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XREALグラスでどこでも簡易SteamVR

Last updated at Posted at 2025-09-11

XREALグラスでCloudXRを使ってSteamVRを楽しむ方法

1. はじめに

まず最初に断っておきますが、この目的のためだけにXREALグラスを買うのはおすすめしません
更に、とても玄人向けの内容となっています。
XREALは視野角が非常に狭く、一般的なVRデバイスとは全く別物です。

また、XREALグラス自体もコントローラーも 3DoF(角度のみ検出) なので、アバターを自由に動かすような使い方には正直向いていません

👈️3DoF 6DoF👉️

ただし――

  • フレンドとボイスチャットで話す
  • 軽めのワールド巡りをする
    といったライトな用途であれば、意外と楽しめる場面もあります。

本記事は、そんな制限の多いXREAL環境でも 工夫してSteamVRを使いたい! という方向けにまとめたものです。

記事内で紹介している方法は、一部非公式の手順を含みますし、自己責任の要素も多めです。
「ここに書いてないことも自分で調べて試せる」くらいのやる気がある方だけ、ぜひ最後まで読んでチャレンジしてみてください。


2. 必要なもの

CloudXRを利用してXREALグラスでSteamVRを使うには、以下の環境が必要です。

  • Nebula対応のAndroidスマートフォン または XREAL Beam Pro
  • XREAL Light / XREAL X / XREAL Air シリーズ / XREAL One シリーズ のいずれか
  • Wi-Fi環境(WLANネットワーク)
  • SteamVRが動作するWindows PC
  • Joy-Con両手分
  • Driver4VR(有料)

今回使用したPC環境(参考)

  • CPU: AMD Ryzen 9 9950X3D
  • GPU: NVIDIA GeForce RTX 5080 (Driver 581.15)
  • OS: Windows 11 Pro 64bit 24H2

NVIDIAドライバーのバージョンによっては正常動作しない場合があります。


3. CloudXRとは?

CloudXRは NVIDIAが提供する低遅延ストリーミング技術 で、PC上のVR/AR描画をWi-Fi経由でクライアントに転送できる仕組みです。
本来は企業向けですが、XREALグラスと組み合わせることで SteamVRをワイヤレスで楽しむ ことが可能になります。

詳細は XREAL公式ドキュメント を参照してください。

特徴

  • 低遅延:ALVRやVirtual Desktopと比べても安定性が高い
  • 高画質:NVIDIA GPUのハードウェアエンコードを利用
  • SteamVR互換:PC側でSteamVRを立ち上げればそのまま利用可能
  • 自己責任環境:一般ユーザー向けの公式サポートは存在しない
  • GPU依存度が高い:NVIDIA RTX 3060以上を推奨

4. 導入(Beam Pro / Nebula対応Androidスマートフォン側)

まずは XREAL CloudXR公式ドキュメント端末側のブラウザで開きましょう。

APKのダウンロード

  1. CloudXR v3.2 をダウンロード
    (ONEシリーズではv4.0.1にクラッシュ問題があるため、安定版のv3.2推奨)

  2. 自分の環境に合わせて最新の .apk を選択

    • CloudXR_20250616.apk → MyGlasses v1.8.1用
    • CloudXR_20250807.apk → MyGlasses v1.9.0用

私のBeam Pro環境(MyGlasses 1.10.x)では、1.9.0用APKでも問題なく動作しました。

インストール手順

  1. ダウンロードしたAPKを開くと警告が表示されます
  2. 「インストール」を押して進めます

image.png


5. 導入(Windows側)

次にPC(Windows)側のセットアップを行います。
同じく XREAL CloudXR公式ドキュメント をWindows側でも開いてください。

必要条件

  • Windows 10 以降
  • NVIDIA RTX GPU 搭載(最新のドライバ推奨)
  • Steamアカウント(SteamVRが動作すること)
  • 同一ネットワークに接続できる環境(PCは有線LAN推奨)
  • NVIDIAドライババージョン 440.97 以上
  • Microsoft June 2010 DirectX SDK のインストール

