受信箱、放置していないだろうか。仕事の連絡、サービスからの通知、確認しなきゃいけないお知らせ。ひとつひとつは大した量じゃないのに、積み重なると「あの件、どのメールだったっけ」を探すだけで地味に時間を食う。
自分は最近、Claude Code に他の作業をどんどん任せられるようになってきた。コードを書く、コマンドを叩く、ブラウザを操作する(これは前回書いた Claude Code にブラウザを操作させてみた ── GitHub Copilotにできるなら、と思ってPlaywright MCPを足した話 の話)。それなのに、メールだけは結局いつも自分で開いて、自分の目で読みに行っていた。「これも Claude Code に任せられないのか」と思ったのが、今回の出発点。
調べてみると、Claude Code に機能を足す方法は「自分のPCにサーバーを立てる」だけじゃなかった。claude.ai 側でアカウント連携を1個繋ぐだけ、という経路がある。今回はそれを、誰もが知っている Gmail で試してみる。
本記事は「メールの中身をどう活用したか」ではなく、「機能をどうやって増やしたか」の手順記事。動作確認には、サービスから届く自動配信メール(Qiita の週間サマリー)だけを使い、アカウント名・メールアドレス・本文に登場する他ユーザーの ID は伏せている。手順の細部は公式ドキュメントで裏取りした内容に絞った。
Claude Code に機能を足す経路は、もう一つある
Claude Code から見たときの「機能の増やし方」を図にすると、こうなる。
前回はブラウザを操作させる Playwright MCP をローカルに追加する話を書いた。あれはローカルMCPサーバーのルートで、コマンド一行で自分のPCの中にサーバーが立つ、いちばんイメージしやすい姿だ。今回はもう一方の、自分のPCには何も立てずに機能を増やす話になる。
用意するもの
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| Claude Code | CLI または VS Code 拡張。claude.ai のサブスクリプションアカウントでログインしていること(この条件が地味に重要。詳しくは手順①) |
| Google アカウント | Gmail が使えるアカウント |
| ローカルへの追加インストール | 不要。今回は自分のPCにサーバーを1つも立てない |
前回とは対照的に、npx も追加コマンドも要らない。準備するものは実質「ログイン方式」と「Googleアカウント」の2つだけだ。
claude.ai 側でアカウント連携を接続してから、Claude Code 側で読み込む。この2段階の流れを、順番に見ていく。
手順① 自分のログイン方式を確認する
ここが一番見落としやすい。claude.ai のコネクタは、Claude Code が claude.ai のサブスクリプションアカウントでログインしているときだけ見える。公式ドキュメントにこう明記されている。
Connectors from claude.ai are fetched only when your active authentication method is a claude.ai subscription login. They aren't loaded when
ANTHROPIC_API_KEY,ANTHROPIC_AUTH_TOKEN,apiKeyHelper, or a third-party provider such as Amazon Bedrock or Google Cloud's Agent Platform is active, even if you previously ran/login.
(claude.ai のコネクタは、認証方式が claude.ai のサブスクリプションログインになっているときだけ取得される。ANTHROPIC_API_KEY・ANTHROPIC_AUTH_TOKEN・apiKeyHelper、あるいは Amazon Bedrock や Google Cloud の Agent Platform のようなサードパーティ経由の認証が有効な場合は、過去に/loginを実行していても読み込まれない)
出典: Claude Code 公式ドキュメント「Connect Claude Code to tools via MCP」
今のログイン方式は次のコマンドで確認できる。
/status
サブスクリプションアカウントでログインしていない場合は /login でログインし直す。ここが揃っていないと、この先の手順を全部やってもコネクタが見えないままなので、最初に確認しておく。
手順② claude.ai 側で Gmail コネクタを接続する
ここが今回いちばん重要な一歩──主役(Gmail コネクタ)のインストール・接続は、Claude Code の中ではなく claude.ai のブラウザ画面で行う。理由は認証の仕組みにある。公式ドキュメントにこう書かれている。
Some Anthropic-hosted connectors, such as Microsoft 365, Gmail, and Google Calendar, don't support local OAuth from Claude Code because the upstream identity provider only accepts the redirect URL that claude.ai registered.
