はじめに
アドベントカレンダー12/4 = 4記事目
新しいプロジェクトに参画し、日々システムを調べていく中で「バッチ処理」という言葉にしばしば出会うようになりました。
単語として聞いたことはあっても、「実際にはどんな仕組み?」「どういう構造で動いているの?」という部分は、意外と説明するのが難しいものです。
そこでこの記事では、初心者の自分が理解した内容をあらためて整理しながら、
- バッチ処理とは何をするものか
- Job/Step/Tasklet(または Chunk)の構造
- どのように起動するのか
- Spring Batch を使うと何が嬉しいのか
といったポイントを、できるだけ分かりやすくまとめて紹介します。
「バッチ処理って結局どういうもの?」と気になっている方や、新しく業務システムに触れ始めた方の理解の助けになれば嬉しいです。
バッチ処理って?
バッチ処理とは、ユーザーの操作を待たずに「定時実行」「一括データ処理」を行う仕組みのこと。たとえば…
- 毎日決まった時間にデータベースのバックアップを取る
- 月末に売上データをまとめて集計する
などの「定期実行」「一括処理」を自動で行いたい処理をまとめておくことが可能です
バッチ処理の“中身” — Job/Step/Tasklet (または Chunk) の構造
バッチ処理は、一般に以下のような 構造で組み立てられることが多いです。
| 用語 | 役割 |
|---|---|
| Job | バッチ処理全体を表す単位。たとえば「月次売上集計」や「夜間バックアップ」などまとまった仕事を指す。 |
| Step | Job を構成する処理の“ステップ”。読込み → 処理 → 書き込み、あるいは単一処理など、実際の処理単位。1 Job に対して 1 つ以上の Step がある。 |
| Tasklet または Chunk モデル | Step の中で処理を書く方式。 – Chunk モデル: 大量データをまとめて読み込み・処理・書き込み。(例: CSV → DB など) – Tasklet モデル: 単発処理や定型化しづらい処理。たとえばファイル削除、後処理、単一 SQL 実行など |
バッチ処理の起動方法
バッチ処理 (Job) を動かすには、いくつかの方法があり、以下はよく使われるパターンです
- 手動起動:開発者や運用担当者がコマンドラインや IDE から起動 (例: JobLauncher を使う)
- スケジュール実行:定期実行したい場合、OS の cron 相当やスケジューラー、あるいはフレームワーク側のスケジューリング機能で起動
- アプリ起動時の自動実行:たとえば Spring Boot アプリであれば、設定次第でアプリ起動時に自動でバッチジョブを走らせることも可能
ただし、自動実行が常に望ましいとは限らないため、設定で「自動実行しないようにする」ことも一般的。
たとえば Spring Boot + Spring Batch を使う場合、spring.batch.job.enabled = false を指定することで、起動時にバッチが勝手に実行されるのを防ぐことができます
SpringBootアプリケーション起動時にバッチジョブ(Job)が自動的になっているかどうか
application.propertiesというファイル内に
spring.batch.job.enabled = false という設定がある
↓
SpringBootアプリ起動時にバッチジョブを自動的に実行しない!
※【補足】バッチ/バッチモードで動くことを意図するには。
こちらも同じapplication.propertiesというファイル内に
spring.main.web-application-type=noneを設定すればいいだけ。
↓
アプリケーションはWebアプリとして起動しない設定。
なぜ Spring Batch のようなフレームワークを使うのか?
手動でバッチ処理を書くこともできるけど、フレームワークを使うことで以下のような「バッチならでは」の要件をラクに満すことができる
- トランザクション管理(途中でエラーが起きたらロールバック)
- 実行履歴やステータスの管理 (成功・失敗・再実行) — 再起動可能性やログ取得が容易
- 大量データの効率処理 — Chunk 指向で、メモリ消費やパフォーマンスに配慮した設計が可能
- 開発・運用時の可読性/拡張性 — 設定と処理の構造が明確でメンテナンスしやすい
こうした特徴があるから、業務システムの「夜間バッチ」「月次集計」「ETL」「データ移行」などによく使われるよ。
最後に
この記事では、バッチ処理の基本的な仕組み(Job/Step/Tasklet・Chunk)、起動方法、そして Spring Batch のようなフレームワークを使う利点について整理しました。
バッチ処理は “定期的に、確実に、大量のデータを処理する” ための大切な仕組みです。
処理内容やデータ量に合わせて、適切な構成や実行方法を選ぶことで、安全で効率の良いシステム運用につながります。
まだ学び始めたばかりですが、この記事が「バッチ処理の基本を理解するきっかけ」になれば幸いです。