こんな人に参考にしてほしい
はじめに
電子帳簿保存法の「電子取引のデータ保存」が2024年から義務化されました。その中で、【規則的なファイル名で保存】 が求められています。(一定要件で緩和できるなどの電子帳簿保存法の説明は省略)
一般的なルールが 「ファイル名を【取引年月日】【取引金額】【取引先名】で保存」 としています。各項目は当該電子取引データの内容です。
この 【規則的なファイル名で保存】は、OCRとAPIで自動化できます。 電子データをOCRで取得し、APIを利用してファイル名を変更します。
今回、OCRはDX Suite、API操作はWorkatoを使って説明します。
OCRとAPIで業務効率化
● DX Suite
DX Suiteは高精度な文字認識技術を持っているOCR製品です。
読取したいファイルをアップロードし、OCRで読取した結果をCSVファイルでダウンロードできます。
DX Suiteは、APIだけでアップロードやダウンロードができます。
「APIだけで」というのは、サンプル画像のようなWebサイトを操作せずに、ネットワーク上で完結するというイメージです。
実現するには、APIを操作しなければいけません。
● Workato
Workatoを使ってDX SuiteのAPIを操作をします。
WorkatoはiPaaS製品に分類されています。iPaaSはAPIを通してソフトウェアの処理や、ソフトウェア同士を繋げたりします。
一連の流れはWorkatoで作成します。
Workatoのレシピといわれるワークフローで、必要なアクションを設定します。今回は、まず4つを設定します。
① New file in on-prem folder
選択したフォルダを定期的に監視して、新しいファイルがあれば、読取ファイルを取得します。トリガー条件(新しいファイル存在有)が満たされたときに以降のアクションが実行されます。
② 読取登録
DX Suiteにファイルアップロードを行います。前工程で取得したファイルをDX Suiteにアップロードし、受付IDを取得します。
③ 非定型の結果取得
読取結果を取得します。前工程の受付IDでDX Suiteに問い合わせて、受付IDに該当する読取結果を取得します。
④ Rename an on-prem file
読取結果から、ファイル名変更を行います。前工程の読取結果を、ファイル名変更の処理に割り当てます。【取引年月日】,【取引金額】,【取引先名】に該当する項目を選択し、ファイル名変更を実施します。
これで【規則的なファイル名で保存】の、Workatoの基本的なレシピは完了です。実際には「③ 非定型の結果取得」で、正しく読取できたか確認するために、繰り返し処理や分岐処理が必要になります。
今回は、トリガー条件の場所をローカルフォルダとしましたが、GoogleドライブやOneDriveなどに設定するのも可能です。
ちなみに、DX Suiteでは適格請求書番号(請求書番号)を取得することもできます。
紹介したWorkato内のDX Suiteアクションは、弊社で作成させて頂きました。今後もどんどんアップデートしていく予定です。
弊社では他にも、DX Suite、Workatoなどの、業務効率化に関する記事を書いています。あわせて参考にしてみてください。
→会社概要と記事一覧はこちら
以下では、OCRとAPIについて簡単に説明します。
OCRとは読み取る技術
OCRとはスキャンされた画像ファイルから、文字などを読み取る技術です。OCR製品によって読み取り方法に違いがあります。
DX Suiteに関しては文字読取に特化しています。
例えば、請求書データを、OCRに通すことで、請求日や請求会社などの、ファイル内の各情報を取得することができます。
DX Suiteの簡単な機能紹介、Workato×DX Suite×Slackの便利な活用方法について書かれた記事があるので、参考にしてみてください。
→Workato×DX Suiteの便利な活用方法について
APIとはソフトウェア同士の道路
APIとはソフトウェアが通信するためのインターフェースやプロトコルのことを指しており、ソフトウェアが情報をやり取りする手段として提供しています。ソフトウェア同士がコミュニケーションをとるための、道路のようなものです。
iPaaSを使うとソフトウェア同士の連携がスムーズになります。
例えば、DX Suiteで読み取った結果を各システムに登録処理を行い、コミュニケーションツールで完了通知するという設計も、iPaaSで可能です。
さきほど紹介した【規則的なファイル名で保存】の、トリガー条件はフォルダを定期的に監視する。と説明しました。
トリガーにも、さまざまな種類があります。トリガーについて書かれた記事があるので参考にしてみてください。
→なんちゃってエンジニアがWorkatoのトリガーについてまとめてみた
終わりに
今回は、電子帳簿保存法の電子取引のデータ保存を焦点にして書きました。参考になれば幸いです。
個人的には、一部の業務プロセスを自動化できたことは、デジタルトランスフォーメーション(DX)の始まりだと考えています。一歩をきっかけに、DXを推進する体制作りも必要だと思います。
推進体制の一つとしてRevenue Operations(レベニューオペレーションズ)というのがあります。説明している記事があるので、会社全体でDX推進していきたいと思っている方は参考にしてみてください。
→Workatoで実現していくRevenue Operations
※「DX Suite」はAI inside 株式会社の登録商標です。