近年、企業ではBI(business Intelligence)/ダッシュボードがトレンドとなり、皆さんもよく耳にするのではないかと思います。BI/ダッシュボードツールが意思決定を迅速化し、正確に結論を導き出すので、BI/ダッシュボードツールの導入を検討し始めた企業も多くなっています。しかし、業界、組織規模、導入環境、目的などによって必要な機能が異なって、ツールによって導入効果も異なります。
そこで、今回海外メーカーのBI/ダッシュボードツール5つの機能を比較し、それぞれの特徴を解説します。いずれも海外の有名メーカーで、シェアも上位を占めているものです。
##目次:
- Tableau
- FineReport
- Qlikview
- PowerBI
- Yellowfin
- 料金プラン比較表
- まとめ
#Tableau
アメリカ産のBI製品で、BIソフトウェアの老舗ともいえます。
###タイプ
オンプレミス型とクラウド型
###動作環境
Tableau Desktopはwindows版とmac版がありますが、V10.5以降が32位のwindows OSをサポートしません。Tableau ServerはWindows、Linux和Macをサポートします。
###データソース
- 関係型データベース
- NoSQLデータベース
- 多次元データベース
- ビッグデータ
- ファイルデータセット(excel,csv,txt,json,pdf,mdb)
###ダッシュボード機能
- ダッシュボードを設計する際、ワークシートを作成してからコンテナーにドラッグする必要がある。初めて使う人にとっては最初に慣れるまで時間がかかる。
- 水平または垂直のレイアウトコンテナーを利用することでコンポーネントのサイズと位置を調整する
- グラフ機能が充実しているが、メータ、3Dグラフ、ヒートマップを作れない
- 同一ダッシュボード内のコンポーネントをコピーできるが、異なるダッシュボード間にコンポーネントをコピーできない
###データ入力
この機能が備わっていません。
###データ分析
OLAP分析機能が得意であり、任意のディメンション毎にメジャーを集計したり、さまざまな切り口からビジネスを検討したりすることだできます。
2006年創業した中国のBIメーカー、FanRuanソフトウェア社の製品で、アメリカの製品と比べて若いですが、近年、中国市場でのシェアはTableauを抜いて一位となりましたし、FanRuanが2021年アナリティクス & BI プラットフォームについてのマジック・クアドラントの選外優作にランクインしました。
BI業界の新鋭で、軽く見てはいけない若手選手です。
###タイプ
オンプレミス型
###動作環境
インストールファイルがデザインツールとwebプロジェクトを含みます。FineReportデザインツールはwindows版とmac版があります。webプロジェクトをWindows、Linux、UnixなどのOSにデプロイできます。
###データソース
- 関係型データベース
- NoSQLデータベース
- 多次元データベース
- ストアドプロシージャ(JavaApi,Hibernate)
- ビッグデータ
- ファイルデータソース(excel,txt,xml,csv,jason)
- 組み込みデータセット
###ダッシュボード機能
- サイロ化されたCRM/ERP/OA などの異なる業務システムのデータを一つのダッシュボードで統合し、意思決定を効率化する。
- 自動調整/絶対位置/Tabレイアウトをサポート、コーディング不要なドラッグ&ドロップ操作でさまざまなビジュアル要素を組合わせ、ダッシュボードをデザインすることが可能。Excelを使いこなせる程度のスキルがあれば、ドラッグ&ドロップで美しいBIダッシュボードを作成できる。
- Webでダッシュボードをオンライン閲覧、ドリルダウン、ドリルアップ、ドリルスルーなどの分析操作ができる。データ間のつながりを深掘りし、業務問題の解決に役立つ。(Webでのレイアウトを調整できない)
- 豊富な視覚効果、チャート、地図、だけではなく、財務、生産、営業、マーケティングなど様々なテーマのダッシュボードのテンプレートを用意するので、ダッシュボード作成ガイドとして利用できる。
###データ入力
- 業務帳票、レポートでデータを入力・変更・削除してから送信する時には、データを直接データベースに保存する
- 既存のExcelシートのデータも一括取り込んで、利用可能
- オフラインでもデータ入力、データの有効性のチェックを行うことができる
###データ分析
ドリルダウンとドリルアップ機能を備えて、一つのセルデータを複数のドリルダウンとアップを設定できますが、次元ごとにレポートを作っておく必要があります。グラフからグラフと表、表からグラフと表へのドリルダウンとアップも可能です。
#Qlikview
QlikはSaaSソフトウェア会社で、1993年にスウェーデンのルンドで設立され、現在はアメリカペンシルベニア州のキングオブプラシャに本社を置いています。
###タイプ
オンプレミス型/ クラウド型
###動作環境
Qlikviewに Qlikview desktopとQlikview Serverがあります。Qlikview desktopはダッシュボードとグラフを設計し、Qlikview Serverは配布と共有に使われます。Qlikview desktopとQlikview Serverを別々インストールする必要があります。