手順

  1. Steam / SteamVR のインストール
    Steamをインストールし、SteamVRを追加します。

  2. CloudXR Server のインストール
    環境に応じて適切なバージョンをダウンロードしてください。

    • Beam Pro / MyGlasses のバージョンごとに推奨が異なる
    • ONEシリーズは安定版(v3.2)を推奨

    image.png

  3. SteamVRのアドオン確認

    • CloudXRRemoteHMD が有効になっているか確認
    • 有効化後はSteamVRを再起動
  4. ネットワーク設定

    • 端末(スマホ / Beam Pro)とPCを同じWi-Fiネットワークに接続
    • PCは有線LAN推奨(Wi-Fiより安定)
    • PCのIPアドレスを確認(例: 192.168.1.25

このIPアドレスはローカル内なので公開しても問題ありません。


6. 実践

  1. CloudXRRemoteHMD を有効状態でSteamVRを起動
    image.png

  2. ARグラスを端末に接続し、CloudXRアプリを起動

  3. 端末側アプリで設定

    1. PCのIPアドレスを入力
    2. SteamVR内での身長(頭の高さ)を設定
  4. 進むボタンを押すとSteamVRに接続
    正しく設定できていれば、グラスにSteamVRの映像が表示されます。

    IMG_0032_3.gif
    👇️関係のないものをモザイクしてます。
    image.png

端末はIndexコントローラーとして認識されます。

端末コントローラーの操作は制限が多く、一部ボタンはSteamVRをクラッシュさせる原因になります。
必ず 「操作をロック」 を押してください。


7. マイクの導入

SteamVRで ボイスチャットや音声入力 を利用する場合、XREALグラスのマイクをPCに認識させる必要があります。
そのままではPCに入力デバイスとして認識されないため、今回は WO Mic を使用します。

WO Mic 公式サイト

WO MicはAndroid / iPhoneをWindows用の仮想マイクとして扱えるアプリで、これを導入することで XREALグラス内蔵マイクをPCマイクとして利用 できるようになります。

  • 個人的には MicStream もおすすめ(有料・月額制)

手順

1. 端末側(Android / iPhone)

  • Google Play または App Store から WO Mic をインストール
  • アプリを起動し、Transport方式を「Wi-Fi」 に設定
  • PCと同じネットワークに接続されていることを確認

2. Windows側

  • 公式サイト から以下をインストール
    • WO Mic Client(アプリ本体)
    • WO Mic Virtual Device Driver(仮想マイクドライバ)

image.png

3. 接続設定

  • 端末側アプリで右上の ▶️ ボタンを押してマイクを開始
  • PCで WO Mic Client を起動
  • Connection → Connect... を選択
  • 「Wi-Fi」を選び、端末アプリに表示されているIPアドレスを入力
  • 「OK」を押すと接続完了
  • Windowsのサウンド設定に「WO Mic Device」が追加され、マイクとして利用可能になります

image.png

VRChatで「WO Mic Device」を選択すると音声が入力されるはずです。


動作確認

  • 端末側アプリで右上の ▶️ ボタンを押してマイクを開始
  • Windowsの「サウンド設定 → 入力」で WO Mic Device を選択
  • VRChatやDiscordなどのアプリで、音声入力に「WO Mic Device」を指定

遅延はほとんど気にならない程度ですが、ゲームによってはわずかなラグを感じる場合があります。


8. Joy-ConをSteamVRに認識させる

1. BluetoothでJoy-Conを接続

  1. WindowsのBluetoothのデバイス追加画面を開く
  2. Joy-Conのペアリングボタンを長押しする
  3. デバイスを追加するの画面に表示されるJoy-Conを接続
  4. 左右分繰り返す

IMG_0037_2.gif
👇️接続状態のJoy-Con

Nintedo Switch本体が起動しているとPCで検出されない場合があります。
下記で紹介するDriver4VRが起動していると接続ができない場合があります。

