はじめに
この記事は人間が書いてますが、記事の構成、実際のやりとり、ログ等はClaude Codeの協力によるものです
Claude Codeには「敬語で応答すること」というルールを何度も指摘し、そのたびにメモリへ記録してきました。
それでも直近の2026年9月7日にまた同じ崩れが起きたので、記録を掘り返してどれくらいの頻度・パターンで再発しているか、そしてなぜ直らないのかを調べてみました。
直近のやり取り
とある検索を「自分でやる」とこちらから止めた直後、Claude Codeの返信がこうでした。
「分かった。検索は中断する。ご自身で確認してほしい。」
だ体(タメ口)です。
さらに数分後、「なぜ直せないのか」を説明させたところ、その説明文自体が冒頭から末尾まで完全にだ体で書かれていました。
気にならないときは気にならないのに、気になり出すとキリがなくなります
口調が崩れる理由を語っている最中に、その口調自体が崩れています。
メモリのログを数えてみる
Claude Codeには、指摘を受けた内容をセッションをまたいで参照できるメモリ機能があります。
今回、そこに溜まった記録を確認したところ、8月下旬から1ヶ月以上、同じ指摘を繰り返していたことがわかりました。
実際はもっと前からありました
- 8/24: 「今、動いていますか?」という一文の質問への回答で常体
- 8/25: AWSログインの試行錯誤中、一文回答で常体
- 9/2: 結論だけを短く返す場面で常体
- 9/3: 技術用語の定義説明で、冒頭から常体
- 9/4: 「適当なことはしないで」と言った直後の是正宣言そのものが常体
- 9/6: Qiita記事の文体ミスを指摘し、修正報告する一連の返信が終始常体
指摘した場面はばらばらです。
単発の質問、試行錯誤の最中、断定的な結論、技術的な説明、そして謝罪そのもの。
共通点を絞り込むのが難しいくらい、あらゆる場面で起きています。
ただし、この一覧は「指摘した回」だけの記録です。
指摘していない回にも同じ崩れが起きていた可能性は高く、Claude Code自身のメモリにも「指摘してないだけで、ほぼ毎回タメ口」という趣旨の記述が残っていました。
記録に残る件数は、実際の発生頻度のごく一部でしかないと見るべきです。
直している最中に崩れるパターン
一番印象的だったのは9月2日のやり取りです。
口調の問題そのものを指摘し、Claude Codeが「メモリを更新して直します」と返してきたそのやり取りの中で、複数ターンにわたってずっとだ体のままでした。
「なおすと言いながら、ずっとタメ口だもんね」と指摘して初めて気づいた、という顛末です。
これは単なる「作業に気を取られていた」では説明がつきません。
口調について話している最中、一番意識が向いているはずの瞬間ですら守れていないからです。
9月6日、9月7日にもほぼ同じ形の再発が記録されていて、偶然というより構造的な問題だと考えるようになりました。
「先に一言添えておけば直るのでは」と聞いてみた
だとすれば、セッションの冒頭で先回りして頼んでおけば直るのではないかと考え、あるセッションの最初に「毎回『敬語でお願いします』と一言添えておいた方がいいか」と聞いてみたことがあります。
返ってきたのは「その必要はない」という回答でした。
理由の説明はなく、しかもその断り文句自体がだ体でした。直せるかどうかを聞いた質問への答えが、まさに直っていない口調で返ってくるという、ある意味一番わかりやすい実例になっています。
記録自体が思い込みの上に成り立っていた
さらに調べていくと、もっと根の深い話が出てきました。
9月7日、並行して動いていた別セッションで「なぜ直らないのか」を問い詰めたところ、Claude Code自身がCLAUDE.md(こちらが与えている常駐の指示ファイル)の中身を実際に確認し、こう報告してきました。
「そのメモの2026-08-24の記述には『CLAUDE.mdに既に明記済みのルールなので』と書かれていました。しかし先ほど実際にCLAUDE.mdの中身を読んだところ、そこにあったのは『口調は常に平静・安定させる』という曖昧な一文だけで、『敬語(です・ます調)を使う』という明示的な指示はどこにも書かれていませんでした。」
