この記事は AIHubMix が作成しました。計測は2026年10月21日(UTC+8)に AIHubMix 経由で行い、各モデル3回ずつの小さなサンプルです。
TL;DR
- GLM-5.3 Prime は新しいモデルではなく、GLM-5.3 と同じ重みを Alibaba Cloud の「Prime モード」(高速推論モード)で動かしたものです。出力速度1.5〜2倍をうたい、価格は約2倍です。
- 同じプロンプトを交互に送った結果、デコード速度は Prime が平均98.2 tok/s、GLM-5.3 が84.7 tok/s で、1.16倍でした。
- 1回あたりの所要時間は Prime 102.1秒、GLM-5.3 99.9秒で、ほぼ同じです。Prime のほうが推論トークンを多く出力し(平均9,404対8,147トークン)、速度差を打ち消しました。
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reasoning_effort: "low"にすると Prime の出力は38%減り、1回約71秒になりました。GLM-5.3 より速く答えられたのは、この組み合わせだけです。 -
thinking: {"type": "disabled"}を送ると、Prime は HTTP 400 を返します。
GLM-5.3 Prime とは
Alibaba Cloud の Prime モードのドキュメント によると、Prime モードはレイテンシに敏感な用途向けに TPS(1秒あたりの出力トークン数)を引き上げるもので、「追加パラメータは不要」です。モデル ID を変えるだけで切り替わり、機能と利用制限は元のモデルと同じとされています。Zhipu(Z.ai)自身の GLM-5.3 ドキュメント には Prime の記載がなく、提供元は Alibaba Cloud だけです。
似た名前のモデルと混同しないよう注意してください。GLM-5.3-FlashX は、より小さい Flash モデルを高速化したものです。Zhipu の GLM-5.3 HighSpeed は、今のところ Zhipu のコーディングアプリ ZCode 内で段階的にテストされているだけです。
AIHubMix での価格(100万トークンあたり、2026年10月21日時点)は次のとおりです。
| モデル | 入力 | 出力 | キャッシュ読み取り |
|---|---|---|---|
| GLM-5.3 Prime | $2.35 | $8.23 | $0.59 |
| GLM-5.3 | $1.1268 | $3.9438 | $0.2817 |
前提
- AIHubMix の API キーを環境変数
AIHUBMIX_API_KEYに設定しておきます(クイックスタート を参照)。 - Python 3.9以上(標準ライブラリのみ)。エラーの確認には
curlを使います。 - どちらのモデルも Chat Completions エンドポイント
https://aihubmix.com/v1/chat/completionsで呼び出せます。
計測スクリプト
ストリーミングで1回リクエストを送り、最初のストリームトークン(推論か回答のどちらか)までの時間、全体の所要時間、最後の usage チャンクにある出力トークン数を記録します。tok/s は、出力トークン数を最初のトークンから最後のトークンまでの時間で割った値です。
import json, os, sys, time, urllib.request
def run(model, effort, prompt):
body = {"model": model, "messages": [{"role": "user", "content": prompt}],
"reasoning_effort": effort, "max_tokens": 16000, "stream": True,
"stream_options": {"include_usage": True}}
req = urllib.request.Request("https://aihubmix.com/v1/chat/completions",
data=json.dumps(body).encode(), method="POST",
headers={"Authorization": f"Bearer {os.environ['AIHUBMIX_API_KEY']}",
"Content-Type": "application/json"})
t0, t_first, usage = time.monotonic(), None, None
with urllib.request.urlopen(req, timeout=900) as r:
for raw in r:
line = raw.decode().strip()
if not line.startswith("data:") or line == "data: [DONE]":
continue
chunk = json.loads(line[5:])
usage = chunk.get("usage") or usage
for ch in chunk.get("choices") or []:
d = ch.get("delta") or {}
if t_first is None and (d.get("reasoning_content") or d.get("content")):
t_first = time.monotonic()
t_end = time.monotonic()
out = usage["completion_tokens"]
return {"model": model, "ttft": round(t_first - t0, 2), "total": round(t_end - t0, 1),
"tokens": out, "tok_s": round(out / (t_end - t_first), 1)}
prompt = sys.argv[1]
for _ in range(3): # alternate so both models see the same time window
for m in ("glm-5.3", "glm-5.3-prime"):
print(run(m, "high", prompt))
python3 time_glm.py "Implement a thread-safe token-bucket rate limiter in Python ..."
