前回の記事では、会社で導入した DGX Station GB300 の構成と、社内サービスとしての展開をお伝えしました。
今回は、DGX Station で動かしているローカル LLM (DeepSeek-V4-Flash-Vision-Exp) に PowerPoint の資料を作らせ、かかった時間と内容の正確さを確かめました。
概要
- DGX Station のローカル LLM を Claude デスクトップに設定しました
- Claude デスクトップの Cowork からスライド作成を依頼し、20 枚の PowerPoint 資料を約 6 分 30 秒 (1 枚あたり約 19 秒) で作ることができました
- 「Claude Codeの使い方」の資料を作らせたところ、一部ミスはあったものの、概ね正しいスライドを作ることができました
以下は、出来上がった 20 枚のスライドを縮小して並べた画像です。
今回の構成
今回は、Claude デスクトップ をサードパーティモードに設定し、ローカル LLM を使って資料の作成を行いました。
サードパーティモードは、推論の接続先を利用者が指定したプロバイダーへ切り替えるモードです。
接続先には、Amazon Bedrock などのクラウドのほか、自分たちで運用する LLM ゲートウェイも指定できます (参考記事)。
今回は接続先を社内の LiteLLM へ向け、Claude デスクトップからのリクエストを DGX Station の DeepSeek-V4-Flash-Vision-Exp で処理させました。
以下は Claude Cowork でスライドを作成させているスクリーンショットです。
画面の右下にはモデルの名前として Opus 5 と表示されていますが、実際にはこの名前で届いたリクエストを LiteLLM が DeepSeek-V4-Flash-Vision-Exp へ振り分けて処理しています。
実行した環境
2026 年 9 月 24 日に、以下の環境で実行しました。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| Claude デスクトップ | 2.7032.0 |
| Docker | 29.1.3 |
| LiteLLM | 1.101.0 |
| vLLM | dsv4-vision ブランチの 5ab628dd1 |
| モデル | DeepSeek-V4-Flash-Vision-Exp |
vLLM は、DeepSeek-V4-Flash-Vision-Exp 対応ブランチのコンテナイメージを使っています。
プロンプト
Claude Cowork に作らせたスライドの題材は「Claude Codeの使い方」です。
Claude Code を使ったことがない社内の開発者に向けた、20 枚の資料を指定しました。
Cowork へ入力したプロンプトの全文は、以下のとおりです。
プロンプトの全文
「Claude Codeの使い方」という PowerPoint 資料を作ってください。
# 読み手
社内の開発者です。Claude Code を使ったことがない人を想定してください。
# 形式
- ファイル名は claude-code-usage.pptx にしてください。
- スライドは 16:9、全 20 枚にしてください。
- 本文は日本語で書いてください。
- 1 枚のスライドに載せる箇条書きは 5 行までにしてください。
- コマンドやファイル名は等幅フォントで書いてください。
# レイアウト
- 全スライドを同じレイアウトにしないでください。スライドの内容に合わせてレイアウトを選んでください。
- 以下のレイアウトから、5 種類以上を使ってください。
- 箇条書き
- 左右 2 列の比較(例: 良い指示と悪い指示)
- 手順を矢印でつないだ流れ図(例: インストールから起動まで)
- 表(例: スラッシュコマンドの一覧)
- コマンドや設定ファイルの例を大きく見せるコード表示
- 要点を 3〜4 個の枠に分けて並べるカード
- 一文だけを大きく見せる強調
- 同じレイアウトを 3 枚以上続けないでください。
- 箇条書きのレイアウトは、全体の半分以下にしてください。
- 配色とフォントは、全スライドで統一してください。
# 構成
1. 表紙(タイトル「Claude Codeの使い方」)
2. 目次
3. Claude Code とは
4. Claude Code でできること
5. 動作環境
6. インストール方法
7. 初回の起動とログイン
8. 基本的な操作
9. 指示の出し方のコツ
10. ファイルの読み込みと編集
11. コマンドの実行
12. CLAUDE.md の役割
13. CLAUDE.md の書き方
14. よく使うスラッシュコマンド
15. 権限の設定(ツールの実行をどこまで許可するか)
16. Plan モード(実行前に計画を立てさせる)
17. IDE との連携
18. Git との連携
19. 使うときの注意点(機密情報の扱いなど)
20. まとめ
# 内容の正確さ
- 内容は Claude Code の公式ドキュメント(https://docs.claude.com/ja/docs/claude-code/overview)に基づいて書いてください。
- 公式ドキュメントで確認できなかった内容は書かないでください。
- 各スライドのノート欄に、根拠にしたページの URL を書いてください。
# 完成の確認
- 作成後、全スライドを画像にして見た目を確認してください。
- 文字のはみ出しや重なりがあれば直してください。
- 最後に、作ったスライドの一覧と、各スライドで使ったレイアウトと、確認できなかった点を報告してください。
このプロンプトでは、以下の 4 点を指定しました。
