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PoCを作ろう~eInk ESP-32 電子ペーパーモバイルデバイスを作る2

Last updated at Posted at 2020-05-15

PoCを作ろう~eInk ESP-32 電子ペーパーモバイルデバイスを作る1の続きです。
https://qiita.com/usashirou/items/75607604c338af9b6ec0

ポンチ絵を形にしていきましょう

基板設計

ここからは基板設計です。
仕様は決まっても基板にならなければ無意味です。
・実装出来るか?
・電波は飛ぶか?
・部品は入手できるか?
などなどです。

私が初めて設計したものは、アンテナの裏に、スピーカーを置いた為に電波が一切飛びませんでした。
基板設計は経験がものをいう所も多く、やってみないと分からない事が多いのが現実です、

基板CADは、KiCadを使う人が増えているようです
日本のQuadceptをぼくは愛用しています。

主要基板設計ツール

・KiCad
https://kicad-pcb.org/
・Quadcept
https://www.quadcept.com/ja/
・EAGLE
https://www.autodesk.co.jp/products/eagle/overview
・DesignSpark PCB
https://www.rs-online.com/designspark/pcb-software-jp
・CADLUS
https://www.cadlus.com/

などありますのでご自身にあうものを選択してみてください。

回路図

基板設計は最初に、回路図を作ることからはじまります。
この際に、いきなり、新規性のある設計をすることはお勧めしません。
基本は、メーカーが出しているリファレンスや、既存製品を良く調べ、真似る事をお勧めします。
大きな声で言うといけないのかもしれませんが、コピーです。
失敗している人は、奇をてらい独自の加工を加えて失敗しています。
まずは、成功事例を学ぶべきです。

今回のESP-32は私はここでやらかしをしました。
まず、ESP-32は800mAh以上の電流が必要ですがMic5219という500mAhまでしか対応しないレギュレータを使用している事例があり、これを参考にしましたが、全く動きません。
当然ですよね。

次に、単純なミスですが、EInkのコネクタの向きを間違えました。
これらのミスを気づくためにも、リファレンスとなる製品を探しまずは、素直に真似る事をお勧めします。

ただし、部品選定は要注意で、手に入れられる部品を選ぶようにしてください。

アートワーク

回路図が出来上がれば、次は、基板設計です。
すでに、CADデータとして、大まかな寸法が出ていますから、中に入るように基板を設計します。

電流が多く流れる配線は、太くします。
1A=1mmです
(実際には守れません)
私は、基本の配線幅を0.2㎜程度にし、電流が多く流れる配線は0.3~0.5㎜で設計しています。

オートルータ(自動配線)が使えるCADもあり自動配線でもある程度、設計が出来るようなので、試してみても良いと思います
(私が普段設計している基板は、サイズが小さく使えませんでした)

image.png

両面実装

私は、小さな基板ばかり設計する為に両面実装の基板ばかり作ってきました。
しかし、プリメイドaiの基板を量産する際に、両面実装で非常に苦労したために、皆さんには、出来るだけ片面実装で設計することをお勧めします。

3D CAD化

次は、これを基に3次元のCADにします。
CADは難しいと思われていますし、正直簡単ではありません
しかし、Fusion360など無料のCADツールがありますので、めげずに頑張ってみてはいかがでしょうか?

主要ほぼ無料3DCad

・Fusion360
https://www.autodesk.co.jp/products/fusion-360/overview
・DesignSpark Mechanical
https://www.rs-online.com/designspark/mechanical-software-jp

ここで、フィッティングとして、基板の位置や、ケースの設計を進めます。
IMG_7678.jpg

Epaper-1.jpg
Epaper-2.jpg
Epaper-3.jpg

試作

基板設計が終わったら、基板を発注しましょう。

主要安基板製造会社(中国系)

・FusionPCB
https://www.fusionpcb.jp/
・Elecrow
https://www.elecrow.com/
・PCBWAY(PCBGoGo)
https://www.pcbway.com/
・JLCPCB
https://jlcpcb.com/
など安く基板を作ってくれる会社があります。

5枚で2ドル~です。
ただし、送料が20ドル程度かかります。
なお、基板設計の際に、DIP(スルーホール*穴に部品の足を入れるもの)ではなくSMT(表面実装)の場合は、ステンシルを製作することをお勧めします
7ドル程度です。

発注後3~5日で完成し、10日後には日本の届くケースが多いです

部品調達

日本
・秋月電子(DigiKeyやMouser、Aliexpressより安い場合もある)
http://akizukidenshi.com/catalog/
・千石電商(特殊なコネクタ類はおススメ)
https://www.sengoku.co.jp/

