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海外カンファレンスの洗礼(違法タクシー編)

Last updated at Posted at 2025-12-13

はじめに

JSNation USReact Summit US 2025に参加してきました。
カンファレンスの詳細については、ZOZO TECH BLOGにて順次公開予定ですのでぜひご覧ください。
本記事では、カンファレンス参加にあたって 空港から宿泊先まで利用したタクシーがおそらく違法タクシーだった件について、そのときの体験と後日実際に行った対処方法をまとめます。

経緯

開催場所はNYということで、JFK空港からホテルに向かうことになります。昨年も参加していたので、前回同カンファレンスに参加した時同様Uberを呼ぼうとしたところ、現在は空港でのピックアップが禁止となり、少し離れたHoward Beachでしかピックアップできないとのことでした。
後から調べたところ、現在JFKのTerminal 7とTerminal 5ではUberのピックアップが禁止になっているそうです。(詳細

そこで、空港からの移動手段としては主に次の3つになります。

  1. AirTrain JFKを使ってHoward Beach駅へ移動して、そこから Uber/Lyft等の有料配車サービスを利用
  2. 空港からタクシーを使う
  3. AirTrainや地下鉄などの公共交通機関を使う

今回は健康上の都合で2.を選択しました。念の為にタクシー乗り場の側にいた空港職員(のように見える人)にこのタクシーは安全か、公式なものかを確認してから乗車しました。

しかし、宿泊先までの道のりは、昨年Uberを利用したときとは明らかに異なるルートで、かなり時間がかかりました。
ホテル付近に着いたあと、薄暗い路地に車を移動され、そこで支払いをする流れになりました。提示された金額はあまりにも高額で驚きましたが、その場では 自分の身の安全を最優先と判断し、いったん支払いに応じました。

その後、現地の知人にこの件を話したところやはり違法タクシーである可能性が高いということで、各所へ通報することにしました。

やったこと

今回行った対応は、次の4ステップです。

  1. 違法タクシー業者に返金要求の連絡(メール/SMSで証拠として残す)
  2. TLC(NYC311)に通報
  3. DCWPに通報
  4. クレジットカード会社へ異議申し立て(chargeback)
    (クレジットカード会社への連絡は一番最初でも大丈夫です。)

1. 違法タクシー業者に返金要求の連絡

なぜ返金を要求する必要があるのか

まず、違法タクシー業者に連絡しても返金される可能性はゼロです。
それでも返金を要求する理由は、クレジットカード会社へ異議申し立てする際や、各機関に通報する際の「証拠」になるからです。

「返金されたかどうか」よりも、「連絡し、返金を求めたという事実」が重要

という位置づけなので、この段階で返金は期待しなくて大丈夫です。

実際に送った文章例

私はレシートに記載されていたメールアドレス宛に、次のようなメールを送りました。

I am contacting you regarding the fare charged for my trip on November 16, 2025, from JFK Airport to Manhattan (Vehicle: XXX, License Plate XXX).

I was charged a total of $568.71, which is extremely inconsistent with the standard NYC TLC-regulated rates for this route.
For reference, the official flat fare for yellow/green taxis is $70, and even with tolls and reasonable tips, the total normally ranges from $90–$110.
In particular, the toll amount of $98.50 and credit card fee of $39.06 are far beyond any reasonable or regulated charges.

Based on these facts, I am requesting a full refund of the $568.71 that was charged.

If I do not receive a satisfactory response or refund within 7 business days, I will file an official overcharge complaint with the NYC Taxi & Limousine Commission (TLC) and the NYC Department of Consumer and Worker Protection, and will submit all related documents.

Trip Details:
- Date: November 16, 2025
- Time: 10:50 AM – 11:38 AM
- Duration: 47:24
- Distance: 20.9 miles
- Total Charged: $568.71

Please respond promptly.

Sincerely,
Your Name

ここで重要なのは、レシートを必ず受け取ること、運転手の連絡先を控えておくこと、そして車種や車両ナンバーを記録しておくことです。
これらはすべて、後で通報や異議申し立てを行う際の大事な証拠になります。

2. TLC(NYC311)に通報

違法タクシーに高額請求された場合、最も重要な通報先がNYC Taxi & Limousine Commission(TLC)です。
TLC はニューヨーク市内のタクシー・ハイヤー・ライドシェアを管轄する公式機関で、違法タクシー(いわゆる白タク)の取り締まりを行っています。
通報することで返金が確約されるわけではありませんが、後から被害を説明する際の証拠になります。
私はこちらのフォームから通報しました。