二つともWindowsでしか利用できなくて、そして.NET framework 4.0環境が必要です。
###データソース
- 関係型データベース
- NoSQLデータベース
- 多次元データベース
- ビッグデータ
- ファイルデータセット(dif,fix,html,excel,xml)
###ダッシュボード機能
- 新規のワークブックで表、グラフィック、フィルターウィジェットなどのコンポーネントを追加することで、BIダッシュボードを作る
- 絶対レイアウトとTabレイアウトをサポートするが、自動調整機能はない
- 地図機能はない。地図の作成のためにサードパーティーのリソースあるいは専門のGISコンポーネントを導入しなければならない
###データ入力
この機能が備わっていません。
###データ分析
OLAP分析機能を備えています。コンポーネント間にドリルダウンとアップの概念はありませんが、コンポーネント間の連動によって複数の指標間の関係を分析できます。同一ワークシートで作成した複数のコンポーネント間に、デフォルトで連動関係があるので、ユーザーが手動で関連付けをする必要はありません。
#PowerBI
Microsoft社のBI製品です。
###タイプ
クラウド型/オンプレミス型
###動作環境
Power BI DesktopはWindowsのみをサポートします。 32ビット(x86)および64ビット(x64)で使用可能。
PowerBI Report ServerはWindows 64ビット(x64)のみをサポートします。
###データソース
- 関係型データベース(Derby✖)
- NoSQLデータベース
- 多次元データベース
- ビッグデータ(kylin✖)
- ファイルデータセット(excel,csv,xml,pdf,sharepoint)
###ダッシュボード機能
- ダッシュボードはワークシートにコンポーネントを追加することで設計する。
- コンポーネントの位置とサイズは調整でき、表示する際に自動調整する。
- Excelより豊富なグラウを用意するが、3Dグラフと3D地図がなくて、地図とバブルチャート、散布図、棒グラフを組み合わせて表示できない。
###データ入力
この機能が備わっていません。
###データ分析
OLAP分析機能を搭載しています。コンポーネント間にドリルダウンとアップの概念はありませんが、コンポーネント間の連動によって複数の指標間の関係を分析できます。同一ワークシートで作成した複数のコンポーネント間に、デフォルトで連動関係があります。しかし、グラフィックのみに連動があって、表のデータをクリックしても連動効果が出てきません。
#Yellowfin
本社は豪ヴィクトリア州メルボルンにあります。日本法人のYellowfin Japanが日本でのサービスを提供しています。
###タイプ
オンプレミス型/クラウド型
###動作環境
デザインツールがなくて、Web側でダッシュボードを設計します。Windows, Mac OS X, Linux,Unixで設計、配布できます。
###データソース
- 関係型データベース
- NoSQLデータベース
- 多次元データベース
- ビッグデータ
- ファイルデータセット(Excel✖)
- ストアドプロシージャ(GA、Twitter、YouTube)
###ダッシュボード機能
- Tabレイアウトをサポートするが、自動調整、絶対レイアウトをサポートしない。ユーザーが限られたエリアに作成済みのコンポーネントをドラッグするしかない
- 異なるBIダッシュボード間にコンポーネントをコピーできる
- 独立したグラフィック、フィルターウィジェットなどのコンポーネントがない
###データ入力
- Transformation Flowを利用してデータ抽出、データ処理、およびデータ入力機能を実装しする。データの変更、追加、削除をサポートする。
- オフラインでデータ入力を行うことができない
- データを送信する前に、データの有効性をチェックする機能がない
###データ分析
分析ダッシュボードを共有しながらリアルタイムに次元を変更するOLAP分析機能の上に、分析内容を見ながらどちらの施策が最適か投票する採決機能も搭載されています。
#料金プラン比較表
5つのBI/ダッシュボードツールの料金プランの比較表を下記に示します。
#まとめ
IDC Japanによると、2018年の国内ビッグデータ/アナリティクスソフトウェア市場は、前年比9.6%増の2,778億7,500万円となっており、2023年までの予測期間における年間平均成長率は8.5%になると予想されています。これを背景に今後BI/ダッシュボードツールを導入する企業はきっと急速に増えるでしょう。
以上は5つのBI/ダッシュボードツールについて、機能と特徴を比較しました。BI/ダッシュボードツールの選定にお悩みの方に少しでもお役に立てれば、これに過ぎる喜びはありません。どんなBI/ダッシュボードツールにもメリットとデメリットがあり、完璧なツールが存在しないと思います。従って、自社の課題を踏まえ、必要な機能に集中し、自社に最適なBI/ダッシュボードツールを導入するのが重要ですになります。