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ざっくり、オープンソースビジネスの最新事例2021

Last updated at Posted at 2021-04-01

先日書いた、ざっくり、Webシステムの発展と最新状況 2021が好評だったのでシリーズにしてみました。今回は、オープンソースビジネスを理解できる成功事例はないか、と某氏より質問があったのでまとめています。

シリーズ

ポイント

個人的には、次の3点が重要だと思っています。

  • エンジニアコミュニティに軸足をおく
  • 自社が開発したOSSをビジネスにするとは限らない
  • マネタイズのポイントは、コミュニティとは別に考える

有名どころ

Red Hat

Linuxディストリビューション「Red Hat Enterprise Linux」などオープンソースソフトウェアに対するサポートサブスクリプションを提供。最近、「サブスクリプションビジネス」という言葉に注目が集まっているが、Red Hatは、OSSに対するサブスクリプション型サポートサービスを20年前から提供している。改編されたソースコードに対してはサポートを提供しない。

2019年7月、IBMがRed Hatを340億USドル(日本円にして約3兆7000億円)で買収

Github

オープンソースのソースコード管理ツールGitに対するホスティングサービスを核にした開発者支援サービスを提供。保管するソースコードをオープンソースにした場合、無償で利用できるプランを提供していた。さらに、OSSを公開するとき、その開発プロジェクトとしてGithubを利用して、そのサポートページにGitHubリボンを付けるという、ソーシャルプロモーションを展開。オープンソース開発プロジェクトをSNS化した。

運営会社のGitHub, Inc.は2018年よりマイクロソフト傘下になった。

WordPress.com / Automattic

WordPressは、世界でもっとも使われているコンテンツ管理システムで、オープンソースソフトウェアとして提供されている 。Automatticは、その開発コミュニティをまとめながら、WordPressのホスティングサービスWordPress.comを提供している。あと、Tumblrも買収。

Node.js / Joyent

Node.jsは、V8 JavaScriptエンジン上に構築されたJavaScript実行環境の1つ。2009年、Joyentに所属していたライアン・ダールによってに作成された。

その後、Joyentが開発コミュニティを放り出して、ビジネスに軸足を移そうとしたけど、コミュニティから反発をくらって、コミュニティ側に統合された。まあでも、これは、ツールがブレイクした後の話。

Docker / Docker Inc.

当初は、dotCloudという企業名でクラウドサービスを提供していたけど、ピボットしてDocker Incになった。

Treasure Data

データ分析プラットフォームを提供するTreasure Dataは、FluentdやembulkなどのOSSを開発したエンジニアが所属しており、"Open Source is in our DNA"と述べている。2018年に、ARMが約6億ドルで買収。

日本の会社

株式会社クリアコード

フリーソフトウェアに基づいた開発、お客様の要望に応じた既存ソフトウェアのカスタマイズ、導入サポートなどのサービスを提供。知る人ぞ知ると小さい会社。

プリザンター / 株式会社インプリム

これも小さな会社の例。富士通の関連会社出身の人たちがやっている。国産オープンソースのローコード開発プラットフォームで、株式会社インプリムが独自に開発している。プロジェクトマネジメントツール > Webデータベースと、マーケティングメッセージが変わってきた。

プライム・ストラテジー株式会社

WordPress等CMSサイト構築からサーバ構築・保守運用までトータルサービスと、超高速WordPress等CMS実行環境「KUSANAGI」を提供。自社で開発したOSSをビジネスにしていない。

Intra-mart

じつは、オープンソースなところもあったって知ってました?

そのほか

オープンソース開発者向けファンドサービス

最近、オープンソースソフトウェアを開発するエンジニアを直接支援しようとするファンドサービスが、いくつか登場してきました。

書籍『オープンソースソフトウェア 彼らはいかにしてビジネススタンダードになったのか』

Web版を全ページ無料で公開。古い本ですが、オープンソース黎明期の状況と、今に受け継がれている思想が垣間見れるので、おすすめ。

書籍:これでできる!はじめてのOSSフィードバックガイド

「OSSにフィードバックしてみたい人の背中を押すワークショップ」として日本全国で計70回近く開催されている「OSS Gateワークショップ」。その中で参加者の方から実際に寄せられた質問への回答を元に、コミュニケーションの取り方やイシュー報告・プルリクエストのマナー、取り込まれやすい変更のコツなど、今まであまり言語化されてこなかった「OSS開発者・OSSコントリビューターが日常的にしていること」を幅広く解説します。OSSにフィードバックなんて自分には無理、と思っている方のための1冊です。

電子書籍:知る、読む、使う! オープンソースライセンス

僭越ながら、私が書いた本です。達人出版会から出ています。

オープンソースソフトウェアを活用する上で理解しなければならないオープンソースライセンス。開発者のみならず、企業のマネジメント層や広くオープンソースを利用する・利用したい方を対象に、著作権やソフトウェアライセンスの基礎知識から実務までを分かりやすく具体的に解説。

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