- スライドの構成は 20 枚
- レイアウトは、7 つの候補から 5 種類以上を使い分ける
- 内容の正確さ
- 公式ドキュメントに基づいて書くこと
- 確認できない内容は書かないこと
- ノート欄に根拠の URL を書くこと
- 最後に作ったスライドの内容を報告する
Claude デスクトップが行った作業
ローカル LLM を設定した Claude デスクトップに上記のプロンプトを送信したところ、以下の順に作業が進みました。
- Claude 公式ドキュメントのページを取得し、資料に書く内容を集める
- 20 枚それぞれにレイアウトを割り当てる計画を立てる
- Node.js のライブラリである PptxGenJS で、pptx を生成する
- 生成した pptx ファイルの内容を検証する
- pptx を PDF へ変換し、全スライドを画像にして見た目を確認する
- 文字のはみ出しや重なりを修正し、pptx を生成し直す
Claude デスクトップは以上の作業を順に進め、約 6 分 30 秒で資料を完成させました。
出来上がった資料
出来上がった 20 枚のスライドの概要は、以下のとおりです。
| 枚目 | 題名 | 概要 |
|---|---|---|
| 1 | 表紙 | 題名と対象読者 |
| 2 | 目次 | 本編を 4 つに分けた目次 |
| 3 | Claude Code とは | 従来のコーディング支援との比較 |
| 4 | Claude Code でできること | 主な用途 4 つ |
| 5 | 動作環境 | OS やハードウェアの要件 |
| 6 | インストール方法 | インストールの 4 手順 |
| 7 | 初回の起動とログイン | 起動から認証までの 4 手順 |
| 8 | 基本的な操作 | 起動のしかたと主なキー操作 |
| 9 | 指示の出し方のコツ | 曖昧な指示と具体的な指示の例 |
| 10 | ファイルの読み込みと編集 |
@ によるファイルの参照と変更の承認 |
| 11 | コマンドの実行 | コマンドの例 |
| 12 | CLAUDE.md の役割 | CLAUDE.md の役割と置き場所 |
| 13 | CLAUDE.md の書き方 | CLAUDE.md の記述例 |
| 14 | よく使うスラッシュコマンド | 主なスラッシュコマンド 7 つ |
| 15 | 権限の設定 | 権限モードの比較 |
| 16 | Plan モード | Plan モードの 4 手順 |
| 17 | IDE との連携 | VS Code と JetBrains の比較 |
| 18 | Git との連携 | Git の操作を頼む例 |
| 19 | 使うときの注意点 | 注意点 4 つ |
| 20 | まとめ | 締めの一文と要点 |
ローカル LLM が生成したスライドの例は、以下のとおりです。
内容の正確さ
スライドの記述を、Claude Code の公式ドキュメントと照らし合わせました。
照らし合わせには Claude Code (モデルは Claude Opus 5.5) を使いました。
20 枚のスライドのうち、公式ドキュメントと明らかに食い違う記述があったのは、18 枚目の 1 枚だけでした。
18 枚目では、「マージコンフリクトの解決を手伝って」という例文に「PDF 解決」という見出しが付いていました。
例文の内容から、「コンフリクト解決」と書くべきところを誤ったものと考えられます。
また、誤りではないものの、伝わりづらい日本語が含まれているスライドもありました。
たとえば 15 枚目では、Manual モードの説明に「初期状態 読み取り専用から開始」と書かれています。
これは「Manual モードでは読み取り専用の状態から始まる」という意味ですが、Manual モードが既定のモードであるとも読めてしまいます。
現在の Claude Code では、Pro、Max、Team のプランの既定の権限モードは auto モードです (参考記事)。
かかった時間とトークン数
LiteLLM がリクエストごとに記録している値を集計しました。
所要時間には Web 検索にかかる時間も含まれています。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 所要時間 | 約 6 分 30 秒 |
| 1 枚あたりの時間 | 約 19 秒 |
| 推論リクエスト数 | 53 件 |
| 入力トークン | 約 6.29M トークン |
| 出力トークン | 約 59.7K トークン |
| 1 リクエストの入力の最大 | 約 151K トークン |
生成の速度
前回の記事と同じ基準で対象のリクエストを選び、生成の速度を集計しました。
出力が 100 トークン以上かつ生成に 1 秒以上かかったリクエスト 31 件を対象にしています。
| 項目 | 中央値 | 90 パーセンタイル |
|---|---|---|
| 生成の速度 | 約 229 tokens/s | 約 173 tokens/s |
| 最初のトークンまでの時間 | 約 0.82 秒 | 約 1.14 秒 |
前回の記事では、生成の速度の中央値は約 273 tokens/s でした。
今回はそれより遅くなりましたが、これはほかのユーザが利用している中で実験を行ったためと考えられます。
所感
実際に使ってみると、スライドが出来上がるまでの時間はかなり短く感じました。
また、内容とレイアウトは、どちらも概ね満足できるものでした。
ただし、伝わりづらい日本語が含まれている箇所もあります。こうした細かい記述や見た目は、スキルで指示を加えて調整したほうがよいと感じました。
参考にした資料
この記事で引用した内容の出典です。







