つい最近アクセシビリティについて学習する機会があったので、復習と追加学習も兼ねて今月は記事を書こうと思います!
アクセシビリティとは?
デジタル庁の「ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック」では下記のように説明されています。
「アクセシビリティ」は「近づくことができる」という意味で、「ウェブや情報そのものへ到達できること」や「製品やサービスを利用できること」という意味でも使われます。
アクセシビリティと聞くと、高齢者の方など特定の人物のためだけのものでは?という気持ちになるかもしれませんが、
アクセシビリティがよくなると全てのユーザーに恩恵があるといわれています。
例えば、動画の字幕機能は耳が聞こえない人、聞こえづらい人以外だけでなく、家やカフェなどで音を出さずに動画視聴したい人にもうれしい機能です。
障害者差別解消法の改正
日本では2024年の4月から障害者差別解消法の改正によって、障害者への合理的配慮が民間にも義務化されました。
ここでいう合理的配慮とは一体何でしょうか?政府広報オンラインでは下記ように記されています。
個々の場面で障害のある人から「社会的なバリアを取り除いてほしい」という意思が示された場合には、その実施に伴う負担が過重でない範囲で、バリアを取り除くために必要かつ合理的な対応をする
義務化という字面だけみると、基準があってそれに沿うようにサービスを提供する必要があるのかと思いました。
しかし実際は「実施に伴う負担が過重でない」なのでどこまで対応するのか、できるのかは各事業者によって変わりそうですね。
各国の方針
世界に目を向けるとアクセシビリティを法律として義務化し、達成すべき基準を明確にしている国も多くあります。
各国のアクセシビリティに関する法、ポリシーが見たい方はW3CのWeb Accessibility Laws & Policiesがおすすめです。
ひとまずG7をベースに整理してみましたが、推奨事項とタイプ分けされているのは日本くらいなので、アクセシビリティの対応は遅れているのが一目瞭然ですね。
| 国 | Law/Policy | Type |
|---|---|---|
| 日本 | 障害者差別解消法 | Procurement recommendation |
| アメリカ | Section 508 of the US Rehabilitation Act of 1973, as amended | Procurement law, Accessibility law |
| イギリス | Equality Act 2010 | Non-discrimination law |
| フランス | Order of 29 April 2015 on the general accessibility framework for public administrations | Accessibility law |
| ドイツ | Federal Ordinance on Barrier-Free Information Technology | Accessibility policy |
| イタリア | Law 9 January 2004, n. 4 "Provisions to support the access of disabled people to IT tools" (Stanca Law) | Accessibility law |
| カナダ | The Accessible Canada Act (The Act to Ensure a Barrier Free Canada) | law, Non-discrimination law, Procurement law, |
| EU | European Accessibility Act | Law |
※上記は一例です。
海外ではアクセシビリティに関する訴訟も多数起こっています。(アメリカでは2023年に4600件以上もあったそうです👀)
例えば、有名なドミノピザの訴訟では、視覚障害者の方がスクリーンリーダーを使ってドミノピザの注文ができなかったことから訴訟を起こし、$4,000の賠償金とWCAG 2.0準拠を求める差止命令が出ています。
グローバルなビジネス展開に当たってアクセシビリティへの対応は避けられないといえますね。
また、日本でも今後アクセシビリティに関してさらに規制が強化される可能性はあるので、今のうちに学んでおくと強みになりそうです。