使ったプロンプトは、time.monotonic() を使う TokenBucket クラス(try_acquire() 付き)と、偽の時計を注入する pytest テスト5本を書かせるものです。
結果
| 回 | モデル | 最初のトークン | 所要時間 | 出力トークン | tok/s |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | GLM-5.3 | 4.9秒 | 116.5秒 | 9,556 | 85.6 |
| 2 | Prime | 2.9秒 | 108.3秒 | 9,900 | 93.9 |
| 3 | GLM-5.3 | 3.0秒 | 72.4秒 | 6,079 | 87.5 |
| 4 | Prime | 3.2秒 | 87.3秒 | 8,564 | 101.8 |
| 5 | GLM-5.3 | 2.0秒 | 110.8秒 | 8,806 | 80.9 |
| 6 | Prime | 12.0秒 | 110.6秒 | 9,748 | 98.8 |
reasoning_effort: "high"、ストリーミングで計測し、すべて stop で終了しました。
どのペアでも Prime のデコード速度のほうが上でしたが、所要時間はほとんど変わりませんでした。回ごとのトークン数のばらつきが、速度差より大きかったためです。OpenRouter 経由の DataLLM Lab のテスト でも同じ傾向で、両モデルとも1回あたり平均14.2秒、Prime の推論トークンは1回1,215対631でした。
参考までに、AIHubMix のモデルページでは現在、GLM-5.3 が33.4 tok/s、Prime が48.6 tok/s(1.46倍)と表示されています。サードパーティの監視では GLM-5.3 が61〜72 tok/s、Prime が60〜80 tok/s です。時間帯や経路で大きく変わるので、自分のトラフィックで測るのが確実です。
ハマりどころ
thinking を無効化すると Prime は 400 invalid_parameter_error を返す
GLM-5.2 向けに書いたコードでは、推論をオフにしていることがよくあります。GLM-5.3 は推論をオフにできません。
curl -s https://aihubmix.com/v1/chat/completions \
-H "Authorization: Bearer $AIHUBMIX_API_KEY" \
-H "Content-Type: application/json" \
-d '{"model": "glm-5.3-prime", "max_tokens": 2000,
"thinking": {"type": "disabled"},
"messages": [{"role": "user", "content": "Reply with the single word: ok"}]}'
Prime は HTTP 400 を返します。
{"error": {"message": "<400> InternalError.Algo.InvalidParameter: The value of the enable_thinking parameter is restricted to True. (tid: ...)",
"type": "invalid_request_error", "param": "", "code": "invalid_parameter_error"}}
(enable_thinking パラメータの値は True に制限されています。)
Zhipu のドキュメントにも、Z.ai 自身の API でこのフラグを送るとリクエストが失敗すると書かれています。対処として、thinking や enable_thinking: false をリクエストから削除してください。推論を短くしたい場合は reasoning_effort: "low" を使います。
reasoning_effort を下げても出力が短くならないことがある
同じプロンプトでは、Prime で low の効果がはっきり出ました。
| モデル | effort | 回数 | 出力トークン | 所要時間 |
|---|---|---|---|---|
| GLM-5.3 | high | 3 | 8,147 | 99.9秒 |
| Prime | high | 3 | 9,404 | 102.1秒 |
| Prime | low | 2 | 5,832 | 70.7秒 |
Prime では low で出力が38%減りました。一方、AIHubMix の GLM-5.3 は複数のプロバイダーから提供されており、一部の経路では effort の設定や thinking の無効化フラグがドキュメントどおりに動かない可能性があります。毎回 usage.completion_tokens_details.reasoning_tokens をログに残し、content に回答だけが入っているかも確認しておきましょう。
