Regional Scrum Gathering Tokyo 2021 Day 2 「ヒット商品を生み出すプロダクトマネジメントブースター」
202/01/07に開催されたRegional Scrum Gathering Tokyo 2021での発表です。
https://confengine.com/regional-scrum-gathering-tokyo-2021/proposal/14883
チーム参加してきました
aslead Agile のチーム「オキザリス」にて参加してきました。
チーム7人で参加して、その場で実況しつつ、記事も作っています。
プロダクトマネジメントが目指す独占
独占とは市場取引を占有する状況
- 独占 一社による市場の占有
- 複占 二社による市場の占有
- 寡占 少数社による市場の占有
独占の度合いは競争によって決まる
儲かるかは価格で決まる
売価を決める大きな要因が競争。
顧客は製品の最安値で選ぶため、独占ができないと価格競争に入ってしまう
顧客を取り合う→価格競争→利益をむしばむ
なるべく独占状態を作ることが大事
差別化 vs コモディティ化
差別化とは今までにない特徴を持つこと。
差別化の逆がコモディティ化。
コモデティ化:特徴のないありふれた製品になること。
例えば、コンビニスイーツ。ケーキ屋さんのちょっとしたケーキはコンビニと変わらなくなってきている。
独占を遮る障害とは
無知・無能・無関心
市場シェア・製品不良率・生産性が1ポイント上下して、売上にどう反映されるのかは分からない
今日の利益は誰もわからない問題
私たちの仕事が利益にどう影響を与えるかは、誰にも分らない
自分の仕事だけ見ていてもわからない
不確実性
直接コントロールできないが、目標達成に重大な影響を与える要素のこと
大地震はいつくるかわからない。でも、天災は大きな影響を与える。
顧客の考えは操作できないが、売り上げに影響を与える。
コロナウイルスとインフルエンザ
どれくらい不確実?コロナやインフルの感染は??
インフルエンザの疾患数は激減している。あるていど制御できることがわかった。
何をどのように捉えるか、によって不確実性も変わってくる。
私たちが感じている不確実な事柄はどのぐらい不確実か?
不確実でないものまで不確実と思い込んでいるのでは?
十分な知識を持つ専門家でも、わからないのが不確実性。
専門家がちょっと調べてわかるものは、不確実ではないのでは?
不確実なものに押し込んでいないか?
分業の功罪
分業は専門家の大前提。専門家することで極めて高い生産性を生み出す働き方。製品を作ってから顧客に使ってもらうまで、一部の部分しか私たちは担わない。
一人ですべてを担うよりも圧倒的な大きな仕事を成し遂げるのが分業。
一人で畑を耕す農家ですら、流通を業者に依存している。
分業の負の側面
- 製品が必要とされている理由を知らない
- 他にどんな仕事があるのかを知らない
分業によって全体から孤立しがち
ただ、必ずしも分業=悪ではない
割り当てられた仕事以外に関して無知無能無関心が当たり前になってしまっているのではないか
自分の仕事を100としたときに、隣の人の仕事をどれくらい理解しているか
せいぜい1,2,3くらいなのではないだろうか。
分業化が進むほど、プロダクト全体から孤立する
貢献から疎外される
その結果仕事をつまらないものにしてしまっているのではないだろうか
ただ、分業なしには成し遂げられないジレンマがある
仮説検証
いきあたりばったり仮説検証
多属性効用分析
新しくノートPCを買うときに何を考えるか?
いろいろな要素がある。
高い買い物をするとき、いろいろな属性に重み付けをして、数百の選択肢の中からも最も条件に適するものを選んでいる。
相互作用システム
価格を安くすると売りやすくなる。ただ、利益までの販売数が増える
価格を高くすると、販売数はへるけれど、営業の難易度が上がる。
予算が少ない顧客には安く、多い顧客には高く売る
価格の変化が、必要販売数や営業難易度、管理コストという異なった属性に影響を与えてしまう。
すぐ結果が返ってくるのではなく、フィードバックが遅かったり分かりづらい。
ビジネスは多属性相互作用システム。
最適化は難しい
複雑な環境の中で、困難な意思決定をしようとすると、認知能力の限界によって「えいや」で決めてしまう
アジャイルコーチがめんどくさいのは限定合理性ギリギリをねらってくるから。
認知の限界を超えていると行き詰まる
やれることをやりきったけど何をすればいいのか分からないとき、行き詰まりになる
上司から無能という評価も恐ろしい。
多属性効用分析、相互作用、最適化の基準、限定合理性のどれに関しても行き詰まりを起こす。
仮説検証はむちゃくちゃ難しい
フレームワークは考えることを絞る
意思決定を助けるためのフレームワークも、適切な実施は難しい。
世の中にスクラム、Build-Measure-Learnなどたくさんのフレームワークはある。
- いつどれを使えば良いのか
- 使ったとき、どのように効果を評価すれば良いのか
すごく優秀な人にとっては、ショートカットになるが、仕事に慣れていなかったり経験がなかったり、という人にとってはフレームワークで問題が解けるわけではない
人は知らないやり方に不安を抱く
知識のマウンティングをされるのでは、誘導されるのでは、と怖くなってしまう
フレームワークはその場にいれば「やらされる」が、その人がいなくなるとやらなくなってしまう。スクラムも一緒では?
