0
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

新人プログラマーが大きなプロジェクトに巻き込まれた話

Posted at

前提

当時はまだプログラマーの地位が低く、とてもソフトウェアでは食っていけない時代
私も仕事がなく周りの人に「こんなことできますよ」と宣伝するぐらいだった

しかたなく市販のセンサーを表示したり計測したりするのを作って売って生活をしていた

予兆

知人からちょっと相談に乗って欲しいぐらいの感覚で呼ばれて行ってみたらソースコードを印刷した紙が大量に用意されていた
「これって理解出来たりする?」
と言われてしまう

人が作ったプログラム、しかも結構大きいものなので普通なら断るだろう
しかし実はこれまでに百数十人のプログラムをその場で解析、修正するということをやっていたのでプログラムがその場で読めてしまった

「こことここに表示関係のバグがありますね」
「あとこの条件文はちょっと間違ってますね」

ぐらいの事を言ってその日は終わった

数日後

今度は会議に出席してくれという
場所と日時だけ伝えられて、準備も不要とのことなので何も持たずに向かった

会場に着いてみると会議室は広く、部屋の隅を囲むような形でテーブルが並んでいてみんなが中央を向く形だった
一番下座?が指定されていたのでそこで座ったが会議を仕切っている人はかなり遠く、発言もマイクかなにかを使っていた
「聞いているだけで良い」
と言われたとおり本当に聞いていただけだった

会議が終わりその会議への出席を依頼してきた人との懇親会が始まる
そして1時間は呑んでいただろうか?
それまでまったく会議の事に触れることがなかったのに急に
「あの仕事うちで担当することになったからよろしく」
との無茶ぶりだった
終電が近かったこともあり中途半端な受け答えをして帰宅したが
次の日にはFAXで仕様書と、どういうものを組むのかが書かれたものが送られて来た

どうやらこっちとしても仕事を受けたことになっていたらしい
FAXで送ることができる量の仕様書であることと
以前紙で確認したプログラムに追加するだけで良いということだったので受けることにした

これが後にどんでもなく大きなプロジェクトだったことに気づかされる

荷物が届く

ある日 荷物が届いた
・開発環境付きの実機一式
・相手側の機械
・2台を結ぶ通信基盤
・仕様書
・実機にダミーでデータを送る機械

これで開発を依頼ということだった

納期

受け取ったのが9月で最終納期は2月末

仕様書の量と納期から余裕と思っていた

トラブルその1

機械同士を接続しても通信できない
それも完全にだめというわけでなく2台ならできて3台からは繋がらない
しかたがなく解析するソフトを作って解析するとデータの先頭が欠落していた
どうやら基板のI/Oが悪さをしているらしい
仕方が無いのでボードを追加しリレーで擬似的に2台ずつの通信に見せかけることになる
そしてもう10月

トラブルその2

仕様書通りにプログラムを組むことができたが3箇所だけ質問しないと進まないところが出てきた
といっても止めることができないのでダミーのデータにしてさらにそのデータを簡単に外部から書き換えるようにした
そしてその質問の答えは年内に返ってこなかった

トラブルその3

ダミーでデータを送る機械が壊れた
時間がなかったせいだが今思うとダミーデータを送るのも作っておくべきだった
データを送ることができないと何にも始まらないので完全停止

想像だけでプログラムを組まざるを得なかった

進捗発表会

会議室ではなく実際に機械が置いてある場所で進捗兼接続テストが開始されるとのこと

行ってみると都会のど真ん中の検知器中のビルの上層階
いわゆるお偉いさんは居なかったが大企業の人とそこから受注したソフト会社の人数人が集まっていた

さっそく接続テストが行われダミーデータを送ると第一階層まではデータが届くことが確認された
このときどれだけ安堵したか想像して欲しい

問題発生

第一階層までデータが届いたがそこから第二階層までデータが送られるはずだった
それは私には関係ない部分ではある
第一階層を解析したメーカーから
「ここに指定先コードが入ってないですね、0だと第二階層に送れませんよ」
そんなことを言われてしまう

ここで全体招集がかかる

なぜ動作しないのか?
このときの立場として自分が一番下だ
有名メーカーとその下請けと思われる技術者から無理難題を言われる

そこで私が言ったこと

理不尽な状態だったがそれは心の奥にしまって置いて現実的な話として説明した
「制作中に仕様書に不明な点があったので去年のうちに質問しましたがまだ返答がないためダミーのデータが入っています」
この言葉に有名メーカーの立場のある人が反応して下請けを問いただすとたしかに質問は来ていたが返していなかったことが明らかになる

なんかしちゃいました?

メーカーから席を外して欲しいと言われたのでその場を離れたがドアの向こうで怒号が聞こえていたので何かあったのだろう

しばらくして戻っていくと ふんぞり返っていた下請けメーカーが萎縮していた

さらに有名メーカーの人から直接
「仕様書が届いていなかったのは申し訳ない」「そこを埋めた状態で再度試験をしたいと思うので協力して欲しい」
なにがおきたのかわからなかったがメーカーの人は信頼されたようだったので
「その部分は気になっていたので簡単に修正出来るようにしています」
「なんなら今、この場ですぐ修正出来ますよ」
というとまた下請けの方にその話を持っていった

遠かったので聞こえなかったが、その下請けはさらに別の所に仕事をさせていたので自分では直せないし直せる目処もたたないらしい

結局もう一度試験を行い問題ないことを確認した
前回は出なかった弁当(かなり豪華な内容)も出たし評価されたのだろう

後日談

ポエムだが一応後日談
ようやく先日、担当から外れることができた
ただあのときの仕様は互換性のため今でも使われているらしい
停止し続けたり誤動作するとちょっとしたニュースになりそうな機器を新人プログラマーが組んだなと思うところはある

似たような境遇になった人のために教訓を書いておきます

教訓

・質問して返事が無いのでプロジェクトが停止していることはもっと上の人に言った方が良い
・借りている機械は壊れると進まないのですぐにその機械のダミーを作った方が良い
・仕様の不明なところは臨機応変に対応出来るようにしておいた方が良い

0
0
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
0
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?