1. はじめに
UiPath DevConで発表するデモテーマは「UiPath for Coding Agents」です。
開発編では、UiPath StudioとClaude Codeを使い、CSVからWebフォームへ登録するRPAを作りました。
この記事は運用編です。
RPAを作ったあと、日常運用でエラーが発生した場合に、Claude CodeとUiPath CLIを使って次の流れを確認します。
- 実行結果を確認する
- ログからエラー原因を調べる
- 修正方針を決める
- 原因に応じて修正する
- 再テストする
- パッケージ化してデプロイする
この記事の目的は、UiPath for Coding Agentsとして、Coding Agentが運用中の調査、修正、再デプロイをどう支援できるかを見せることです。
DevCon本番では時間が限られます。細かいコマンドの意味や、エラー分析の流れはこの記事に残します。
2. 今回扱う運用シナリオ
今回の運用シナリオは、候補者登録RPAでエラーが発生したケースです。
想定する流れは次の通りです。
- RPAが通常実行され、Faultedになる
- 実行結果としてエラーが確認される
- CLIでログと実行結果を確認する
- Claude Codeに原因分析を依頼する
-
Main.xamlと入力CSVを確認する - 原因に応じて修正する
-
validateとrunで再確認する - パッケージ化してデプロイする
ここで重要なのは、エラー画面を見て終わりにしないことです。
運用では、次の3つをセットで確認します。
- 何が失敗したか
- なぜ失敗したか
- 修正後に本当に直ったか
この流れを、CLIとClaude Codeで進めます。
3. Windows実行環境
運用編では、開発編で作成したRPAプロジェクトを使います。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 実行環境 | Windows |
| RPA開発環境 | UiPath Studio |
| Robot実行環境 | UiPath Robot |
| ブラウザ | Google Chrome |
| RPAプロジェクト | 候補者登録RPA |
| ワークフロー | Main.xaml |
| 入力データ | uibank_register_account.csv |
| 実行確認 | UiPath CLI |
| エラー分析 | Claude Code |
| 主に使うSKILL |
uipath-troubleshoot、uipath-rpa、uipath-solution
|
この記事では、Windows上でUiPath Studio、UiPath Robot、Chrome、UiPath CLIを使います。
理由は、今回のRPAがChromeのUI Automationを含むためです。
運用作業では、実行結果、ログ、検証、デプロイを同じ流れで扱いたいので、コマンドラインを中心に進めます。
4. 運用で使うUiPath CLIとSKILL
運用編で主に使うCLIは次の通りです。
| 目的 | コマンド例 |
|---|---|
| ワークフロー検証 | uip rpa validate --file-path Main.xaml --min-severity error |
| ローカル実行 | uip rpa run --file-path Main.xaml --input-arguments "in_CandidateCsvPath=..\\uibank_register_account.csv" |
| パッケージ作成 | uip rpa pack |
| デプロイ |
uip rpa pack、uip or packages upload、必要に応じてプロセスのバージョン更新 |
実際のコマンドは、利用しているUiPath CLIのバージョンやプロジェクト構成によって変わる可能性があります。
そのため、実行前に uip --help や各サブコマンドのヘルプで確認します。
Claude Code側では、次のSKILLが関わります。
| SKILL | 役割 |
|---|---|
uipath-troubleshoot |
エラー原因の調査 |
uipath-rpa |
Main.xaml の確認、修正、検証 |
uipath-solution |
パッケージ化、公開、デプロイ |
uipath-platform |
Orchestrator、ジョブ、フォルダ、実行状態の確認 |
これらを全部暗記する必要はありません。
Claude Codeに「このエラーを調査して」「修正後に検証して」「デプロイ手順を確認して」と自然言語で依頼し、裏側でどのSKILLやCLIが使われるかを確認します。
5. SKILL(チャット)版の使い方
ここからは、rpa-ops SKILLを使って、チャットで運用対応を進める流れです。
エラー確認から原因分析、修正、テスト、デプロイまでを1つの作業として進めます。
5.1 rpa-ops SKILLの構成
rpa-ops SKILL自体は、新しい仕組みを持っているわけではありません。
内部では、UiPath CLIとUiPath SKILL群を呼び出す形で動いています。
| 部分 | 役割 |
|---|---|
| rpa-ops SKILL | 調査から修正、デプロイまでの進め方(手順)を定義する |
| UiPath SKILL群 |
uipath-troubleshoot、uipath-rpa、uipath-solution、uipath-platform など、各作業の判断ロジックを担当する |
UiPath CLI(uip) |
Orchestratorのジョブ・ログ取得、ワークフロー検証・実行、パッケージ化・デプロイを実行する |
Claude Codeはrpa-ops SKILLの手順に沿って必要なUiPath SKILLを選び、UiPath SKILLがCLIコマンドを組み立てて実行します。