ネジ
・Wilco
https://wilco.jp/products/index_kei.html

・RSコンポーネンツ
https://jp.rs-online.com/web/

・Chip1Stop(実在庫が海外のものが多い)
https://www.chip1stop.com/

海外
・DigiKey
https://www.digikey.jp/
・Mouser
https://www.mouser.jp/?gclid=Cj0KCQjw2PP1BRCiARIsAEqv-pTFpvyhZTYskQ-gWNg2PIIq5Kp7eROJcbUbKzl6R6s-Qkg0SDnUWhwaAkhkEALw_wcB

・Aliexpress(入手までに2週間から数か月かかるケースも)
https://ja.aliexpress.com/
・LCSC
https://lcsc.com/
・TAOBAO(数量が多いと輸送拒否されるケースが多い)
https://world.taobao.com/

実装

いくつかの基板屋さんは、実装まで行ってくれるようです。
JLCPCBはかなり安く、LCSCで扱っている部品で対応しているならばお勧めです。
(片面実装のみなど制約がありますが、オンラインで設計する機能もあるようです)

自分で実装する場合は、ホットエアーや、リフロー機を用意して行うことになります。
ホットエアーは、amazonで5~6千円で購入可能です。
リフロー機は、オーブンや、T962(2万円程度)などになります。


(表面実装部品をはんだゴテで実装するのは、かなり難しいと思います)
これについては、Youtubeなどほかの方のものを参考にしてください

筐体設計

ここまで来たら、あとは、筐体の設計です。
3DCADでデータを作ってあるので、3Dプリンター等で出力できる形にするとともに、基板やボタンのフィッティングを行います。
筐体の設計が完了したら製造依頼をするか、3Dプリンターで出力することとなります。

出力会社一例

・DMM
https://make.dmm.com/print/
・Elecrow
https://www.elecrow.com/3d-printing-service.html
・Shapeways
https://www.shapeways.com/

3Dプリンターの注意事項

3Dプリンターの精度

使用している3Dプリンターの精度にもよりますが、下記の図のように変形してしまうこともあります。
これは、ベッドの吸着がうまくいっていない場合(ホットベッドの場合は、うまくいく場合が多い)
積層条件がうまくいかず、広がってしまっているケースなどがあります。
この場合、肉厚1㎜程度で設計すると、組み立てる事すらできません(精度が低い場合肉厚2㎜は必要だと思います)

ひしゃげて組めないです
DSC_0452 (2).JPG

クリアランスを樹脂と同じように、0.2mm以下に設定しても干渉してはまらないことが発生します。
お使いのプリンターに合わせて調整をしてください。
IMG_7726(1).jpg

インサートナット

3Dプリンターで加工した部品はタッピングネジでネジ穴を開けます。
2㎜のネジの場合、1㎜程度の穴をあけて、拡張しますが
何回も使用していると、だんだんとネジが効かなくなります。
このために、インサートナットを使用することをお勧めします。

インサートナット自身は、樹脂パーツのネジなどで使用されており
3Dプリンターで出力した部品にはんだごてで挿入することが可能です。

試作後

私だけかもしれませんが、一度の試作で完成したことがほぼありません。
今回のドライバーボードについては、先の通り、電流不足、コネクタの向きの問題が起きました。
さらに、上記のケースの問題等が発生し、大きく作り直すこととなりました。

それが今回の品となります。
IMG_1522.jpg

実際には、この段階でもいくつかの問題がありました。
UARTのTX⇔RXを間違えた
ESP-32のプルアップを入れ忘れた
これを修正したファイルをアップしています。
https://github.com/taisirou/Epaper-ESP-32-20200515

実際に、動くものを作るには、何回も作り直す必要があり、一筋縄ではいきません。
しかし、作るためだけにかかった費用は、そう多くありません。

基板製造費用:5ドル+ステンシル7ドル+送料20ドル=4000円程度
3Dプリンター材料:数百円
部品代4000円程度(ただし、EInkは使いまわせるので実質1000円位)
です。
1回試作するのに1万円はかかっていませんね
3Dの出力サービスを使っても1万円以下です。

逆に、動かないで悩んだ時間、テストするために作ったESP ProgrammerやWaveShareのESP-32ボードなどなどの方がお金をかけていたりします。
https://qiita.com/usashirou/items/52974a5270b882d9b97f

これでPoCが完成しました。
後はプログラムを書き込めば完成です。

ハードウェアとプログラムを同じタイミングで作る事をお勧めします。
なぜならば、ハードウェアで使いたいピンがソフトウェアで対応できるかは作ってみないとわかりません。
ハードウェアを先に作った結果、使えないというケースも多々発生しますし、配線しにくいからと変更したいときにもソフトウェアを作りながらであれば対応可能だからです。

ものづくりが好きだからできることかもしれませんが、
モノづくりをする環境は整っていますので興味がある方はぜひやってみてはいかがでしょうか?

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