勝手に活用されるフレームワークの条件
- 簡単に使い方がイメージできる
- 自分が使いこなすイメージができる
- なじみが深い
フレームワークがよくても今度はコミュニケーションが難しい
言語はコミュニケーション性能が低い
言語化が得意な人と苦手な人
話す人、聞く人が偏る。良く発信する人は参加者の1割。
Discordもそう
話の総量を増やすのではなく、会話に参加する人を増やすのは至難
経験、知識、年齢、職位の差によって一方的な度合いが変わる
一方的な度合いが強いほど、一部の人たちの情報しか組織に流通しなくなる
結果、言語化が得意な人たちのみの情報だけに偏ってしまう
言葉だけに依存しない方法を探求する
コミュニケーションの偏りが、無知・無能・無関心を固定化する
「顧客をどれくらい理解しているのか」というテーマに対して、理解を言葉で表現するのは難しい。
ただ、数値で表現するのは言葉よりも楽
負の創発
変わることに対して…
- 変わることに巧みになる一方で
- 変わらないことにも巧みになる
組織的に出てきてしまうのが負の創発
仕事の3つの制約
- 自然界の制約
- 人間世界の法の制約
- 市場からの法と境界制御
これらに無自覚に仕事をしていないか?
一人でうまくいかなかったときの問題解決方法
同期化と制御化
ある要素を他の人と同じ状態にしようとすること
## 制御化
ある要素を自在に操れる状態になろうとすること
同期化による問題解決とは、合意形成
お互いを知れば、対立や軋轢がなくなり、問題が解決されるという前提の問題解決の方法。代表は合意形成、ねm根回し。
同期化と制御化による問題解決
問題解決をしない問題解決
- 見過ごし
- やり過ごし
問題がいたるところにあるとき、すべてを解決できないから、問題がなくなることを期待する。
道端にゴミが落ちていても、罪悪感を持っていてもスルーする。
合意形成ややりすごしで解決しがち。
これらは制御化しない方法。
制御化する方法で解決しないといけないのでは?
できないことができるようになる変化を積み重ねることが無知・無能・無関心から、しる・できる・好奇心へと変わる
私がやってきたこと
仕事のアウトカムを左右するテーマを問う
- お客様をどれだけ理解しているか?
- 利益に影響するのであれば、重要なテーマになる
- 深く理解していると言えたら、起こる現象は何か?
- 利益に影響するのであれば、重要なテーマになる
- お客様よりも顧客の悩みを理解しているか?
- 「えっ、なんでそんなところまで理解しているんですか」
- 「そんな方法があったなんて思ってもみませんでした」
顧客の悩みを自分達よりも理解していて、やり方に精通していたら、仕事を頼もうと思う
ビジネスの世界地図でみんなで取り組む
同期化グラフを作る
- プロダクトの点を打つ
- 競合の点を打つ
- 競合を上回るアイデアを考える
顧客よりも顧客の悩みに詳しい×顧客よりも顧客の解決策に詳しいの4象限の右上に向かう
右上に向かえるものは真の問題解決
左上、右下に行くのは偽物の問題解決。
トレードオフによって解消しようとすると、こうなる。
営業のグラフをよくしようとすると、開発のグラフが悪くなる、といったことが起こる。
様々な部門を連携させ、重要なテーマについて常に良い数字に持っていくことが、プロダクトマネジメントかつ独占を築く。
認知の限界を超えてスケールしていく
×関係者同士で殴り合う
○関係者同士で助け合おう
感想
- 利益を求めるビジネスにおいて、価格競争は本末転倒であるため、他社とは違ったアイディアで勝負することが大切だと思った。
- 新規ビジネスを作る側として、考えなきゃいけないことが多くて、全然足りていないなと、頭をガンと殴られた気分。ちゃんとPOやらなきゃ…
- 分業などわかりみが深い話だった
- トレードオンの解決策を考えることを諦めてはいけないと感じた
- あまり今までに学んだことがない話が多く、プロダクトを作るうえで勉強になりました