(Microsoft 365・Gmail・Google Calendar などの一部のコネクタは、Google 側などの認証元が claude.ai が登録したリダイレクトURLしか受け付けないため、Claude Code から直接 OAuth することができない)
出典: Claude Code 公式ドキュメント「Connect Claude Code to tools via MCP」
つまり「Claude Code の中だけで完結する接続方法」がそもそも用意されていない。claude.ai 側で認証を済ませて、その結果を Claude Code が間借りするという設計になっている。実際の手順は次の通りだ(出典: 同上、Anthropic サポート「Use Google Workspace connectors」)。
- ブラウザで claude.ai/customize/connectors を開く(設定内の「Customize > Connectors」からでも辿り着ける)
- 一覧から Gmail を選び、「Connect」または「Install」を押して Google アカウントでの OAuth 認証を行う
- 認証プロンプトの指示に従って、求められる権限を確認してから許可する
認可画面に出てくる権限については後述する。
この時点で、Claude Code の設定ファイルには何も書き込まれていない。接続情報は claude.ai のアカウント側に保存される。前回の Playwright MCP のように claude mcp add を打つ場面は一度も出てこない。
手順③ Claude Code 側で反映されているか確認する
claude.ai 側の接続が終わったら、Claude Code に戻って確認する。
/mcp
一覧に claude.ai 由来のサーバーとして Gmail が出ていれば成功。もし出てこない場合は、/status で認証方式を確認し、該当の環境変数や apiKeyHelper 設定を外してから /login で claude.ai アカウントを選び直すとよい(出典: 同上)。
実際に読ませてみる
繋がったら、あとは日本語で頼むだけだ。実際にこう頼んでみた。
Qiita から来ているメールを、直近60日で探して。
このとき裏で実行されたのが次の呼び出しだった。
mcp__claude_ai_Gmail__search_threads
query: "from:noreply@qiita.com newer_than:60d"
pageSize: 5
ここが個人的にいちばん面白かったところで、「Qiita から来ているメール」「直近60日」という日本語が、from: と newer_than: という Gmail の検索構文に変換されて実行されている。Gmail の検索窓に自分で打つのと同じ文法だ。普段この構文を覚えていなくても、日本語で頼めば組み立ててくれる。
返ってきた結果はこうだった(該当 8 件、うち 5 件を取得)。
| 受信日 | 件名 | 冒頭の抜粋 |
|---|---|---|
| 2026-08-01 | [Qiita] ○○さんの今週の実績をお届けします! |
4ヶ月連続投稿獲得! おめでとうございます! … +3いいね +2フォロワー +2ストック |
| 2026-07-18 | [Qiita] ○○さんの今週の実績をお届けします! |
今週の実績 +0いいね +0フォロワー +1ストック … |
| 2026-07-06 | 【07/13まで】「AI時代のデータベース、何が変わる?」について語ろう! |
いつもQiitaをご利用いただきありがとうございます、Qiita運営です。… 07/13が締切のため、リマインドのご連絡です |
| 2026-07-04 | [Qiita] ○○さんの今週の実績をお届けします! |
今週の実績 +1いいね +0フォロワー +1ストック … |
| 2026-06-20 | [Qiita] ○○さんの今週の実績をお届けします! |
今週の実績 +0いいね +1フォロワー +0ストック … |
※ アカウント名・メールアドレス・本文に登場する他ユーザーの ID は伏せている。
件名・受信日・本文の冒頭までがそのまま返ってくる。ターミナルの中から、受信箱を検索できている。 「あの件どのメールだったっけ」を Gmail を開かずに片付けられる、というのはこういうことだった。
なお、この呼び出しで返るのは本文の冒頭(snippet)までで、全文は別のツールで改めて取りに行く形になっている。一覧で当たりを付けてから、必要なものだけ本文を読む、という流れだ。
/mcp に出てこない、を疑ったらこの3パターン
claude.ai 側で接続したのに Claude Code の /mcp にコネクタが見当たらない、というときは、公式ドキュメントに載っている次の3パターンを順に疑うとよい。
-
ログイン方式がズレている(手順①のとおり)。
/statusで確認し、該当の環境変数を外して/loginで選び直す。 - 一度もサインインしていないコネクタは折りたたまれている(Claude Code v2.1.161 以降の挙動)。claude.ai セクションの末尾にある「Show unused connectors」という行に畳まれていて、選ぶと展開される(出典: Claude Code 公式ドキュメント「Connect Claude Code to tools via MCP」)。
-
同じURLを指すローカルサーバーが優先されている。Claude Code 側に自分で追加したサーバーがあると、同じURLの claude.ai のコネクタは
/mcpの一覧で hidden として扱われる(出典: 同上)。
セキュリティ:何をどこまで渡すことになるのか
メールという機微データにアクセス権を渡す話なので、ここは端折らない。認可画面には「メールの送信」権限も表示される。身構えるところだが、Anthropic のサポート記事にはこう書かれている。
During authentication, Google's OAuth screen mentions email sending permissions. Claude only reads emails and creates drafts with your explicit approval. The send function is not enabled—all emails must be sent manually through your Gmail account.
