はじめに
昨今、「AI駆動開発」という言葉を耳にする機会が増えてきました。
私自身、これまでのAI活用といえば Copilot に一部のソースコードを書いてもらう程度で、
いわゆる「AI駆動開発」を本格的に体験したことはありませんでした。
そんな中、IBM から AI駆動開発ツール「Bob-IDE」のアーリーアクセスが配布されることを知り、
「これは良い機会だ」と思い、実際に使ってみることにしました。
実際に Bob を触ってみて驚いたのは、
これまでの「開発の一部をAIに任せる」というレベルではなく、
「要件定義・仕様設計・開発」までを一気通貫でAIが担ってくれる点です。
「こんなことをやりたい」と自然言語で伝えるだけで、
プロジェクト全体の構成を考え、ユーザー要件を整理するところから丁寧にサポートしてくれます。
試しにWebアプリとしてテトリスを作ってみたところ、なんと3分で完成しました!!(驚愕)
Bob-IDEとは?
Bob-IDE は、AI を活用した統合開発環境(IDE)です。
単なるコード補助ツールではなく、設計・コーディング・テスト・デプロイといった
開発ライフサイクル全体を支援する「AIパートナー」として位置づけられています。
従来の IDE + AI 補完とは異なり、
「何を作りたいのか」という要件レベルの相談から開発を進められる点が大きな特徴です。
公式の発表については、以下のページが参考になります。
見た目は VSCode をベースにしたような IDE で、操作感も比較的馴染みやすい印象です。
また、IDE 内に表示される可愛いキャラクターも Bob-IDE ならではの特徴のひとつです。

実際に触ってみた
まずは空のフォルダーを作成し、Bob-IDE で開きます。
今回は、要件定義と設計を行うために Plan モード を使用しました。
最初に、以下のように自然言語で要件を伝えます。
テトリスを Web アプリケーションとして作成したい。
HTML, CSS, JS で構成したい。
すると Bob は、いきなり実装に入るのではなく、
作りたい内容を具体化するための質問を投げかけてきました。
いわゆる要件定義のフェーズです。

今回は、「基本機能+レベルシステム(速度変化)+ネクストブロック+ハイスコア保存」を選択してみます。

Bobはテトリスを理解して、実装すべき機能の詳細を整理・計画してくれました。
ここまで来ると、かなり「人が設計している」感覚に近いです。
機能面は十分そうだったので、見た目については
「クラシックなレトロスタイル」を選択しました。


Todo リストが自動生成され、
「何を作るのか」「どこまで作るのか」 が明確になりました。
内容に問題なさそうだったので、この計画を承認します。
すると、プロジェクトの概要から主要機能、
技術仕様、さらにはアーキテクチャ図まで含めた
具体的な設計が自動で作成されました。






設計内容に問題がなかったため、この計画で実装を開始してもらいます。
この時点で機能の追加・削除を行ったり、
先にモックアップを作成するといった調整も柔軟にできる点は、
Bob-IDE の大きな魅力だと感じました。
開発開始
設計が確定したので、いよいよ開発フェーズに入ります。
ここからは、先ほど作成された実行計画に沿って、
Bob がファイル単位で実装を進めていきます。
まずは、アプリの土台となる HTML ファイルの作成です。
画面構成や Canvas の配置などを含めた HTML が自動生成されました。

内容を軽く確認し、保存して次に進みます。
この時点では、人はほぼ「確認して承認するだけ」です。
続いて、スタイルを定義する CSS ファイルが作成されます。
先ほど選択した「クラシックなレトロスタイル」をベースに、
ゲーム画面全体の見た目が整えられていきます。

最後に、ゲームのコアとなる JavaScript の実装です。
ブロックの落下処理、衝突判定、ライン消去、スコア計算など、
テトリスとして成立するためのロジックが一気に生成されました。

すべての Todo が完了したので、ブラウザでHTMLファイルを開いて動作の確認を行います。

タイトルロゴが少し光りすぎていたり、
コピーライト表記が 2024 年のままだったりと細かいツッコミどころはありますが、
実際に操作して遊べるテトリスが完成していました。
ここまでにかかった時間は、ざっと 3分程度。
要件定義から設計、実装、動作確認までがこの短時間で完了するのは、
正直かなり衝撃的な体験でした。
総評・感想
今回、Bob-IDE を使って Web アプリケーションとしてテトリスを作成してみましたが、
率直な感想としては 「想像していた AI 駆動開発とは別次元だった」 という一言に尽きます。
これまでの AI 活用は、
「コードを書くのを少し手伝ってくれる存在」という認識でした。
しかし Bob-IDE は、
何を作るのかを一緒に考え、どう作るかを決め、実装までやり切る
まさに“開発パートナー”のような存在です。
特に印象的だったのは、要件定義と設計のフェーズです。
曖昧な要望を整理し、機能や構成を具体的な計画へ落とし込んでいくプロセスは、
これまでの開発フローを大きく変える可能性を感じさせるものでした。
一方で、細かなUI調整や表現の詰めなど、
プロダクトの完成度を高める部分は人の判断が欠かせません。
Bob-IDE はすべてを任せるためのツールではなく、
人と AI が役割分担することで真価を発揮する開発パートナーだと感じました。
AI 駆動開発が気になっている方や、
「設計や初期実装に時間がかかる」と感じている方には、
ぜひ一度触ってみてほしいツールです。
最後に
今回 Bob-IDE を使って作成したソースコードは、GitHub 上で公開しています。
また、以下の URL から実際にテトリスを遊ぶこともできます。
ぜひ触ってみてください!
