はじめに

Ruby3.1で導入された error_highlight について軽く調査したので記事にまとめました。

Ruby3.1で導入されたバックトレース中の詳細なエラー位置を表示してくれる組み込みの gem
デフォルトで有効
- --disable-error_highlight コマンドラインオプションを指定することで無効化できる
その他注意点
- 全角文字が含まれると表示されない
- 1行の文字が長すぎるとうまくハイライトできない
- irb上では動作しない

例

Ruby3.0 までのエラー出力

before

$ ruby -e '1.time {}'
-e:1:in `<main>': undefined method `time' for 1:Integer (NoMethodError)
Did you mean?  times

Ruby3.1 以降のエラー出力

after

$ ruby -e '1.time'
-e:1:in `<main>': undefined method `time' for 1:Integer (NoMethodError)

1.time
 ^^^^^
Did you mean?  times

^ でエラーの位置が強調されています！！

error_highlight の API `ErrorHighlight.spot` を利用する

ErrorHighlight クラスの spot が利用できます。
（この API は実験的なものであり、将来変更される可能性があります。）

sample.rb

class Dummy
  def test(_dummy_arg)
    node = RubyVM::AbstractSyntaxTree.of(caller_locations.first, keep_script_lines: true)
    ErrorHighlight.spot(node)
  end
end

pp Dummy.new.test(42)

以下のように、 spot に渡した node の場所の情報が取得できます。

$ ruby sample.rb
{:first_lineno=>8,
 :first_column=>12,
 :last_lineno=>8,
 :last_column=>17,
 :snippet=>"pp Dummy.new.test(42)\n",
 :script_lines=>
  ["class Dummy\n",
   "  def test(_dummy_arg)\n",
   "    node = RubyVM::AbstractSyntaxTree.of(caller_locations.first, keep_script_lines: true)\n",
   "    ErrorHighlight.spot(node)\n",
   "  end\n",
   "end\n",
   "\n",
   "pp Dummy.new.test(42)\n"]}

上記の例では、8行目の12から17列目まで。
この情報を元に、以下のように表示しています。

pp Dummy.new.test(42) # <- Line 8
#           ^^^^^       <- Column 12--17

エラーのフォーマットを変更する

ErrorHighlight.formatter を上書きすることで、エラーのフォーマットが変更できます。
spot の結果を受けとるメソッド message_for を定義したオブジェクトを作成します。

formatter_sample.rb

formatter = Object.new
def formatter.message_for(spot)
  marker = " " * spot[:first_column] + "^" + "~" * (spot[:last_column] - spot[:first_column] - 1)

  "\n\n#{ spot[:snippet] }#{ marker }"
end

ErrorHighlight.formatter = formatter

1.time {}

$ ruby formatter_example.rb 
formatter_example.rb:10:in `<main>': undefined method `time' for 1:Integer (NoMethodError)

1.time {}
 ^~~~~
Did you mean?  times

出力が変化しました！

実装

error_highlight gem は以下のようなファイル構成になっています。

error_highlight.rb
error_highlight/
- base.rb
- core_ext.rb
- formatter.rb
- version.rb

base.rb に以下のような分岐があり、node の種類ごとに処理を行っています。

      case @node.type

      when :CALL, :QCALL
        case @point_type
        when :name
          spot_call_for_name
        when :args
          spot_call_for_args
        end

core_ext.rb で prepend により TypeError と ArgumentError のメソッド上書きすることで、この機能を提供しているらしいです。

    TypeError.prepend(CoreExt)
    ArgumentError.prepend(CoreExt)

参考文献

おまけ

Qiita株式会社では Ruby3 新機能の社内勉強会を開催しており、この記事もその一環で記載しました！
Devトークも募集しておりますので、社内勉強会についてや Ruby3 新機能についてお話ししましょう！

【Ruby3.1】error_highlight gem について

はじめに

例

error_highlight の API ErrorHighlight.spot を利用する

エラーのフォーマットを変更する

実装

参考文献

おまけ

error_highlight の API `ErrorHighlight.spot` を利用する