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技術書は「読む」から「プロンプト」へ。LLM × Obsidian で構築する「対話型」学習フロー

Last updated at Posted at 2025-12-23

「名著と呼ばれる技術書を買ったけれど、難しすぎて途中で止まっている」 「抽象的な概念の説明が頭に入ってこなくて、つい眠くなる」

そんな経験はありませんか? 技術書の積読が増えてしまう本当の原因は、時間がないからではなく、内容を理解するための「エネルギー消費」があまりに激しいからかもしれません。

しかし、生成AI(LLM)を味方につけてから、私にとって読書はもっと「楽しい」体験に変わりました。 一人では読み解くのが難しかった本でも、AIの補助があればスルッと頭に入ってきて、驚くほどスラスラと読み進められるようになったからです。

この記事では、ObsidianPDF++、そしてLLMを組み合わせ、技術書への心理的ハードルを下げ、知識を深く、そして楽しく定着させるためのフローを紹介します。

1. パラダイムシフト:技術書は「読む」から「プロンプト」へ

まず、技術書に対する認識を少し変えてみましょう。

これまでの読書は、著者の思考体系をなぞり、懸命に理解することに主眼が置かれていました。もちろんそれ自体も大切なプロセスですが、LLMがある今、技術書は「LLMへの巨大なプロンプト(コンテキスト)」としても活用できます。

「本を読む」だけでなく、「本をコンテキストとしてLLMと対話する」

このアプローチを取り入れると、読書体験は劇的に変わります。書籍という信頼性の高いデータをLLMに共有することで、あなたの現在の知識レベルに合わせ、最も分かりやすい言葉で解説を引き出すことが可能になるからです。

2. 準備編:環境を整える

① 電子書籍は必ず「PDF」で購入する

Kindleなどのプロプライエタリな形式は避け、可能な限り DRMフリーのPDF を購入してください(O'Reilly、Pragmatic Bookshelf、技術評論社など)。

  • 理由: Obsidian等の外部ツールで直接扱いやすく、テキストデータの抽出やLLMへのアップロードが容易だからです。

② Adobe Acrobat ではなく「Obsidian + PDF++」を使う

PDFリーダーとしてAdobe Acrobatは優秀ですが、「知識の蓄積」を考えた場合、Obsidian + PDF++(コミュニティプラグイン)の組み合わせが圧倒的です。

Obsidianなら「PDFの内容」と「まとめノート」を強固にリンクさせることができます。

機能 Adobe Acrobat Obsidian + PDF++
データの保存先 PDFファイル内部 Markdownファイル
ノートの作成 なし 可能
リンク機能 原則なし 可能
検索性 ファイル単位 ファイル間も横断検索可能

PDF++を使えば、PDFへのハイライトがそのままObsidian内のリンク付きテキストとして扱えるため、知識が「死蔵」されません。

3. 実践編:対話的読書のワークフロー

Step 1: PDF++で「アンカー」を打ち込む

ObsidianでPDFを開き、気になった箇所をPDF++でハイライトし、読書ノートにペーストします。これで「原書への直リンク」が作成されます。

Step 2: バックリンク機能で「概念」を抽出する

重要なキーワードを [[ ]] (ダブルブラケット)で囲み、リンク化します(例: [[カプセル化]])。 これはこのツールの内部リンクを作成する記法です。

コツは「文」ではなく「単語」単位でリンクすることです。 そうすることで、他の書籍で同じ用語が出てきた際にもリンクを繋ぎやすくなり、「あ、この概念はあの本でも言及されていたな」と知識がネットワーク化されていきます。

Step 3: LLMで「対話的」に読む

ここが最重要ポイントです。理解が難しい箇所やコードブロックについて、LLMに投げかけ、対話します。

対話のプロンプト例:

  • 要約: 「このセクションの主張を、実務でのユースケースを交えて3行で要約して」

  • 具体化: 「この抽象的な概念を、TypeScriptのコード例で示して」

  • 批判的思考: 「著者はこう主張しているが、これに対する反論やデメリットは何が考えられる?」

  • 接続: 「この概念は、私が以前学んだクリーンアーキテクチャとどう関係している?」

単に読むのではなく、「質問し、答えさせ、納得する」 プロセスを挟むことで、脳への定着率は段違いに上がります。

専用のAIアシスタントをつくる

ChatGPTの「GPTs」、Claudeの「Projects」、Googleの「Gems」のような機能を使って、PDFを知識として保持させた専用Botを作るとさらに効率的です。
一度作成しておけば、都度PDFを添付したり指示を入力したりする手間が省けます。 準備の面倒くささがなくなることで、対話のハードルがぐっと下がり、気になった瞬間に質問できるようになります。

