社内文書を検索して答えるRAGのデモまでは作れたのに、答えの精度をどう測るのか、エージェントとしてどう組み込むのかで手が止まる。評価の仕組みがないままだと、改善しても良くなったのか悪くなったのかが分からず、本番に出す判断ができない。『LangChainとLangGraphによるRAG・AIエージェント[実践]入門』は、RAGの作り方から評価、エージェントの設計までを、ハンズオンでつないでいく本だ。
OpenAI APIとLangChainの基礎を押さえてから、RAGに入る
最初の章でLLMアプリ開発の基礎とAIエージェントの知識地図を整理し、次にOpenAIのチャットAPIの基本へ進む。その先でRAGの実践的な手法に入るので、ツールの名前だけを追いかける読み方にならずに済む。
LangSmithとRagasで、RAGを評価するところまで書かれている
第7章はLangSmithとRagasを使ったRAGアプリケーションの評価で、合成テストデータの生成、オフライン評価の実装、フィードバックの収集と活用までを扱っている。作って終わりにせず、測って改善する流れまで示してくれるのが実務向きだ。
LangGraphでエージェントを作り、デザインパターンまで広がる
第9章からはLangGraphによるAIエージェントで、チェックポイント機能による状態の永続化と再開も取り上げる。第10章では要件定義書を生成するエージェントを作り、第11章と第12章でエージェントのデザインパターンと、その実装へ進む。
読んでおきたい理由
- RAGの章を読むと、検索の工夫をどこに入れると精度が変わるのかを、自分のアプリに当てはめて考えられる
- 第7章の評価の流れが、「良くなったか」を数字で説明するための、社内向けの下敷きになる
- LangGraphの章で、状態を持つエージェントの組み方を、手を動かして確かめられる
- 要件定義書を生成するエージェントの章が、自分の業務の文書作成に置き換えて試す題材になる
- デザインパターンの章が、エージェントの設計をチームでレビューするときの共通言語になる
まとめ
RAGは、作れるようになったあとに、評価して育てる段階で差がつく。まずは第7章の評価の流れを読み、いま手元にあるRAGに、10問だけでもテスト用の質問を用意して当ててみてほしい。