HTTPSの設定やパスワードのハッシュ化は日常的に扱っているのに、そこで何が起きているのかを聞かれると、うまく説明できない。中身を知らないまま使っていると、設定を間違えたときや、新しい攻撃の話題が出たときに、判断の根拠を持てない。『暗号技術入門 第3版』は、暗号の基礎を、たくさんの図とやさしい文章で解説する本だ。
暗号、認証、技術の順に、一本の流れで読める
はじめに暗号の世界をひとめぐりしたあと、第一部で歴史上の暗号、対称暗号、ブロック暗号のモード、公開鍵暗号、ハイブリッド暗号システムへ進む。第二部では一方向ハッシュ関数、メッセージ認証コード、デジタル署名、証明書と続くので、日頃使っている用語が、全体のどこに位置づくのかを確認できる。
SSL/TLSやPGP、新しい話題にも触れている
SSL/TLSやPGPといった身近な技術に加えて、第3版ではSHA-3とKeccakの構造、POODLEなどのSSL/TLSへの攻撃、認証付き暗号、ビットコインと暗号技術の関係、楕円曲線暗号が取り上げられている。基礎だけでなく、実際に話題になったことも拾える。
読んでおきたい理由
- 対称暗号と公開鍵暗号の違いを整理すると、HTTPSの通信で鍵がどう使われているかを説明できるようになる
- ハッシュ関数とメッセージ認証コードの章が、パスワード保存や改ざん検知の設計を考えるときの根拠になる
- デジタル署名と証明書の話を読むと、証明書エラーが出たときに何を疑えばいいかの見当がつく
- SSL/TLSへの攻撃の話を知っておくと、設定の見直しや脆弱性情報を読むときの理解が深まる
- 楕円曲線暗号や認証付き暗号の紹介が、新しい方式の名前を見たときの最初の足場になる
まとめ
暗号は、中身を知らないと、設定の意味も攻撃の話も表面的にしか分からない。まずは第一部の対称暗号と公開鍵暗号の章を読み、自分が普段使っているHTTPSの通信で、どちらがどの場面で使われているかを、自分の言葉で書き出してみてほしい。