#はじめに
この記事はトラストバンクアドベントカレンダー11日目の記事です。
みなさんこんにちは。 トラストバンクCTO やまけん / 山崎賢 ( @yamaken66 )です。
突然ですが、私はサンボマスターが大好きです。このブログのタイトルも当然、大好きなサンボマスターの代表曲
「できっこないをやらなくちゃ」からいただいてます!
今日はエンジニアの苦悩と、そこから来るジレンマ、そこに対する提案を記載していきたいと思います。
これは有名は絵です。
多くのプロジェクトが伝言ゲームで要件が受け渡されるため、エンジニアに対しては本来の顧客の課題が明確でない状態で、
「こんな感じのものを1ヶ月で作って欲しい。できる?」
というコミュニケーションがされることが多いです。
「まぁできるんじゃないですか?」
と答えようものなら、要件がもりもりになったものが後で渡されて
「できるっていいましたよね? もう納期変えれません」
とか言われたり。 涙
エンジニアはいつだって最終工程なので、結局納期を守るためには時間を捧げるしか無くなることが多いです。
これも有名な
「不確実性のコーン」です。
要件が定まっていない時点の見積もりなんて、4倍の誤差が発生しますよってことです。
こういったやりとりが続くと、エンジニアは簡単に「できます」と言えなくなります。
「できます」という代わりに自分を守るためのステルスなバッファを盛り込んだり、工数を多めに見積もることをやり始めます。これは過去の経験から自分と仲間を守るための行為です。
特に事業会社において、
「それはできません」
「今月は入りません」
というコミュニケーションが飛び交います。
これは本当に出来ないケースも多く含んでいますが、場合によっては保守的なコミュニケーションに起因して発言されているケースもあります。
考えてみてください。エンジニアはスペシャリストです。エンジニアに相談する側は多くの場合、非エンジニアです。
例えば、あなたが所有している車が故障したとして、ディーラーに修理に持っていきます。
ディーラーのエンジニアが
「これは部品の取り寄せなども必要なので、2週間修理に掛かります」
と言われて、どう思いますか?
特別に車の構造に詳しい人でない限り、ディーラーの言葉を鵜呑みにするしかないですよね。
エンジニアの言う「できない」という言葉は同じ重みを持ちます。
言われる側からすると、できないと言われた言葉をそのまま持ち帰るしか出来ないことが多いです。
なぜならエンジニアの脳内の見積もりに対して議論する術を持っていないから。
エンジニアは魔法使いではありません。物理的に不可能なことを可能にする必要はありません。
ただ、エンジニアが発信する「できない」という魔法は、とてつもない破壊力を持っています。
その破壊力は多くのビジネスの可能性を破壊します。
もし、あなたが言う「できない」が少しでも保守的な要素をはらんでいるのだとしたら、出来る方法を一緒にビジネスサイドと考えてみてください。
冒頭で出てきたブランコの絵のように、本当に顧客が望むものはもっと違うところあり、エンジニアだったらもっと簡単に解決できるものも存在します。
抽象度の高い依頼で今後の工数の増大を恐れるなら、それをしっかりと説明し、ジャッジポイントを設けて見積もりと納期に調整余力を持たせて依頼元と握ってください。
「難しいけど出来る方法を一緒に考えたい」
と言ってみてください。 その瞬間に周囲の全ては仲間になり、課題はみんなのものになり、プロジェクトはチームの宝になります。
そういったコミュニケーションをするエンジニアは、自然と周囲の信頼と信望を集め、結果としてその人が発信する言葉は多くの熱量を持ち周囲を巻き込み、結果として苦難が待ち構えていたとしても、その苦難は最終工程のエンジニアが時間を捧げるべき苦難でなく、チーム/プロジェクトの共通の課題になるでしょう。
「できっこないをやらなくちゃ」
スペシャリストであるエンジニアこそ、誰よりも柔軟に出来る方法を考える人でありたいと思っています。