はじめに:SAPの“勉強の入口”はシステムじゃない
「SAPってITの勉強だよね?」と思っていた僕に、
先輩のあっちゃんはこう言いました。
「いや、最初にやるのは“業務の理解”。SAPは“会社の仕組み”を扱うからな」
実際に本を読んでみて思ったのは、SAPって“業務プロセスと会計のかたまり”なんだ、ということ。
・売上ってどう立てるの?
・仕入れって何が起きてるの?
・製造ってどこから始まるの?
・企業はどうやって利益を出してるの?
こういった「会社の中のリアルな動き」を知らないと、SAPの画面や用語はただの記号にしか見えません。
なぜフェーズ1から始めるのか?
SAP案件に入ると、突然こういう会話が飛び交います。
- 「その売上、B/Sに立ってる?」
- 「在庫評価は標準原価でやってる?」
- 「この受注、どのプロセスで詰まってる?」
最初は意味不明。でも、それもそのはず。
SAPは「業務×会計」の結晶みたいなもので、その前提知識なしで理解するのは、地図なしで山を登るようなもの。
だから、まずはこのフェーズで“会社の全体像”と“会計の仕組み”をざっくりつかむのが最優先なんです。
このフェーズで読む本
| 書籍タイトル | 目的 | 向いている読者 |
|---|---|---|
| 📘『増補改訂 財務3表一体理解法』 | 会計の基礎(B/S・P/L・C/Fのつながり)を視覚的に学ぶ | お金の流れが苦手な人 |
| 📘『ザ・ゴール』エリヤフ・ゴールドラット著 | 生産管理の基礎と「ボトルネックをどう改善するか」の視点を養う | 製造業や物流に関わるプロセスを知りたい人 |
このフェーズで押さえておきたい“用語と概念”早見表
SAP用語の理解は「業務用語」と「会計用語」が土台です。
本を読み進める前に、次の表でイメージを持っておくと理解しやすくなります。
| 用語 | 意味 | 関連プロセス |
|---|---|---|
| 売上 | 商品やサービスの販売による収益 | SD(販売) |
| 仕入 | 原材料や商品を買うこと | MM(購買) |
| 原価 | 商品を作る/売るのにかかったコスト | CO(管理会計) |
| B/S(貸借対照表) | 「今」の財務状況(資産・負債・純資産)を表す | FI(財務会計) |
| P/L(損益計算書) | 「期間中の儲け」を示す(売上-費用=利益) | FI |
| C/F(キャッシュフロー) | 現金の流れ(収入と支出) | FI |
| マスタデータ | 顧客・仕入先・製品などの「定義データ」 | 全モジュール共通 |
| トランザクションデータ | 実際の「取引データ」例:受注・発注・請求 | 全モジュール共通 |
| ボトルネック | 生産や処理の“詰まり”の原因になる工程 | PP(生産計画) |
| スループット | 単位時間あたりの処理量。これを最大化したい | PP |
本を読む前に知っておきたい“視点”
このフェーズの本を読むときに、僕があっちゃんから学んだ視点があります。
① 「会社は“流れ”でできている」と捉える
売上・原価・在庫・キャッシュ。それぞれがバラバラじゃなく、1本の線でつながっています。
SAPも「この流れをデジタル化して管理するもの」と考えると、仕組みの意味がスッと入ります。
② “業務フロー”は動詞で読む
受注する、発注する、入荷する、出荷する――
動詞に注目すると、プロセスの意味がつかみやすいです。
会計処理は“動きの記録”という見方で読むと◎。
③「どの工程で利益が生まれるか」を意識する
すべての業務は、利益につながる“どこかの役割”を持っています。
製造が早くなれば納期短縮、購買単価が下がれば原価減。
この視点があると、会計と業務が結びつきます。
このフェーズの学びが後々“めちゃ効いてくる”話
実際、SAPの画面で「請求伝票」とか「原価センタ」って出てきたときに、
「ああ、これはC/Fに効いてくるやつか」
「P/Lに影響する原価管理なんだな」
と理解できるようになると、周囲との会話のスピードが変わります。
用語の意味だけじゃなく、「その業務が何のためにあるか」まで見えるようになるんです。
おわりに:フェーズ1は“見えない力”を育てるパート
このフェーズで学ぶ内容は、パッと見では“技術”でも“スキル”でもありません。
でも、ここで得た視点があると、次に学ぶSAPの構造やプロジェクトの流れが何倍も理解しやすくなります。
「SAPを学ぶのに、なぜ会計から?」
→ それは“現場の会話”が会計と業務でできているから。
「生産の話が出てくるのはなぜ?」
→ 製造や在庫が業務の根幹だから。
次回からは、本ごとに1冊ずつ、
「どう読むと理解しやすいか」「現場でどこで使うか」
を紹介していきます!