このAI時代を生き抜く強い人材を増やすために「スタビジ」というメディアや「スタビジアカデミー」というサービスでAIデータサイエンスについて発信しているウマたんです。
AIの勉強をしていると『カーネル法』とか『SVMのカーネルトリック』とか、あるいは『Linuxカーネル』なんて言葉をよく聞きますよね。
でも、“カーネルって何者?”って聞かれると、意外と説明しづらい。
今回は、この“カーネル”という言葉の本質と、
機械学習やコンピュータの世界でどう使われているのかをわかりやすく説明します!
まず、そもそもカーネルとは?
「“カーネル”という言葉は英語で “核”や“中心” を意味します。
つまり『システムやアルゴリズムの“中心部分”』というイメージ。
でも分野によって意味が少し変わります。
コンピュータの世界では:Linuxカーネルなど、OSの中核部分を表します。
一方で、機械学習や数学の世界では:データを別の空間に変換する関数を表します
今回はこの“機械学習におけるカーネル”を中心に話していきます。
カーネルの役割を一言で言うと、
『データを変換して、線形で扱えるようにする』 こと
たとえば、あるデータ群が 以下のグラフのように円形の内側と外側に分離しているとします。

(引用:https://enakai00.hatenablog.com/entry/2017/10/13/145337)
この状態では、この2つのデータ群は直線では分類できません。
でも、カーネル関数を使ってこのデータを“高次元の空間”にマッピングすると、このように円形のデータが“平面”で分けられるようになるんです。

(引用:https://enakai00.hatenablog.com/entry/2017/10/13/145337)
元々2次元だと分離できないように見えたデータ群が、1次元追加して3次元にすることで平面分離できるようになります。
この『高次元空間に変換して扱いやすくする魔法』が、カーネルの本質なんです。」
カーネルはどんな時に使う?
では、このカーネルを使った具体例を見ていきましょう!
「カーネルの代表的な使い方が、**SVM(サポートベクターマシン)**です。
SVMは、データを2つのグループに分けるための“最も広い境界線”を見つけるモデル。
でも、データが線形で分離できないときに困ります。
そこで登場するのが“カーネルトリック”。
カーネルを使うと、実際に高次元に変換しなくても、
“ある特殊な計算だけ”で高次元空間での距離を求めることができます。
つまり、高次元空間を暗黙的に扱うことができるんです。
「最近は“カーネル法”という言葉を聞く機会が減りましたが、
実はディープラーニングの内部でも“カーネル的な考え方”は生きています。
CNN(畳み込みニューラルネットワーク)で使われる“畳み込みカーネル”もその一つ。
画像の一部にカーネルフィルターをかけて、特徴を抽出します。
この場合の“カーネル”は、数学的な変換というよりも
“入力データから特徴を取り出す小さなマトリクス”の意味で使われています。
つまり、“カーネル=データを変換して本質を浮かび上がらせる装置”という共通点があるんです。」
「ちなみに冒頭にも述べた通り“カーネル”という言葉は、
AIだけでなくコンピュータの世界でも使われます。
たとえば“Linuxカーネル”は、
OSの“心臓部”であり、ハードウェアとソフトウェアをつなぐ部分。
つまり、“中心で全体を動かす仕組み”。
これも、機械学習のカーネルと同じように“核となる変換層”なんです。
名前の由来も『核』そのものなんですね。」
まとめ
それでは改めてカーネルについてまとめておきましょう!
・カーネルとは、“核”や“中心”という意味。
・機械学習では、データを高次元空間に変換する関数のこと。
・“カーネルトリック”により、非線形データも線形的に扱える。
・CNNなどの“フィルター”も、広い意味でのカーネル。
・OSのカーネルも“中心で制御する核”という共通点を持つ。
これで、カーネルという言葉が登場しても大丈夫ですね!しっかり頭に入れておきましょう!