩き続けているようなものです。遠回りするか、迷子になるのでコース変更を検討しましょう。
コントロールできないクリティカルパスが存在した
なるべくコントロール可能な目標をたてることが大前提ですが、それでも起こり得ることです。
想定外の出来事で、チームの総力をもってしても解決困難な事態であった場合は早期に軌道修正すべきです。
目標達成が著しく容易になった
努力と工夫の末、想定より早期に達成することもありますが、「やってみたら以外に簡単だった」こともありえます。期の序盤で達成した場合は、(達成を称えつつも)上方修正するか別の目標をたててさらに高みを目指しましょう。
まとめ
- 立てた目標は変更しないのが理想
- とはいえ、形骸化した目標をたてるくらいなら、変更しましょう
最後に、変更することの注意点も認識しておく必要があります。たとえば、期限1週間前に目標変更をしても、できることは限られるように、 期間中の変更が後になればなるほど、高難易度の目標に変更することは現実的ではなくなってきます 。変更された目標は当時立てた目標レベルより難易度が低くなる可能性が高いことは共通認識として持っておくべきです。これに関わらず、目標変更のルールや前提条件をチームで定め、理想的な目標設定のサイクルを作りましょう。
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