この記事でわかること
「Cloudflare って名前は聞くけど、結局なにができるサービスなの?」という人向けに、次の4点をざっくりまとめます。
- Cloudflare とはなにか
- ざっくり何ができるのか
- 今どんなふうに使われているのか
- AI との相性がいい理由
手を動かす入門(簡単な Web アプリを公開してみる)は、こちらの記事で書きました。
情報は 2026年10月時点 のものです。Cloudflare はサービスの追加や名前の変更が多いので、最新の情報は公式ドキュメントで確認してください。
Cloudflareとは
Cloudflare は、もともと CDN(コンテンツ配信)と Web サイトのセキュリティ のサービスとして広まりました。今では「connectivity cloud(コネクティビティクラウド)」を名乗り、ネットワークからアプリの実行環境までを提供するクラウドサービスになっています。
いちばんの特徴は、世界中に張り巡らされた自前のネットワーク です。
- 世界 330 都市以上 にデータセンターがある
- 全 Web サイトの 約4分の1(26.3%) が Cloudflare を使っている(W3Techs 調べ、2026年10月時点)
このネットワークの上で、「サイトを速く・安全にする」機能から「アプリを動かす」機能まで、まとめて提供しています。
ざっくり何ができるか
大きく分けると、3つの顔があります。
1. ネットワーク・セキュリティ(サイトを速く・安全にする)
| サービス | ざっくり言うと |
|---|---|
| CDN | サイトのファイルを世界中の拠点にコピーしておき、利用者に近い場所から届けて表示を速くする |
| DNS |
example.com のようなドメイン名を、サーバーの住所(IP アドレス)に変換する仕組み。誰でも使える無料 DNS「1.1.1.1」も提供している |
| WAF | Web アプリ向けのファイアウォール。データベースを不正に操作しようとする通信など、よくある攻撃をブロックする |
| DDoS 対策 | 大量のアクセスを送りつけてサイトを落とす攻撃を防ぐ。無料プランでも使える |
| Bot 対策 | 悪いボットを見分けてブロックする |
2. 開発者向けプラットフォーム(アプリを動かす)
| サービス | ざっくり言うと |
|---|---|
| Workers | 自分で書いたプログラムを、サーバーを用意せずに世界中の拠点で動かせる(サーバーレス)。Cloudflare の開発者向けサービスの中心 |
| Workers Static Assets | HTML / JS / 画像などの静的ファイルを Workers で配信する |
| Pages | 静的サイトのホスティング。新規プロジェクトは Workers が推奨 されている |
| KV | 「名前(キー)と値」の組でデータを保存するシンプルな保存場所。世界中から速く読める |
| D1 | 表形式でデータを扱える SQL データベース(SQLite ベース)。サーバーの管理は不要 |
| R2 | 画像や動画などのファイル置き場。AWS の S3 と同じ使い方ができる。ダウンロードされるときの転送料金がかからない |
| Durable Objects | データを持ち続けられる Workers。チャットや共同編集のような、リアルタイムに複数人がやり取りする処理に使う |
| Queues / Cron Triggers | 時間のかかる処理を順番待ちさせて後で実行する仕組みと、Workers を「毎日9時」のように定期実行する仕組み |
3. Zero Trust(社内システムを安全に使う)
| サービス | ざっくり言うと |
|---|---|
| Access | 社内向けのアプリを、VPN(社内ネットワークにつなぐ専用の接続)なしで、ログインした人だけが使えるように公開する |
| Tunnel | サーバー側のポートを開けずに、外部へ安全に公開する |
| Gateway | 社内の端末から危険なサイトや不要なサイトにアクセスしないよう、通信をフィルタリングする |
| WARP | 端末側に入れるクライアント |
「CDN のサービス」というイメージが強いかもしれませんが、今は ネットワーク・セキュリティ・アプリ実行基盤・社内アクセス管理まで、1つのサービスでそろう のが Cloudflare です。
今どう使われているか
よく見かける使い方をいくつか挙げます。
-
Web サイトの高速化と防御
- ドメインの DNS の設定を Cloudflare に切り替えるだけで、表示の高速化・HTTPS 化・DDoS 対策がまとめて効く
- 個人ブログから大企業のサイトまで、いちばん多い使い方です
-
個人開発・小さなアプリのホスティング
- 画面(フロントエンド)とデータをやり取りする部分(API)を、1つの Worker にまとめて公開できる
- 無料枠が大きいので、個人開発との相性がとてもいいです
-
画像や動画の配信
- R2 はダウンロード時の転送料金が無料なので、大きなファイルを配信してもコストを抑えられる
-
社内ツールの安全な公開
- Tunnel と Access を使うと、VPN を用意せずに社内ツールへ認証付きでアクセスできる
-
AI アプリの基盤
- 次の章で詳しく書きます
実際に使ってみた例
私も個人開発で、次の構成のアプリを Cloudflare だけで動かしています。
- React + Vite + TypeScript のフロントエンドを Workers の静的アセット で配信
- API も 同じ Worker の中に書いて、データは KV に保存
- Cron Triggers で定期処理
- PWA(Web アプリをスマホアプリのように使える仕組み)にして、スマホのホーム画面に追加できるようにした
サーバーの管理は一切なく、個人で使う規模なら 無料枠の範囲に収まっています。同じ構成を何度も作るので、Claude Code のスキルにしてテンプレート化までしました。
AIとの相性
Cloudflare が今いちばん力を入れているのが AI です。2026年には AI エージェント向けの発表をまとめた「Agents Week」を開くほどです。AI との相性がいい理由は、大きく3つあります。
