はじめに
長年 Evernote を愛用してきたユーザーの間で、度重なる値上げや無料枠の厳しい制限(ノート上限50件・ノートブック1冊など)を受け、「Evernote難民」として移行先を探す動きが続いています。
Notion や Obsidian など多くの代替候補が存在しますが、以下のような課題を感じることも少なくありません:
- Notion:多機能で強力だが、純粋なメモや知識ベースとしては重厚すぎる。
- Obsidian:ローカルファイル管理は快適だが、公式同期が有料で、添付ファイルが保管庫を圧迫しやすい。
- Memos など:手軽だが、タイムライン形式が中心で、慣れ親しんだ階層型ノート管理とは使用感が異なる。
「信頼でき、高速で、データが100%手元にあり、あの使い慣れた3ペイン(ノートブックツリー・ノート一覧・エディタ)で整理できるノートアプリが欲しい」——そうした思いから生まれたオープンソースプロジェクトが EdgeEver です。
本記事では、EdgeEver の機能概要、アーキテクチャ、および Cloudflare Serverless / Docker でのセルフホスト導入手順を詳しく解説します。
EdgeEver の主要機能と特徴
1. クラシックな「3ペイン構成」
左から順に「ノートブックツリー」「ノート一覧」「エディタ」が並ぶ、Evernote 往年の使い勝手をそのまま継承しています。
デスクトップ版では、執筆に集中できる「フォーカスモード」も利用可能です。
2. サーバー費用ゼロ円で運用可能(Cloudflare Serverless)
EdgeEver の最大の特徴の一つが、Cloudflare の無料枠内だけで個人ノート環境を完結できる 点です:
- Cloudflare Workers:低レイテンシなエッジ API
- Cloudflare D1 (SQLite):軽量かつ高速なリレーショナル DB
- Cloudflare R2:画像や添付ファイル用の S3 互換ストレージ
無料枠の目安として、個人利用なら短いノート約15万件、画像約5万枚 を追加コストなしで保存できます。
3. ベンダーロックインなし・完全なデータ所有権
データは標準的な SQLite と Markdown で透過的に扱われます。
ワンクリックで Markdown、Front Matter、入れ子フォルダ構造、画像・添付ファイル、版履歴を含んだ 完全な ZIP エクスポート が可能。いつでも手元にデータをバックアップできます。
4. ネイティブな AI Agent 連携(MCP 対応)
Anthropic が策定した Model Context Protocol (MCP) をネイティブサポート。
Claude Code、Antigravity、Codex などの AI エージェントから、ノートの検索・要約・整理がシームレスに行えます。また、OpenAI / Anthropic / Gemini 互換の API キーを設定することで、エディタ内で要点抽出や校正、続きの執筆も可能です。
5. マルチプラットフォーム対応
Web 版だけでなく、全プラットフォーム向けにクライアントが提供されています:
- Desktop:macOS (Apple Silicon / Intel)、Windows、Linux
- Mobile:iOS(App Store)、Android(Google Play)
- Web Clipper:Chrome、Edge、Firefox 拡張機能(ワンクリックで Web 記事を取り込み)
導入手順(セルフホスト)
EdgeEver は用途に合わせて、Cloudflare または Docker のいずれかで簡単にセットアップできます。
オプション A:Docker での一発セットアップ(推奨:VPS / NAS / 自宅サーバー)
VPS や NAS(Synology、QNAP など)をお持ちの場合、以下のワンライナーで即座にインストール・起動できます:
curl -fsSL https://edgeever.org/install.sh | bash
オプション確認やカスタマイズを行いたい場合:
curl -fsSL https://edgeever.org/install.sh | bash -s -- --help
Docker Compose を利用して、バックエンド API、フロントエンド Web、SQLite データベース、ローカルストレージが一括で立ち上がります。
オプション B:Cloudflare Serverless へのデプロイ(推奨:サーバーレス・無料運用)
Cloudflare アカウントがあれば、自前のサーバーを購入・保守することなく完全無料で運用できます。
-
リポジトリのクローンと依存関係のインストール:
git clone https://github.com/tianma-if/edgeever.git cd edgeever bun install -
Cloudflare リソース(D1 / R2 / KV)の作成:
# D1 データベース作成 bunx wrangler d1 create edgeever-db # R2 バケット作成 bunx wrangler r2 bucket create edgeever-storage -
マイグレーションの実行とデプロイ:
bun run db:migrate:d1 bun run deploy:cloudflare
技術スタック一覧
| 区分 | 採用技術 |
|---|---|
| フロントエンド | React, TypeScript, Tailwind CSS, shadcn/ui |
| バックエンド | Hono (Cloudflare Workers / Node.js ランタイム共通) |
| データベース | Cloudflare D1 / SQLite |
| ストレージ | Cloudflare R2 / S3 互換ローカルストレージ |
| モバイル | React Native (Expo) / Swift (iOS) |
| プロトコル | REST API, Model Context Protocol (MCP) |
バックエンドに Hono を採用したことで、Cloudflare Workers 上で極めてフットプリントが小さく高速に動作するだけでなく、Docker(Node.js)環境でも同一コードベースを共有できる設計になっています。
まとめ・リンク集
「Evernote の値上げに頭を抱えていた」「クラウドベンダーに依存しない個人知識ベースを作りたい」という方は、ぜひ一度試してみてください。
- 公式サイト:https://edgeever.org
- オンラインデモ(登録不要):https://demo.edgeever.org
- GitHub リポジトリ:https://github.com/tianma-if/edgeever
日本語ローカライズも完了しており、UI の設定からすぐに日本語で利用できます。
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