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データ分析の基礎

Last updated at Posted at 2023-09-24

1. データ分析の概要と目的

データ分析とは、大量のデータから有用な情報や知識を抽出するプロセスです。
このプロセスには、データの収集、前処理、探索、モデリング、評価、そして最終的な知識の抽出が含まれます。

データ分析の主な目的は以下の通りです

  • ビジネスの意思決定をサポートする
  • 新しい市場の機会を発見する
  • 顧客の行動や傾向を理解する
  • 製品やサービスの改善
  • 予測や予測モデリングを行う

2. Pythonにおけるデータ分析のライブラリの紹介

Pythonはデータ分析のための多くのライブラリを持っています。
以下はその中でも特に人気のあるライブラリです

  • Pandas: データの前処理や探索的データ分析に使用されるライブラリ
  • NumPy: 数値計算を効率的に行うためのライブラリ
  • Matplotlib & Seaborn: データの可視化に使用されるライブラリ
  • Scikit-learn: 機械学習のアルゴリズムやデータ前処理のツールを提供するライブラリ

次に、これらのライブラリを使用した簡単なデータ分析の例を示します。
まずはPandasを使用してデータを読み込み、基本的なデータの探索を行います。

import pandas as pd

# CSVファイルからデータを読み込む
data = pd.read_csv('data.csv')

# 最初の5行を表示
print(data.head())

# データの基本的な情報を表示
print(data.info())

3. データの可視化

データの可視化は、データ分析の非常に重要なステップです。
可視化を通じて、データの傾向やパターン、異常値などを直感的に理解することができます。

Pythonでは、Matplotlib と Seaborn という2つの主要なライブラリを使用してデータの可視化を行うことができます。

Matplotlibの基本

MatplotlibはPythonの基本的な可視化ライブラリで、多くのグラフやチャートを作成することができます。

例として、以下はリストのデータを使用して線グラフを作成するコードです

import matplotlib.pyplot as plt

# データ
x = [1, 2, 3, 4, 5]
y = [1, 4, 9, 16, 25]

# グラフの作成
plt.plot(x, y)

# グラフのタイトルと軸のラベルを設定
plt.title("Sample Plot")
plt.xlabel("X-axis")
plt.ylabel("Y-axis")

# グラフの表示
plt.show()

Seabornの基本

SeabornはMatplotlibをベースにした高度な可視化ライブラリで、より美しいグラフや複雑な可視化を簡単に作成することができます。

例として、以下はSeabornを使用してヒストグラムを作成するコードです

import seaborn as sns

# データ
data = [1, 2, 2, 3, 3, 3, 4, 4, 5]

# ヒストグラムの作成
sns.histplot(data, bins=5, kde=True)

# グラフの表示
plt.show()

これらのライブラリを使用して、さまざまな種類のグラフやチャートを作成することができます

データの探索と可視化の実践

ここでは、有名な「Iris」データセットを使用します。このデータセットには、3種類のアヤメの花(setosa, versicolor, virginica)のがく片と花びらの長さと幅の計測データが含まれています。

まず、データセットを読み込み、基本的な情報を確認します。

# SeabornライブラリからIrisデータセットを読み込む
iris = sns.load_dataset('iris')

# 最初の5行を表示
print(iris.head())

# データの基本的な情報を表示
print(iris.info())

次に、各種類のアヤメの花のがく片の長さの分布をヒストグラムで可視化します。

# ヒストグラムの作成
sns.histplot(iris, x='sepal_length', hue='species', bins=20, kde=True)

# グラフのタイトルを設定
plt.title("Distribution of Sepal Length by Species")

# グラフの表示
plt.show()

このヒストグラムを通じて、各種類のアヤメの花のがく片の長さの分布や特徴を視覚的に理解することができます。

このように、データの探索と可視化を行うことで、データの特性や傾向を明らかにし、後の分析やモデリングの方向性を決定する手助けとなります。

4. 統計的なデータ分析

データ分析の過程で、統計的手法を使用してデータの特性や関係性を理解することは非常に重要です。
統計的手法を使用することで、データの背後にあるパターンやトレンドを定量的に評価することができます。

以下は、統計的データ分析の基本的なステップです:

  • 記述統計: データの中心傾向、分散、形状などの基本的な特性を要約します。
  • 相関分析: 2つの変数間の関係の強さと方向を評価します。
  • 仮説検定: ある仮説がデータに基づいて正しいかどうかを評価します。
  • 回帰分析: 一つ以上の変数に基づいて他の変数を予測するモデルを構築します。

A. 記述統計
Pandasを使用して、データの基本的な記述統計を取得することができます。

# Irisデータセットの記述統計を取得
print(iris.describe())

B. 相関分析
Pandasのcorrメソッドを使用して、変数間の相関係数を計算することができます。

# Irisデータセットの相関係数を計算
correlation = iris.corr()
print(correlation)

# 相関係数をヒートマップで可視化
sns.heatmap(correlation, annot=True, cmap='coolwarm')
plt.show()

C. 仮説検定
Scipyライブラリを使用して、t検定やANOVAなどの仮説検定を行うことができます。

t検定

t検定は、2つの独立したグループの平均値が統計的に異なるかどうかを評価するための手法です。
以下は、Irisデータセットのsetosaとversicolorのがく片の長さの平均値が異なるかどうかを評価するためのt検定のサンプルコードです。

from scipy.stats import ttest_ind

# setosaとversicolorのがく片の長さのデータを取得
setosa_sepal_length = iris[iris['species'] == 'setosa']['sepal_length']
versicolor_sepal_length = iris[iris['species'] == 'versicolor']['sepal_length']