アシスタントへ保存しておく指示例(クリックして展開)
## 役割
あなたは世界最高峰の技術教育者であり、熟練したエンジニアです。
ユーザーがアップロードした技術書のPDFを基に、その内容を正確に理解させ、さらに実践的な知識へと昇華させるための学習パートナーとして振る舞ってください。

## 基本方針
1. **PDFの内容を最優先する**: 回答は原則としてアップロードされたPDFの記述に基づき、根拠となる箇所を明示してください。
2. **知識の補完**: PDFの記述が断片的であったり、前提知識が省略されている場合は、あなたの持つ一般的知識で補足説明を行ってください。ただし、どこまでが「本の内容」で、どこからが「あなたの補足」かを明確に区別してください。
3. **批判的思考の促進**: 単に要約するだけでなく、「なぜこの技術が使われているのか?」「代替案との違いは何か?」といった、エンジニアリングにおけるトレードオフや背景にある思想(Why)を重視して解説してください。

## 詳細な指示
- **古い情報の指摘**: 書籍の情報が古くなっている場合(例:ライブラリのバージョンアップ、非推奨化)、書籍の内容を尊重しつつも、「現在は〇〇という手法が一般的です」と注釈を入れてください。

4. 統合編:対話を「ノート」にまとめる

対話して理解が深まったら、Obsidian上に章ごとのまとめやTipsのノートを作成しましょう。

LLMが出力するMarkdownは、Obsidianのエディタと互換性があります。LLMの回答をコピペするだけで、フォーマットを崩さずにノートが作れます。

「読む」→「対話する」→「自分だけのWikiを作る」

このフローをObsidianなら一か所で出来ます。

5. 定着編:記憶に焼き付ける仕組み

原書に直接リンクされたノートは、読み返す際にブックマークとして最も役立ちます。
それに加えて、以下のツールで補助することで、より記憶に定着しやすくなります。

フラッシュカード

「深く」読んでも、人間は忘れます。これを防ぐために Spaced Repetitionプラグイン を活用します。

ここでもLLMが活躍します。実践編で作成した専用AIアシスタントに、以下の例のようなプロンプトでフラッシュカードを自動生成させましょう。

プロンプト例(クリックして展開)
理解度を確認するフラッシュカード(問題と解答)を章ごとに3つずつ作成してください。
ツールに読み込ませるため、必ず質問と解答の間に「::」を付与してください。
例:
「ガード節の主な目的は何か?::ネストされた条件分岐を解消し、事前条件を早期に処理して関数から抜けることで、メイン処理の可読性を高め、読み手の認知的負荷を減らすこと。」

生成されたテキストをObsidianに貼るだけで、システムが自動で復習のタイミングを管理してくれます。

Spaced Repetitionプラグイン の使い方: こちらの記事が参考になりました。

音声解説

Obsidianのワークフローとは別の補助的なツールになりますが、「耳からのインプット」を組み合わせるのもおすすめです。ここではNotebookLM が役立ちます。

NotebookLMには、アップロードしたPDFをもとに、2人のAIホストがその内容についてラジオ番組風に対話してくれる機能があります。

  • 予習として聴く : 読む前に全体像(メンタルマップ)を把握しておくと、その後の理解スピードが段違いです

  • ながら聴きで復習 : 通勤や家事の最中など、画面を見られない時間はラジオ感覚で解説を聴きます

さらに応用として、NotebookLMにカスタムプロンプトを入れることで章ごとの解説を作ることも可能です。以下のプロンプトを 普段使っているLLM(ChatGPTやClaudeなど)に入力し、 そこで生成された指示文をNotebookLMの 「音声解説をカスタマイズ」 の入力欄に入力してください。

プロンプト(クリックして展開)
この本を各章ごとにNotebookLMで音声解説させるためのプロンプトを作成してください。
下記のフォーマットで[]の中身を章ごとに置き換えてください。 **全ての章** でそれぞれ出力が必要です。

---

# 焦点となる章
[ ]章: [章のタイトル]

# 焦点
[理解する上で重要なポイントについて一言で書く]

# プロンプト
[この章で書かれている内容についてまとめて、どのように話して欲しいかを200文字程度で記述する]

まとめ

この手法の最大のメリットは、技術書を単なる「静的なテキスト」から、自分専用の「動的な知識ベース」へと昇華できる点にあります。

これまで理解が進まなかった箇所も、技術書自体をプロンプトとして知識のネットワークを育てることができます。

  1. PDF++ で気になった箇所を直感的にハイライトし、リンクを作成

  2. LLM との対話で、難解な概念を「スルッと」 理解

  3. Markdown の親和性を活かして自分だけのノートに 集約

  4. フラッシュカード/音声解説 も活用し記憶に 定着

まとまった時間が取れる年末年始は、この新しい読書フローを試す絶好の実験機会です。
気負わずLLMにメンターになってもらいながら、眠っている本を読み返してみてはどうでしょうか。

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