私は、見てしまったのかもしれない。
アジャイル開発が生まれて約20年。私たちは「いかに速く作るか(Velocity)」という教義を信じ、疑いもしませんでした。
それが正解だと、世界中の誰もが言っていたからです。
しかし、生成AIという「異物」と出会って、私の世界は揺らぎました。
AIが一瞬で1,000行のコードを生成したとき、私は感動と同時に、ある恐ろしい「仮説」に行き着いてしまったのです。
「私たちが『資産』だと信じて積み上げてきたコードは、実はただの『負債』だったのではないか?」
もしそうなら、私たちは20年間、間違った祭壇に祈りを捧げていたことになります。
この仮説は、これまでの私のキャリアを否定するものです。けれど、一度気づいてしまった真理からは、もう目を逸らせません。
構築者(Builder)から、彫刻家(Sculptor)へ
「コードは資産である」。この常識は、もはや天動説です。
AI時代において、世界は回りました。
- Code is Liability: コードは負債である。
- Disposable by Default: 全ては使い捨てである。
レンガを積み上げる「構築」に価値はありません。
AIが生み出す混沌とした原石から、真理(機能)だけを削り出す 「彫刻」 こそが、これからのエンジニアの仕事です。
私はこの新しい理(ことわり)を、SCRALPT(スクラプト)宣言 として記しました。
課題の移り変わり
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これまでの常識(アジャイル)
- 変化に対応して「積み上げる」ことが正義。
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これからの真理(SCRALPT)
- AIの暴走するエネルギーを「削ぎ落とし、代謝させる」ことが正義。
「書いては捨て、捨てては再生成する」。
この 「新陳代謝の運動」 こそが、AI時代の開発における地動説です。
実践ガイドを公開しました(Zenn Book)
「その思想は危険だ」「現場が混乱する」
そう言われるかもしれません。それでも、この「彫刻」という手法に可能性を感じてくれるなら、ぜひ手にとってください。
具体的な方法論をまとめた禁断の書(ガイドブック)を、Zennで公開しました。
📖 Code is Liability. ── そのコードは資産ではない、負債だ。
https://zenn.dev/uniaevum/books/scralpt-guide
本書の内容:
- 「タスク」という概念を捨て、「カプセル」を管理する方法
- 「書いた量」ではなく「削った量」を評価する人事制度
- 異端のツール(Antigravity / Claude Code)を使ったアトリエの構築
コードを守るために残業するのは、もう終わりにしましょう。
不正解は、コードを書き続けることです。