つまり、rpa-ops SKILLが「進め方」を、UiPath SKILLとCLIが「実際の操作」を担当する構成です。
5.2 エラーが発生した状況を確認する
今回扱うのは、入力CSVの列名変更によるエラーです。
ある日、担当者がCSVテンプレートの見出しを修正し、候補者名 列が 氏名 に変わりました。
候補者ID,氏名,メールアドレス,応募職位,現在の職種,経験年数,スキル,職務要約,資格,業界経験,求人タイトル
ワークフローは 候補者名 列を読む前提のため、列名が変わったことで該当列を取得できず失敗します。
5.3 Claude Codeで実行結果とログを確認する
まず、Claude Codeに次のように依頼します。
直近三日間のRPAエラーを一覧表示して
しばらく実行すると、エラー一覧が表示されます。
Claude Codeからは、どのジョブのエラーを分析するかを聞かれます。
ここでは一覧を見て、5.2で発生した候補者登録RPAのエラーを選びます。
5.4 Claude Codeにエラー分析を依頼する
次に、Claude Codeに原因分析を依頼します。
依頼文はシンプルでよいです。
一番最近発生したエラーを分析してください。
分析結果のサマリーは次の通りです。
CSVから読み込んだDataTableに列「氏名」が存在せず、TypeIntoがSystem.ArgumentExceptionでフォルト。Try/Catchでも例外を吸収できず、成功・失敗件数ともに0件のまま終了しています。
原因の仮説も、確信度つきで複数提示されます。
| ID | 仮説 | 確信度 |
|---|---|---|
| H-1 | CSVヘッダー「氏名」とワークフローの参照列名が不一致 | high |
| H-2 | CSVのUTF-8 BOMで先頭列名に不可視文字が付加 | medium |
| H-3 | Read CSVの「ColumnHeadersを含む」設定が無効 | medium |
| H-4 | Try/Catchの捕捉条件が例外型を含まない | medium |
今回はH-1が最有力(high)で、直近のCSV変更コミットとの関連が疑われるという指摘です。
この時点では、まだ修正しません。Claude Codeは各仮説の採用・却下を人間に確認してから次に進みます。
5.5 修正方針を決める
今回は、ワークフロー側を変更する方針は採りません。
原因はCSVヘッダーの変更なので、CSV側のヘッダーを元の 候補者名 に戻す方針とします。
H-1採用、CSVの候補者名 ← 氏名 から戻す
修正方針は次の通りです。
- CSVのヘッダー
氏名を候補者名に戻す -
Main.xaml側は変更しない - 修正後のCSVで動作確認する
Main.xaml を変更しないため、修正範囲は小さく、影響も最小限です。
そのため、修正後は再テストし、必要に応じて再デプロイします。
5.6 修正後にテストする
修正が終わると、Claude Codeはrpa-ops SKILLの手順に沿って、指示しなくても続きを案内してくれます。
CSVヘッダーを更新しました。CSVヘッダーが Main.xaml の列参照と一致し、
「候補者名/氏名」の不一致も解消されました。
静的テストとデプロイも実行しますか?
修正内容の要約と、次のアクションの提案までがセットで返ってくるため、人間はテストコマンドを細かく指定する必要はありません。
内容を確認し、「はい」のように短く答えれば、Claude Codeが検証を進めます。
5.7 パッケージ化とデプロイ
テストが完了したら、Claude Codeにパッケージ化とデプロイを依頼します。
テストが通ったので、パッケージ化とデプロイを進めてください。
実行前に、対象プロセス、フォルダ、バージョンを確認してください。
Claude Codeがプロジェクト構成や環境に合わせて必要な操作を判断するため、細かいコマンドを指定する必要はありません。
どこまで自動化するかは環境や運用ルールによって変わるため、適用・デプロイの前に確認が来たら、対象が正しいかを見て承認します。
今回、最終的に返ってきたデプロイ完了の案内は次の内容でした。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| プロセス | HR登録 |
| バージョン | 1.1.0 → 1.1.1 |
| 修正内容 | CSVヘッダー「氏名」→「候補者名」に統一(Main.xamlの列参照と一致) |
実行内容は次の4つです。
- 静的テスト: Success(Critical/Error 0件)
- pack: 成功
- アップロード: 成功
- プロセスバージョン更新: 1.1.1
原因分析から修正、テスト、デプロイまでの一連の流れが、ここで一つの結果としてまとまります。
この記事で覚えてほしいのは、コマンド名ではなく、運用中の修正を次の順番で扱うことです。
- 原因分析
- 修正方針の確認
- 修正
- 検証
- 実行テスト
- デプロイ
この順番にすると、AIに修正を任せる場合でも、人間が確認すべきポイントを残せます。
6. Frontend(Web UI)版の使い方
rpa-opsには、チャットで操作するSKILL版だけでなく、画面から操作するFrontend版もあります。
Frontend版自体も、Claude Codeを使って作られています。SKILL版でRPAを直すのと同じように、Claude Codeに依頼すれば、画面を持つWeb UIも作れます。
どちらも目的は同じです。
RPAのエラーを確認し、原因を分析し、修正案を確認し、必要に応じて適用、テスト、デプロイまで進めます。
6.1 なぜFrontend版も必要なのか
SKILL版はチャットで進めるため、Claude Codeに慣れている人には便利です。
一方、運用担当者が全員Claude Codeに慣れているとは限りません。