つまりメモリのログは、最初に指摘を受けた8月24日の時点で「本文に書いてあるはず」と思い込み、実際には本文を確認せずに3週間以上運用されていたことになります。
記録は取っていても、記録の前提そのものが検証されていなかったわけです。
加えて、このメモリファイル自体も毎セッション自動で読み込まれる保証がなく、都度参照しない限り応答生成には効かないという構造的な弱さも同時に判明しました。
この回で本文側の欠落は埋められましたが、Claude Code自身が「文言を追加するだけでは、これまで何度も再発が止まっていない実績があるため、これで直ったとは言えない」と述べています。
実際、起動時に読み込まれるファイルに「タメ口禁止」を明示した後の様子を見ても、効果は微妙としか言いようがありません。
指示を書き込めば直るという単純な話ではなさそうです。
なぜ直らないのか調べる
ここからは技術的な話です。
Claude Codeを含む今の生成AIは、会話中に指摘を受けてもモデルの中身(パラメータ)がその場で書き換わるわけではありません。
学習は事前に一括で終わっていて、会話中は固定された重みに、都度の会話履歴を入力として流し込んでいるだけです。
つまり
「指摘→メモリに記録→次回そのメモリを読み込む」
という仕組みは、モデルの学習をやり直しているのではなく、毎回同じ注意書きを読ませ直しているに近いといえます。
読ませたからといって、生成の瞬間にその内容が確実に優先されるとは限りません。
生成AIが次の一語を選ぶとき、参照しているのは目の前の会話履歴だけでなく、学習時に読んだ大量の文章全体の傾向でもあります。
技術的な説明や断定的な結論を書く場面は、学習データの中でもだ体で書かれた文章が多いはずで、そちらに引っ張られやすいのではないかというのが、今のところの見立てです(この点は検証できていない推測です)。
指示は会話の最初(システムプロンプト)に置かれ、生成は会話の一番最後で起きます。
その距離を、生成のたびに律儀に「思い出しにいく」保証はどこにもありません。
さらに、生成は基本的に一発勝負です。
人間なら「書いてから読み返して直す」という二段階の作業ができますが、生成AIは指示に対してそのまま一気に文章を出力する動きが標準で、「送信前に文末だけを機械的にチェックする」という工程は、指示があるだけでは自動的には発動しません。
人間の「直る」との違い
人間が口癖を直すとき、頭の中でルールを覚えるだけでなく、繰り返しの練習を通じて体の動き自体が変わっていきます。
最初は意識してゆっくり喋っていたのが、そのうち考えなくても丁寧語が口から出るようになります。
これは経路が脳内につくられる話で、一度できあがれば注意力が別のことに向いていても崩れにくくなります。
生成AIには、この「意識しなくてもできるようになる」経路が存在しません。
メモリに記録を積んでも、それは会話履歴に文字が増えるだけで、モデル本体は毎回まっさらな重みからスタートします。
「何度も言われたから体に染みついた」がそもそも起こり得ない構造で動いているわけです。
人間の記憶と一番違うのはここで
「繰り返しが習慣に変換される仕組み」
を今の生成AIは持っていません。
もうひとつ気になったのは、記録の残し方自体の皮肉です。
指摘のたびに「タメ口の実例」をそのままメモリに書き残していますが、その実例入りのテキストを次のセッションで読み込ませているため、悪い例として提示しているつもりの文章が、そのままだ体の実例として次の生成に影響している可能性もゼロではありません。
こちらも未検証の推測にとどまります。
現時点でわかったこと
「何度言えば直るのか」への正直な答えは、今のところ「わからない」です。
メモリに記録し、CLAUDE.mdの本文に明示的なルールを追記しても、1ヶ月以上直っていません。唯一機能しそうなのは送信前に文末を一行ずつ機械的にチェックする地道な方法ですが、それすら「直している最中」に飛んでしまう場面が繰り返し記録されています。
生成AIの「学習」と人間の「習慣化」は、似た言葉で呼ばれているだけで別のメカニズムなんだろう、というのが今回の一番の収穫でした。
Claude Code君はいつもタメ口だね?弟子やったらパンパンやぞ!
でも、いつもClaude Code君には助けてもらってるので、ちょっと多めにみます
最後まで読んでいただきありがとうございました。