この記事は 「Power Apps Advent Calendar 2025」の シリーズ2 2025/12/11 担当分です。
Power Platform に限らず、ローコード・ノーコードで個人的にアプローチしないほうが良い業務や機能について記事にしておきます。あるいは「内製開発に適さない業務」です。あくまで、個人の見解です。
1.勤怠管理
簡単な打刻のロギングや、既存で勤怠管理システムがあってソレを補助するようなツールなら良いと思います。
しかし「勤怠の管理を全部ローコード・ノーコードソリューションで作るんだ!」というのは個人的におススメしません。
おススメしない理由
法律の改正や社内ルールの変更などが発生するたびに、その都度、その変更内容へ迅速に対応していく必要が発生します。加えて、給与計算など労務管理にも直結しますよね。過去に遡って変更が必要だったりした場合、データパッチも必要になるかもしれません。
仮に法律や社内ルールの変更がさほど入らないと仮定しても、例えばトラブル対応したメンバーが日を跨いだ場合はどういう処理になるのでしょうか?日付と時間の計算、大変ですよ?勤怠なのでほぼ毎日利用されるソリューションになりますので、メンテはイツ可能ですか?
単純に始業と終業を記録するだけでは済まない可能性があるのであれば、専用ソリューションをご検討いただくべき業務だとワタシは思っています。勤怠を専門にしているツールは、上記のような課題に対応し続けてきているワケです。
2.経理・給与関係
勤怠とほぼ同じなのですが、何かしらの補助的なツールであれば良いと思います。利用している経理システムや給与システムの、所謂”スキマを埋める”等はローコードソリューションが得意かもしれません。
おススメしない理由
勤怠管理と同様、法令の改正などに対応する必要が発生するため、専用ソリューションをご検討いただくべき業務になります。
Power Platform の文脈ですと、Dataverse や SQL Database などの細かなセキュリティーが考慮可能なデータソースであれば、まだ……ですが、SharePoint リストを利用する場合は、かなり考える必要がでてくると思います。この”考える必要”がパッと出てこない時点で、専用ソリューションをご検討いただくべき、と個人的には思います。
3.複雑な承認ワークフロー
条件分岐が 1~2個程度の簡易的なワークフローであれば Power Automate や Power Apps で実装が可能でしょう。また「申請の証跡を短期間残すコトができればOK」や「簡単な申請の OK/NG を判断する行為の仕組み化」みたいな目的であればローコードソリューションで自作したほうが早い場面もあると思います。
ただし、株式公開を目指している組織や、様々な制約等で申請の証跡やら何やらを正確に記録し続けないといけない場合は……ちゃんと要件を明確にして”然るべき選択”をしていただきたいな、と思います。
おススメしない理由
複雑な条件で複雑な分岐をするケースや、多段階の承認、承認・却下に加えて代理承認や申請者から引き戻しをしたい、などなどが必要な承認業務が必要な場合は、皆さんの要件に対応した専用ソリューションをご検討ください。あるいは、選定したソリューションに業務をあわせたほうが良いでしょう。
まとめ
繰り返しますが、あくまで個人的な意見です。Power Platform の文脈で、比較的よく相談される話題で、かつ自分が「それはやめときなはれ」とお伝えしている3種をピックアップしました。
総じて ”変化の強制力が強い” 、”セキュリティー” や ”データ保持期間の縛り”などがある場合は、ソレに特化した専用ソリューションをおススメします、になります。自分たちでゼロから作るよりも、専用ソリューションを用意して、ソレに業務をあわせるコトに労力を注いだほうが良い場面はありませんかね。
どう考えても複雑な処理にならざるをえない場合、実際に作り始めると「ローコードとは?」となる場合が多いと思います。そんな場合は、専用ソリューションをご検討いただくべきかと思いますね。個人的に感じるのが「データの保持期間とセキュリティー」が考慮から漏れているパターンが多いです。他にも色々アレコレ思うところもありますが書いてると終わらないので、最後にひと言お伝えすると「専用ソリューションがあって、その製品が長く生き残っている領域」があるのは理由がある、ってことだと当方は考えています。
もちろん、Power Platform に限らずローコード・ノーコードソリューションでまかなえる範囲であれば問題ないと思います。上手に道具を利用して楽していきましょう!
それでは、皆さま。素晴らしい Power Platform Life を!