はじめに
私は現在、約10名のエンジニアのマネジメントを担当しています。
誤解しないでいただきたいのは、職業柄AIの活用は当然のことであり、AIの利用自体は大歓迎の立場です。
しかし、その上でも「AIがこう言ったから」という回答だけは、絶対に言わない方がいいと思っています。
本記事では、マネージャー視点から、なぜこの発言が問題なのかを解説します。
理由1: コミュニケーション能力の欠如を露呈している
聞かれているのは「なぜ」であって「誰が」ではない
レビューや面談で「なぜこうしたのですか?」と聞いたとき、私が知りたいのは判断の根拠と思考プロセスです。
「誰が言ったか」は本質ではない
AI、先輩、参考書、インターネット - 情報源は問題ではありません。
重要なのは、その選択がなぜ適切なのかを自分の言葉で説明できることです。
この違いが理解できていないと、自分でコミュニケーションができないことを露呈していることになります。
理由2: 時代を読む力がない
現実問題として、「AIがこう言ってた」への嫌悪感は存在する
みなさんもご存知の通り、「AIがこう言ってた」という発言に嫌悪感を抱く層が一定数存在するのは事実です。
また、それは特に経験豊富な方や上位層に多い傾向があります。
それを知りながら、あえてその発言をする判断力のなさ
問題は、これを知りながらもなお「AIがこう言ってたから」と答える意思決定そのものです。
この事実を知っているのに、あえて「AIがこう言ってた」と答えるのは、状況判断ができていないということです。
相手の反応を予測し、適切なコミュニケーション方法を選択する - これは仕事をする上で非常に必要なスキルです。
でも、大丈夫。未来は変わる
「誰が言ったか」が信頼になる瞬間
おそらく今後も「AIがこう言ったから」だけで十分、という時代は来ないでしょう。
なぜなら、一つ目の理由で述べた通り、説明責任は常に人間側にあるからです。
しかし、近い未来状況は変わり、今よりずっと信頼される日が来ると私は考えます。
「誰が言ったか」は、無関係ではない
例えばスポーツの世界では、
コーチ: 「なぜそのフォームにしたんだ?」
選手: 「イチローがそう言っていたので」
この一言は、完全な説明ではありません。それでも、一定の信頼は得られます。
イチローという存在が、長年の実績と社会的評価によって「信頼の記号」になっているからです。
本来、判断の正しさはロジックで説明されるべきです。それでも私たちは、「誰が言ったか」に影響を受けます。これは人間の性質です。
AIの成長は目覚ましく、実はもう技術的にはその段階に達しています。
問題は、時代がまだ追いついていないことです。
だから、「まだ早い」
技術的には正しくても、社会的・文化的な受容が追いついていないのです。
これはタイミングの問題です。
「AIが言った」で信頼を得られる時代は来ますが、今はまだ自分の言葉で説明すべき段階なのです。
まとめ
「AIがこう言ってるから」がダメな理由は、
- コミュニケーション能力の欠如を露呈する - 質問の意図を理解していない
- 状況判断力の欠如を露呈する - 時代をまだ読めていない
ということです。
AIの活用は大歓迎です。むしろ積極的に使うべきです。
しかし、その使い方と伝え方には、まだ気を付ける必要があります。
数年後には「AIがこう提案した」が当たり前の時代が来るでしょう。
それまでは、自分の思考プロセスを説明する訓練として、この過渡期を活用してください。
AIを使いながらも、自分の言葉で説明できる - これが、これからの仕事に求められるスキルだと考えています。