「うちもCSIRTを作ろう」という話が出たとき、何人でどんな役割の人を集めればいいのか、どこから手をつければいいのか、答えられる人は意外と少ない。専任のセキュリティ部隊を置けるほどリソースがない組織ほど、その悩みは切実になる。『今からはじめるインシデントレスポンス――事例で学ぶ組織を守るCSIRTの作り方』は、その立ち上げの一歩目から運用までを、実際の現場知見をもとに順を追って示してくれる本だった。
脅威とインシデントの全体像から入るので土台がぶれない
本書はまずサイバー空間の脅威とインシデントの全体像を押さえたうえで、CSIRTの基礎知識、必要な人材と組織構成、立ち上げのステップとポイント、そして実際の運用方法という流れで進んでいく。いきなり「作り方」から入るのではなく、なぜその体制が必要なのかという土台から積み上げてくれるので、経営層やほかの部署に説明するときの言葉に困らなくなった。
立ち上げのステップが手順として追える
CSIRT立ち上げのステップとポイントの章は、人材確保・役割分担・社内での位置づけといった、実際に手を動かす段階で迷いやすいポイントが具体的に整理されていて、自分の組織に当てはめながら読み進められる構成だった。
読んでよかったポイント
- CSIRTの基礎知識の章を読んでから、自社に必要な体制の規模感を、大企業向けの理想論ではなく現実的な範囲で考えられるようになった
- 人材と組織の章が、専任者を置けない組織でも兼任でどこまでカバーできるかの判断材料になった
- 立ち上げのステップの章を、社内提案の資料を作るときの骨子としてそのまま参考にできた
- 運用方法の章を読んでから、インシデント発生時の連絡フローを事前に整備しておくことの重要性を実感した
- 実際の運用事例が紹介されていて、教科書的な理想論だけでなく現場でつまずきやすい点まで見えた
まとめ
CSIRTは一朝一夕に完成するものではない。まずはこの本で自社に必要な体制の輪郭を描いてみて、次の社内提案の一歩を踏み出してみてほしい。