(認証の途中で、Google の OAuth 画面にはメール送信の権限が表示される。Claude が行うのはメールの読み取りと、本人の明示的な承認を得た上での下書き作成だけである。送信機能は有効になっておらず、メールはすべて自分の Gmail アカウントから手動で送る必要がある)
出典: Anthropic サポート「Use Google Workspace connectors」
つまり、認可画面に出てくる権限の一覧と、コネクタが実際にやれることは別物ということ。Gmail コネクタは仕様として送信ができない(下書き作成まで)。
前回(ローカルMCPサーバー)との比較
| 観点 | ローカルMCPサーバー(例:Playwright MCP) | claude.aiのコネクタ(例:Gmail) |
|---|---|---|
| 主役の置き場所 | 自分のPCの中(プロセスとして起動) | claude.aiのアカウント側 |
| 追加コマンド | claude mcp add ... |
Claude Code内には無し。claude.ai側の画面で接続 |
| 設定の保存場所 |
~/.claude.json / .mcp.json
|
claude.aiのアカウント設定 |
| 一覧に出ない時のよくある原因 | サーバー起動失敗・認証切れなど | ログイン方式のズレ・未サインインの折りたたみ・URLの重複 |
| 対応例 | Playwright, GitHub, 独自スクリプト等 | Gmail, Google Calendar, Google Drive等 |
サーバーを自分で選んで立てたいなら前回のローカルMCPサーバー、Googleのサービスのように「すでに繋がっている場所」を借りたいなら今回のコネクタ、という住み分けに見える。
なぜ、こういうことを試しているのか
コードを書く手前の部分──どの情報がどの判断につながって、誰が何を待っているのか。そういう業務の流れは、まだ自分の頭の中にしか無い。AIに任せられる範囲が広がっていくほど、そこを分かっている人の手の方が、これから先の自分の強みになっていくと思っている。今回メールという「実務の情報が流れる場所」に手を伸ばしたのも、その手前を自分で確かめたかったからだ。結論を急ぐつもりはなく、今はこうやって一つずつ手を動かして確かめている段階だ。
やってみて分かったこと
「Claude Code に機能を足す」の実体が1つじゃなかった、というのが今回いちばんの発見だった。自分のPCの中に立てる経路と、すでにあるアカウント連携を間借りする経路。設定する場所も認証の流れもまったく別物なのに、Claude Code 側から見るとどちらも同じように /mcp の一覧に並ぶ。「あのサービス、MCPサーバー無いから繋げられないな」で終わらせずに済む場面が、これで少し増えると思う。
参考にした公式ページ
- Claude Code 公式ドキュメント「Connect Claude Code to tools via MCP」(claude.ai コネクタの章):https://code.claude.com/docs/en/mcp#use-mcp-servers-from-claude-ai
- Anthropic サポート「Use Google Workspace connectors」:https://support.claude.com/en/articles/10166901-use-google-workspace-connectors
- Anthropic サポート「Use connectors to extend Claude's capabilities」:https://support.claude.com/en/articles/11176164-use-connectors-to-extend-claude-s-capabilities
- Claude Codeのインストール(公式クイックスタート):https://code.claude.com/docs/en/quickstart
個人ブログ(https://mint041223techblog.netlify.app/)に日々の開発で気づいたことを詳しく書いています(外部サイトに移動します)。