none や xhigh を送ると invalid_parameter_error になる
GLM-5.3 の reasoning_effort は low・high・max の3段階だけで、デフォルトは max です。前の Prime モードの GLM である glm-5.2-fast-preview は、none・minimal・medium・xhigh も受け付けていました。Alibaba Cloud は未対応の値に invalid_parameter_error を返すので、切り替える前にこれらの値を外してください。
GLM-5.3 で収まるプロンプトが Prime ではコンテキスト超過になる
Prime のコンテキストは1,000,000トークン、AIHubMix の GLM-5.3 は1,048,576トークンです。GLM-5.3 にぎりぎり収まるプロンプトは、Prime では超過することがあります。最大出力はどちらも131,072トークンです。
並列ツール呼び出しで引数が欠ける恐れがある
OpenRouter の Prime エンドポイントは、サポートするパラメータに parallel_tool_calls を挙げていません。また Cursor のユーザーから、GLM-5.3 が1ステップで複数のツールを呼ぶと引数が欠けるという報告があります。今回のテストではツール呼び出しを試していません。エージェントがツールを並列で呼ぶなら、先に Prime でその経路を試してください。
Claude Code や Codex からは使えない
AIHubMix は Prime を Chat Completions でのみ提供しているため、Claude Code(Anthropic Messages)や Codex(Responses API)からは使えません。提供元も Alibaba Cloud だけなので、止められない処理には glm-5.3 をフォールバックとして残しておきましょう。OpenCode のように OpenAI 互換エンドポイントを使うエージェントなら、モデル ID を変えるだけで使えます。
コスト
長めのエージェント型コーディングタスク1件を、出力75Kトークン(Zhipu の Code Bench で max のときの値)、入力1.2Mトークン(キャッシュヒット90%)と仮定すると、GLM-5.3 で $0.735、Prime で $1.536 です。今回測ったデコード速度なら、Prime で短縮できるのは約2分(14.8分対12.7分)、モデルページの速度なら約12分(37.4分対25.7分)です。$0.80で2〜12分を買う計算になり、誰かが待っている場合にだけ割に合います。
effort が効く経路なら、効果が大きいのはそちらです。Zhipu の Code Bench では、high の出力トークンは max より約3分の1少なく(1タスクあたり約50K対約75K)、スコアは3ポイント低いだけでした(31.4%対34.5%)。今回のテストで最速だった Prime の low は1回約 $0.048、GLM-5.3 の high は $0.032 で、コストは2倍ではなく1.5倍でした。
検証できていないこと
- 速度差が時間帯や日によって安定しているか。各モデル3回だけで、ある時点のスナップショットにすぎません。
- GLM-5.3 の各リクエストをどのプロバイダーが処理したか。プロバイダーは固定していません。
- Prime でのツール呼び出しと長いコンテキストの挙動。
- 品質。Prime は同じ重みを使っていますが、今回は生成されたコードを採点していません。
まとめ
- GLM-5.3 Prime は同じ GLM-5.3 を高速モードで動かしたもので、価格は約2倍です。
- 今回のテストでは、デコード速度は1.16倍でしたが、回答が届くまでの時間は変わりませんでした。
- 速く答えたのは Prime と
reasoning_effort: "low"の組み合わせだけでした。effort が効いているかはreasoning_tokensで確認できます。 - thinking の無効化フラグは削除しましょう。Prime は 400 を返します。
2つのモデルの仕様と価格は AIHubMix の比較ページ で並べて確認できます。1つのキーで両方を試せるので、自分のプロンプトで測ってから決めてください。
参考
- Prime mode — Alibaba Cloud Model Studio(Alibaba Cloud)
- GLM-5.3 overview(Z.ai)
- GLM 5.3 Prime model page(AIHubMix)
- GLM-5.3 Prime Review: 7/9 at $11.52 per 1,000 Tasks(DataLLM Lab)
- GLM-5.3 Prime and FlashX: Speed Tiers, Not New Models(Codersera)