Regional Scrum Gathering Tokyo 2021 Day 1 「Rethink Scrum from Japanese cultural perspective」
2021/01/06に開催されたRegional Scrum Gathering Tokyo 2021での発表です。
https://confengine.com/regional-scrum-gathering-tokyo-2021/proposal/14910/rethink-scrum-from-a-japanese-cultural-perspective
チーム参加してきました
aslead Agile のチーム「オキザリス」にて参加してきました。
チーム7人で参加して、その場で実況しつつ、記事も作っています。
この記事では、お話をきいたうえで筆者が感じたことをまとめていきたいと思います。
どんなセッション?
スクラムについて、日本の「文化的側面」から考え直してみよう、というセッションでした。
- スクラムって、日本からも海外からも同じように見えてるものなの?
- どうしてスクラムって難しいの?
- スクラムやるときってどんなリーダーが必要なの?
という3つのポイントについてお話されていました。
自分の感想を交えながら、順番にどんなお話だったかをご紹介します。
Q. スクラムって、日本からも他の国からも同じように見えてるものなの?
A. いいえ、見えてません。
「場の文化」から見るスクラム、「個の文化」から見るスクラムという見え方の違いがあります。
スクラムの起源は「場の文化」にあるものの、「個の文化」のために標準化されているからです。
ここで日本と他の国の文化的側面の違いについてお話されてました。
「場の文化」と「個の文化」のちがい
- 「場の文化」
- 共感でつながっている。
- 言葉そのものを解釈するとき、その裏にある意図などもふまえて解釈する。
- 「個の文化」
- ルールでつながっている。
- 言葉そのものを解釈するとき、そのまま言葉通り解釈する。
場の文化を好む人が「なんでこう言ったのに(必要だと察してあれもこれも)やらないのか」という意識を持つ一方で、個の文化を持つ人が「いわれたことやってるのになんで不満そうなんだ?」と感じてしまう、という例を聞くと「あ~確かに...」と納得がいきますよね。
Q. どうしてスクラムって難しいの?
A. 場の文化のもとで起きる組織的窒息がスクラムの妨げになっちゃうから
「組織的窒息」とは?
空気の支配、年功序列、学習棄却の失敗の結果として生まれてしまう組織の状態。
- 空気の支配:空気が場全体を支配した結果、だれも責任をとれないことが意思決定されてしまう。場と空気の相互作用で、同調圧力や過程重視思考が生まれる状態。
- 年功序列:能力ベースの評価基準を取り入れられないから、スキルが高い人の才能を活かせなかったり、ポジションを守ろうとしてしまう状態。
- 学習棄却の失敗:一度成功体験をもつと、その手法にとらわれすぎてしまう状態。例えばウォーターフォールで一度成功体験を積んでいるので、それがうまくいかなくなったときに棄却して新しい方法を取り入れるのが難しくなってしまう。
この結果、問題が起きても口に出せない、相手の年次によって態度を変える、前例のないことに拒否反応が出る、といった状態になってしまいます。
楽天ではこういった側面を打破するべく「コミュニケーションの英語化」を取り入れたとのこと。
スクラムやるときってどんなリーダーが必要なの?
A. 技術と経験+共感力(場の文化)を持ち合わせている人が理想
とはいえ、全てを兼ね備えている人材はめったにいなく、、
- 進め方はスクラムマスターが
- 内容はプロダクトオーナーが
それぞれ管理するという進め方があるね、というお話でした
トヨタの例
ここでトヨタの製品開発チームにおけるチーフエンジニアの例が紹介されていました。
- チーフエンジニアとは?コンセプトの創造、デザイン、設計、品質管理など、あらゆるプロセスの責任者
- チーフエンジニアは製品開発プロセスに携わる立場。高いスキルがあれば誰でもなれるものではない
まとめ
- スクラムの起源と場の文化、組織的窒息からの脱出、そして場の文化とスクラムのリーダーシップについてのお話
- 日本は場の文化を好むものの、どんどん個の文化へと変化しているとき
- 場の文化の良さを活かしながら、両方を取り入れられていけるとよい
感想
今回は英語でのセッションだったのでドキドキだったんですが、
とても聞き取りやすい・わかりやすいお話で楽しく聞くことができました。
「個」と「場」の文化の違いを的確に言語化されていて、例を聞きながらより理解を深められたなと思います。
そしてなにより、楽天の英語化のお話がとても印象的でした。
英語でお仕事されている話は知っていたのですが、その裏に「組織的窒息からの脱却」という目的があったんだなと。。
とても勉強になるプレゼンでした。