はじめに
こんにちは。トライベック株式会社の岡山です。
今回は個人開発でVoltAgentを使用し、イタリア料理レシピ提案アプリ「Buonoくん」を開発した経験を共有します。
開発の背景
私は普段、フロントエンドエンジニアとしてTypeScriptを用いた開発を行っています。
そのため、使い慣れたTypeScriptでAIエージェントを構築できるVoltAgentに関心を持ちました。
また、プライベートではよく料理をするのですが、基本的にレシピは見ずに独学で作るタイプです。
「自分の感覚で作っている料理が、世間一般のレシピとどれくらい乖離しているのか(あるいは合っているのか)」を確認し、答え合わせをする相手が欲しいと思ったのが、このアプリを作るきっかけになりました。
VoltAgentとは?
VoltAgentは、AIエージェントの開発を効率化するTypeScript/JavaScript向けフレームワークです。
公式情報
VoltAgentの主な特徴
基本特性
- オープンソースのTypeScriptフレームワークで、AIエージェントの構築とオーケストレーションを行う
- メモリ、ワークフロー、ツール、組み込みLLM監視機能を備えたプロダクション対応のエージェントを構築できる
主要機能
- 複数のLLMプロバイダー(OpenAI、Anthropic、Googleなど)をコード変更なしに切り替え可能
- 永続的なメモリアダプタにより、実行間でコンテキストを保持
- RAG(検索拡張生成)機能により、データソースから情報を取得してレスポンスを生成
- Model Context Protocol(MCP)サーバーへの接続をサポート
監視・デバッグ
- VoltOpsという組み込みのLLM監視プラットフォームにより、エージェントの動作をリアルタイムで可視化
- 実行トレース、パフォーマンスメトリクス、ビジュアルダッシュボードで詳細なデバッグが可能
作ったもの「Buonoくん」
ユーザーが食材・難易度・人数を指定すると、本格的で家庭でも再現可能なイタリアンレシピをAIが生成・提案するAIエージェントアプリです。
マスコットキャラ「Buonoくん」はGeminiの「Nano Banana」で作成しました。
基となるイラストを作成し、簡易的なプロンプトで様々な派生イラストを作成することができました。
主な機能
- 食材ベースのレシピ生成
- 料理の種類指定(パスタ、ピッツァ、リゾットなど)
- レシピバリエーション生成
- お気に入りレシピの管理
アプリケーション全体のアーキテクチャ
| レイヤー | 技術スタック | デプロイ先/用途 |
|---|---|---|
| フロントエンド | Next.js | Vercel |
| バックエンド | VoltAgent | Render |
| データベース/API/認証 | Supabase | データベース管理・認証機能 |
Buonoくん誕生までの道のり
大まかな所要時間をまとめました。細かい調整やデバッグを除けば、主要機能の実装はほぼ一日で完了できました。
| ステップ | 内容 | 所要時間 |
|---|---|---|
| 1 | VoltAgentでのAgent構築(マルチエージェント設定を含む) | 5時間 |
| 2 | Supabaseでバックエンド(DB・API・認証機能)の構築 | 6時間 |
| 3 | Next.jsでフロントUIの仕上げとバックエンド連携 | 4時間 |
| 4 | Buonoくんイラスト作成(Gemini Nano Banana) | 30分 |
| 合計 | 約15.5時間 |
エージェントのアーキテクチャ
| エージェント名 | 役割 |
|---|---|
| BuonoKun | 司令塔。ユーザー入力を受け取り、生成フローを制御し、最終的なJSONを統合する。 |
| RecipeGenerationAgent | シェフ。食材・難易度・人数を元にメインのイタリアンレシピを考案する。 |
| RecipeVariationGenerationAgent | 栄養士/プランナー。メインレシピを元に「ビーガン」「グルテンフリー」などのアレンジ版を作成する。 |
VoltAgentではマルチエージェントアーキテクチャがサポートされてます。
統合エージェントである BuonoKun がユーザーの窓口となり、タスクに応じて専門のサブエージェント(RecipeGenerationAgent や RecipeVariationGenerationAgent)を呼び出します。
レシピ生成のデモ
できればGIFアニメーションでレシピ生成のデモを紹介したかったですが容量の問題で断念しました。
食材に「卵」と「ベーコン」を指定し、難易度を「上級」で料理の種類を「パスタ」を選択。

ちゃんと調理のコツも教えてくれます。えらい。
イタリアンといえばワインなので、料理に合いそうなおすすめワインも提案してくれるようにしてます。
実際の開発で感じたこと
良かった点
✅ VoltOps Console
AIエージェントが何をしているのかを可視化して分析やデバックができること。
✅ マルチエージェント構成が容易
複数のエージェントを役割分担させて協調動作させる仕組みが直感的で、複雑なワークフローも実装しやすい。
✅ ボイラープレートが少ない
エージェントの本質的なロジックに集中できました。サーバー設定やロギング設定で時間を取られることがない。
✅ Supabase連携がスムーズ
@voltagent/supabaseパッケージのおかげで、メモリストレージとしてSupabaseを使うのが簡単。
今後の展望
⚠️ 日本語ドキュメントが少ない
英語ドキュメントは充実していますが、日本語の情報はまだ少なめ。
こんな人におすすめ
✅ AIエージェントを初めて作る人
✅ TypeScriptで開発している人
まとめ
AIエージェント開発初心者の筆者でもVoltAgentを使用した結果、スピーディに開発を進めることができました。
VoltOps ConsoleでAIエージェントが何をしているのかを可視化して分析やデバックができることは非常に良い開発体験でした!
今後の展望としてはRAGの実装を行い、提案されるレシピの精度を上げていきたいと思います。