エラー一覧や分析結果を画面で確認したい、非エンジニアにも見せたいといった場面では、Frontend版の方が向いています。
つまり、SKILL版は「チャットで進める入口」、Frontend版は「画面で確認しながら進める入口」です。
6.2 Frontend版の構成
Frontend版は、画面上部と作業エリアで構成されています。
画面上部では、Orchestratorへの接続状態、対象のテナント・フォルダ、ログインユーザーを確認できます。
作業エリアは、次の5ステップのタブで進みます。
- エラー一覧
- 原因分析
- 修正案
- 適用・テスト
- デプロイ
「エラー一覧」タブでは、ステータス、分類、プロセス名、フォルダ、発生日時、実行時間、エラー概要が一覧表示され、気になるエラーをそのまま「分析」に進められます。
SKILL版とFrontend版で扱う情報は同じで、チャットで進めるか、画面のタブで進めるかが違うだけです。
6.3 SKILL版とFrontend版の使い分け
使い分けは、次のように考えます。
| 使い方 | 向いている場面 |
|---|---|
| SKILL版 | Claude Code上で、調査から修正まで一気に進めたい |
| Frontend版 | チームで状態を確認しながら、安全に運用したい |
開発者やAutomation CoEの担当者は、SKILL版の方が速いです。
現場担当者やレビュー担当者を含める場合は、Frontend版の方が分かりやすいです。
同じrpa-opsでも、使う人に合わせて入口を変えられます。
7. UiPath SKILLとCLIで広がる運用対象
今回はRPAのエラー対応を扱っていますが、UiPath for Coding Agentsで扱える運用対象はRPAだけではありません。
ここでは、Claude Codeに直接聞く形で、UiPathの運用対象を整理します。
7.1 Claude Codeに聞く
次のように質問します。
UiPath for Coding Agentsでは、どのようなUiPath運用ができますか。
RPAのFaulted対応だけではなく、Orchestrator、Solution、Test Manager、Action Center、Admin、Governanceなども含めて、
運用対象、使うSKILL、使うCLIを表で整理してください。
この質問をすると、Claude Codeが運用作業の対象を整理してくれます。
この記事では、ここで出てきた回答をもとに、RPA以外の運用対象も確認します。
7.2 回答で確認したい観点
たとえば、次のような整理になります。
CLI名や利用できるサブコマンドは環境やバージョンで変わる可能性があるため、利用前に uip --help や各サブコマンドのヘルプで確認します。
| 運用対象 | 使うSKILLの例 | 使うCLIの例 |
|---|---|---|
| RPAのエラー分析 | uipath-troubleshoot |
uip or、uip rpa
|
| RPAワークフロー修正・再検証 | uipath-rpa |
uip rpa |
| Orchestratorのジョブ、ログ、プロセス確認 | uipath-platform |
uip or |
| パッケージ、フォルダ、Queue、Asset管理 | uipath-platform |
uip or |
| Solutionのパッケージ化、公開、デプロイ | uipath-solution |
uip solution |
| テスト実行結果、テストレポート確認 | uipath-test |
uip tm |
| Action Centerのタスク確認、割り当て | uipath-tasks |
uip tasks |
| ユーザー、ロール、監査ログ確認 | uipath-admin |
uip admin |
| ガバナンスポリシー確認、適用 | uipath-governance |
uip gov |
| 製品フィードバック、バグ報告 | uipath-feedback |
uip feedback |
SKILLは、Coding Agentに「どの観点で調査するか」を教えるものです。
CLIは、UiPath CloudやOrchestrator上の実データを確認し、必要な運用操作を行うために使います。
詳細はこちらで確認してください。
7.3 今回のRPA運用とのつながり
今回扱っている候補者登録RPAのFaulted対応は、この一覧の中の1つです。
今回の流れでは、主に uipath-troubleshoot、uipath-rpa、uipath-platform、uipath-solution が関わります。
UiPath for Coding Agentsでは、ジョブ確認、ログ分析、権限確認、テスト、デプロイ、ガバナンスまで、運用全体を同じ会話の流れで扱えます。
8. 完成したデモの録画
今回の一連の操作を、2本の録画として貼ります。
1本目は、SKILL(チャット)版を使った録画です。
エラー確認から原因分析、修正、テスト、デプロイまで、5章で説明した一連の流れを確認できます。
2本目は、Frontend(Web UI画面)版を使った録画です。
同じ運用対応を、6章で説明したRPA運用Consoleの画面から進める流れを確認できます。
9. まとめ
この記事では、UiPath for Coding Agentsを使って、RPA運用中のエラー分析、修正、テスト、デプロイまでの流れを整理しました。
大事なのは、rpa-ops SKILLやUiPath SKILLに運用の進め方を持たせ、Claude Codeに自然言語で依頼し、必要な確認だけ人間が判断することです。コマンドの暗記は必要ありません。
この流れにすると、日常運用で発生するFaulted対応を、調査だけで終わらせず、修正と再デプロイまでつなげやすくなります。