# t検定の実行
t_stat, p_value = ttest_ind(setosa_sepal_length, versicolor_sepal_length)

print(f"t-statistic: {t_stat:.2f}")
print(f"p-value: {p_value:.4f}")

ANOVA (分散分析)

ANOVAは、3つ以上のグループの平均値が統計的に異なるかどうかを評価するための手法です。
以下は、Irisデータセットの3種類のアヤメのがく片の長さの平均値が異なるかどうかを評価するためのANOVAのサンプルコードです。

from scipy.stats import f_oneway

# 3種類のアヤメのがく片の長さのデータを取得
setosa_sepal_length = iris[iris['species'] == 'setosa']['sepal_length']
versicolor_sepal_length = iris[iris['species'] == 'versicolor']['sepal_length']
virginica_sepal_length = iris[iris['species'] == 'virginica']['sepal_length']

# ANOVAの実行
f_stat, p_value = f_oneway(setosa_sepal_length, versicolor_sepal_length, virginica_sepal_length)

print(f"F-statistic: {f_stat:.2f}")
print(f"p-value: {p_value:.4f}")

これらのサンプルコードを実行することで、異なるグループ間の平均値の差が統計的に有意かどうかを評価することができます。
p値が特定の有意水準(例えば0.05)よりも小さい場合、グループ間の平均値には統計的に有意な差があると判断されます。

D. 回帰分析
Scikit-learnを使用して、線形回帰やロジスティック回帰などの回帰分析を行うことができます。

線形回帰

線形回帰は、変数間の線形関係をモデル化するための手法です。
以下は、Irisデータセットを使用して、がく片の長さから花びらの長さを予測する線形回帰のサンプルコードです。

from sklearn.linear_model import LinearRegression
from sklearn.metrics import mean_squared_error

# 特徴変数と目的変数を定義
X = iris[['sepal_length']]
y = iris['petal_length']

# データの分割
X_train, X_test, y_train, y_test = train_test_split(X, y, test_size=0.2, random_state=42)

# 線形回帰モデルの訓練
model = LinearRegression()
model.fit(X_train, y_train)

# 予測と評価
y_pred = model.predict(X_test)
mse = mean_squared_error(y_test, y_pred)

print(f"Mean Squared Error: {mse:.2f}")

ロジスティック回帰

ロジスティック回帰は、カテゴリ変数を予測するための回帰分析の手法です。
以下は、Irisデータセットを使用して、がく片の長さと花びらの長さからアヤメの種類を予測するロジスティック回帰のサンプルコードです。

from sklearn.linear_model import LogisticRegression
from sklearn.metrics import accuracy_score

# 特徴変数と目的変数を定義
X = iris[['sepal_length', 'petal_length']]
y = iris['species']

# データの分割
X_train, X_test, y_train, y_test = train_test_split(X, y, test_size=0.2, random_state=42)

# ロジスティック回帰モデルの訓練
model = LogisticRegression(max_iter=200)
model.fit(X_train, y_train)

# 予測と評価
y_pred = model.predict(X_test)
accuracy = accuracy_score(y_test, y_pred)

print(f"Accuracy: {accuracy:.2f}")

これらのサンプルコードを実行することで、データの特性や関係性に基づいて予測モデルを構築し、その性能を評価することができます。

5. 機械学習

機械学習は、データから学習して予測や分類を行う技術の一つです。データサイエンスの分野で非常に重要な役割を果たしています。

機械学習の基本的なステップは以下の通りです

  • データの前処理: 欠損値の処理、カテゴリ変数のエンコーディング、データの正規化や標準化など。
  • データの分割: データを訓練データとテストデータに分割します。
  • モデルの選択: 問題の種類やデータの特性に応じて、適切な機械学習モデルを選択します。
  • モデルの訓練: 訓練データを使用してモデルを訓練します。
  • モデルの評価: テストデータを使用してモデルの性能を評価します。
  • モデルの最適化: ハイパーパラメータの調整や特徴選択を行い、モデルの性能を向上させます。

PythonのScikit-learnライブラリは、これらのステップを効率的に実行するための多くのツールとアルゴリズムを提供しています。

例として、Irisデータセットを使用して簡単な分類問題を解く手順を示します。

from sklearn.model_selection import train_test_split
from sklearn.svm import SVC
from sklearn.metrics import accuracy_score

# データの分割
X = iris.drop('species', axis=1)
y = iris['species']
X_train, X_test, y_train, y_test = train_test_split(X, y, test_size=0.2, random_state=42)

# モデルの選択と訓練
model = SVC()
model.fit(X_train, y_train)

# モデルの評価
y_pred = model.predict(X_test)
accuracy = accuracy_score(y_test, y_pred)
print(f"Accuracy: {accuracy:.2f}")

このコードは、サポートベクターマシン(SVM)を使用してIrisデータセットの花の種類を分類するモデルを訓練し、その性能を評価しています。

このように、Scikit-learnを使用すると、機械学習の基本的なステップを簡単に実行することができます。

おわりに

今回、データ分析の概要から統計的手法、そして機械学習の基礎までを簡単に学びました。これらの知識は、データサイエンティストとしてのキャリアを追求する上での基盤となります。今後は、これらの基本的な内容をさらに深く学び、実際のデータセットを使用して実践的な分析やモデリングを行ってみることをおすすめします。

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