1. AI を動かす仕組みがそろっている
| サービス | ざっくり言うと |
|---|---|
| Workers AI | Cloudflare が用意した GPU 上で、公開されている AI モデル(Llama、Gemma、Qwen、gpt-oss など)をプログラムから呼び出せる |
| AI Gateway | OpenAI や Anthropic などの AI サービスとの間に挟む中継役。同じ質問の答えを使い回す・使いすぎを制限する・利用履歴を残す・障害時に別の AI へ切り替える、をまとめて管理できる |
| Vectorize | ベクトルデータベース。文章を「意味の近さ」で検索できる。RAG の検索部分に使う |
| AI Search(旧 AutoRAG) | ドキュメントを入れるだけで RAG の仕組みを作れるサービス。準備や運用は Cloudflare 側がやってくれる |
| Browser Run(旧 Browser Rendering) | 画面のないブラウザをプログラムから動かせる。AI に Web ページを開かせて、内容を読ませたり操作させたりするときに使う |
RAG(検索拡張生成)とは
AI に答えさせる前に、手元の資料から関係のある部分を検索して AI に渡す仕組みです。AI が学習していない社内マニュアルや最新情報にも、資料を根拠にして答えられるようになります。社内ドキュメントに答えるチャットボットなどで使われます。
アプリ本体(Workers)、データ(D1 / KV / R2)、AI(Workers AI / Vectorize)が 同じプラットフォームの中でつながる ので、AI アプリを組むときに別々のサービスを行き来しなくて済みます。
2. AI エージェントや MCP サーバーの置き場所になる
- Agents SDK を使うと、状態を持った AI エージェントを Workers 上で動かせる
-
リモート MCP サーバー を Workers で公開できる
- MCP(Model Context Protocol)は、Claude などの AI に外部ツールをつなぐための仕組みです
- Cloudflare 自身も、自社サービスを操作するための公式 MCP サーバーを公開しています
3. AI で開発しやすい
- 設定ファイルとコマンド(
wrangler)だけでデプロイまで完結するので、Claude Code などの AI コーディングツールに任せやすい - AI 向けにドキュメントをまとめた
llms.txtが公開されている - Claude Code 向けのセットアップ手順(スキルや MCP サーバーの導入)も公式ドキュメントにある
私の場合も、上で紹介した個人開発のアプリは、構築からデプロイまでほぼ Claude Code に任せています。
おまけ:AI に「使われる側」の対策も
逆に、自分のサイトを AI に勝手に学習されたくない場合の対策もあります。AI の学習用に Web サイトを自動で巡回して情報を集めるプログラムを「AI クローラー」と呼びます。Cloudflare は 2025 年に、AI クローラーを標準でブロックする 方針や、AI クローラーからアクセスごとに料金を取る「Pay per crawl」を発表しました。AI を使う側・使われる側の両方に関わっているのも、Cloudflare らしいところです。
無料でどこまで使えるか
「みんな使いましょう」と言える一番の理由が、無料枠の大きさ です。主なものをまとめました(2026年10月時点)。
| サービス | 無料枠 |
|---|---|
| Web サイト(高速化 / DNS / HTTPS 化 / DDoS 対策) | 無料プランで利用可 |
| Workers | 1日 10万リクエスト |
| 静的アセットの配信 | 無料・無制限 |
| KV | 1日 読み取り 10万回 / 書き込み 1,000回、保存 1GB |
| D1 | 1日 読み取り 500万行 / 書き込み 10万行、保存 5GB |
| R2 | 保存 10GB / 月、ダウンロード時の転送料金は無料 |
| Workers AI | 1日 1万 Neurons(Workers AI の利用量の単位) |
| Zero Trust | 少人数のチームなら無料で利用可 |
個人開発や社内のちょっとしたツールなら、無料枠の中で試せる範囲 がかなり広いです。正確な上限や条件は、各サービスの料金ページを確認してください。
まとめ:みんな使いましょう
- Cloudflare は CDN のサービスから、ネットワーク・セキュリティ・アプリ実行基盤・社内アクセス管理まで そろうクラウドサービスになった
- Workers を中心に、サーバー管理なしでアプリを世界中に配信できる
- Workers AI、AI Gateway、Agents SDK、MCP サーバーなど、AI アプリの基盤としても強い
-
wranglerだけで完結するので、AI コーディングツールとの相性もいい - そして 無料枠が大きい
「とりあえず触ってみる」のハードルがとても低いサービスです。まずは無料アカウントを作って、小さな Worker を1つデプロイしてみるところから始めてみてください。簡単な Web アプリを Cloudflare で公開する手順は、続きの記事「Cloudflare で Web アプリを公開してみよう〜SPA 公開から PWA 化まで〜」で紹介しています。
参考リンク
- What is Cloudflare?(公式)
- Cloudflare のネットワーク(公式)
- Usage statistics of Cloudflare(W3Techs)
- Cloudflare Workers ドキュメント
- Workers の制限
- Cloudflare の AI ドキュメント
- Workers AI のモデル一覧
- Agents SDK / MCP サーバー
- Claude Code 向けセットアップ
- Agents Week 2026 まとめ(公式ブログ)
- Content Independence Day(AI クローラーのデフォルトブロック)
- Pages ドキュメント(Workers 推奨の注記あり)