通報が完了するとメールが届き、そちらのリンクから進捗状況が下図のように確認できます。
Screenshot 2025-12-05 at 12.17.57.png

3. DCWPに通報 

TLCに続いて、NYC Department of Consumer and Worker Protection(DCWP) にも通報を行いました。
DCWPはニューヨーク市の消費者保護を担当する機関で、不当請求や詐欺的行為に関する苦情を受け付けています。
違法タクシー業者による高額請求は、明らかに消費者保護の観点でも問題がある行為のため、追加で報告しておくことで市の調査対象になる可能性があります。

なぜこの機関に通報するのか

DCWPへの通報は返金に直接つながるわけではありませんが、

  • 不当請求の公式な記録を残せる
  • 同様の被害を防ぐための調査につながる
  • 複数機関への通報は「被害の信憑性」を高める
    といったメリットがあります。
    また、後からクレジットカード会社や第三者に説明する際にも「市の消費者保護機関にも報告した」という事実は有効な補足情報となります。

通報方法

DCWPへの通報もオンラインフォームから行うことができます。
項目は TLCと比べると少し細かいですが、記入内容は以下のようなものです:

  • どんな問題が起きたか
  • いつ・どこで発生したか
  • 料金やサービス内容
  • 自身の連絡先
  • 事業者の情報(わかる範囲でOK)
  • レシートや証拠の添付(今回はTLCへの通報スクショ、違法タクシー業者へのメールのスクショも添付しました)

通報後について

DCWPからは受付の自動返信が届いた後は詳細通知はないケースも多いそうです。
重要なのは「通報した」という事実が残ることで、こちら側で追加のアクションを取る必要はありません。

4. クレジットカード会社への異議申し立て

違法タクシーによる高額請求に遭遇した場合、クレジットカード会社に対して「異議申し立て」を行ってください。返金されるかどうかはケースによって異なりますが、カード会社を通じて不正請求として調査してもらうことは必ず行うべき手続きです。

異議申し立てを行うタイミング

被害に気づいたらできるだけ早く連絡することをおすすめします。私の場合は国際電話をその場でかけ、調査をしてもらうことになりました。

カード会社に伝えるべき内容

異議申し立ての際は、以下を伝えました:

  • 高額請求であること
  • タクシーが「無免許・非正規業者」であった可能性が高いこと
  • 事前の料金説明がなかったこと
  • 正規料金と大きく乖離していること
  • レシートや証拠があること
  • 違法タクシー会社、TLC、DCWPに通報済みであること(任意)

日本では被害に遭っても「仕方ない」と諦めてしまう傾向が強く、クレジットカード会社の担当者に一度「難しい」と言われたら、それ以上調査を依頼することに強い抵抗を感じる方も多いかもしれません。
実際、私も最初は担当者からマニュアル通りの丁寧な対応で「返金は難しい」と断られてしまいました。
しかし、そこで諦めず、状況を丁寧に説明し、必要な情報を改めて伝えたところ、最終的には正式な調査を進めてもらえることになりました。一度断られても、そのまま引き下がらずに事実に基づいて再考を促すことが大切だと感じました。


ここまでの4ステップはあくまで私が実際に行った対応であり、必ずしも返金や解決を保証するものではありませんが、「何もせずに泣き寝入りしない」ための一つの参考になれば幸いです。

最後に

この記事を執筆している12月5日現在、TLCからの連絡はまだ待っている状態です。Government Shutdown明けであることと、クリスマス前ということもあり、返信まではしばらく時間がかかりそうです。

2025年5月に Uberのピックアップルールが変更され、Terminal 5とTerminal 7では空港前でのライドシェア乗車が禁止になっています。
この変更が十分に周知されていないため、タクシー利用者が急増し、違法タクシーや偽装タクシーに巻き込まれるケースが増えているようです。
さらにRedditによると最近は Yellow Cabもこのルール変更に乗じて法外請求を行なってくるケースも発生しており、旅行者がUberを呼べず、タクシーの需要が集中する混乱を狙った悪質な例も少なくないようです。(Qiitaの規約上リンクが貼れないのでご興味がある方は調べてみて下さい。)
今回案内してきた人物は空港職員のような服装をしており、誘導役・運転役が分かれていることから、個人ではなく組織的に動いている可能性が高いとも感じました。(NY日本領事館からも注意喚起が出ていました)

ちなみに今回のタクシードライバーの方は、来年3月ごろ親族20人ほどを連れて約1ヶ月日本を観光する予定だと話していました。
請求された料金のことを思い返すと、なんとも複雑な気持ちになりました🙃

Gemini_Generated_Image_secwkgsecwkgsecw.png
(※この画像は、AIがこの記事からイメージ生成した画像です)

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