次回、Joy-Conを接続するときに、デバイスを一度削除してから再ペアリングする必要があります。

VRChatで移動するにはスティック押し込みが必要です。
コントローラーのバインドもめちゃくちゃです。頑張って調整してください。


2. SteamでDriver4VR通常版のインストール(有料)

Steam Driver4VR

  • SteamVRでDriver4VRアドオンを有効化

3. SteamVRを立ち上げ

先程の実践の項目と同様にSteamVRを立ち上げてください。


4. Driver4VRでJoy-Conを認識

  • Hand trackingVirtual Trackersを選択
  • 次にTracker Managerを開く

image.png

  • Open toggle device support windowを押して、Joy-Conを有効化

image.png
image.png

  • ウィンドウを閉じて、元の画面に戻りUpdate List of Devicesを押す
  • 接続されていれば、Joy-Conが一覧に出てきます

image.png


5. Joy-Conを仮想トラッカーに割当

  • leftleft に、rightright に割り当ててください

Driver4VR Controller and Tracker Manager 2025-09-11 15-17-02.gif

  • 最後に手の位置を少し前にずらします。視野角が狭いため、自分の手が見えなくなるためです。
    image.png

参考リンク:


6. グラスを付けてSteamVRを試す

  • Startを押すとJoy-Conがコントローラーとして認識されます。
    image.png

Driver4VRをStartしたときにJoy-Conを水平な場所に置いて動かさないでおいてください。
勝手に手が動いてしまう、ドリフト現象の発生を防ぐことが出来ます。
そのため、自動でStartを押してくれる設定は今回適切ではありません。
image.png


9. 遠隔化(超玄人向け)

遠隔化については、ざっくりと仕組みだけ紹介します。
基本的に「自分で試行錯誤できる人」向けの内容です。

大きく分けて、以下の2ステップがあります:

  • SteamVR と WoMic の遠隔化
  • Joy-Con の遠隔接続

9.1 SteamVR と WoMic の遠隔化

これらはネットワーク経由で接続されているため、自宅に VPN サーバーを立てることで解決できます。
NVIDIA の超技術で作られている CloudXR は、意外と遅延が少なく快適です。


9.2 Joy-Con の遠隔接続

  1. 新しい Android 端末を用意し、VirtualHere(有料) をインストールします。
    → USB デバイスをネットワーク越しに Windows へ接続できるアプリです。

  2. Windows 側にも VirtualHere の クライアントをインストールします。

  3. 用意した Android 端末に
    Bluetooth ドングル を接続します。
    → これでネットワーク越しに Windows に Bluetooth ドングル が接続されます。

  4. PC 側の Bluetooth を、デバイスマネージャーから無効化しておきましょう。

  5. Joy-Con を、Android 端末に刺さっている Bluetooth ドングルに接続します。

10. まとめ

XREALグラスでSteamVRを使うには、通常のVRとは異なる多くの制約と工夫が必要です。
しかし、制限を理解し、手順を丁寧に踏めば「軽めのVR体験」くらいなら十分楽しめる環境を作ることができます。

ただし、本記事で紹介した内容はすべて自己責任となります。
非公式なツールや構成を含むため、うまく動かない場面もあるかもしれません。

それでも「試してみたい!」「この環境でもVRやりたい!」という方の参考になれば幸いです。


起動時の手順(再利用時の手順まとめ)

XREAL + CloudXR を使ってSteamVRを起動する際は、以下の手順で進めるとスムーズです。

  1. PCの起動

    • 有線LANでネットワーク接続
    • Steam → SteamVR を起動
    • CloudXRRemoteHMD アドオンが有効になっていることを確認
  2. Driver4VRの起動(Joy-Con利用時)

    • Joy-Con を Bluetooth で接続(毎回再ペアリング)
    • Driver4VR を起動し、Startを押す(押すときはJoy-Conを動かさないで置いておく)
    • Joy-Conが仮想トラッカーとして動作しているか確認
  3. CloudXR アプリの起動(Beam Pro / Android)

    • アプリを起動し、PCのIPアドレスを入力
    • 身長(頭の高さ)設定を行う
  4. 「進む」ボタンを押す

    • SteamVRに接続され、映像がグラスに表示される
  5. WO Mic(マイク)を使う場合

    • スマホ側で WO Mic を起動し、Wi-Fiでマイク送信開始
    • PC側の WO Mic Client で接続
    • Windowsで「WO Mic Device」がマイクとして認識されていることを確認
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