直線の方程式をプログラムで扱う場合、正規化すると便利。
直線の方程式の一般形
$$ax+by+c=0$$
はこの形からわかるように、両辺にゼロ以外の定数を掛けても意味は変わらない。
つまり、
$2x+2y+2=0$ と $4x+4y+4=0$ は同じ直線を表している。
正規化とは、この性質を利用して
直線の方程式の係数 $a,b$ の組のベクトルが単位ベクトル(大きさが1のベクトル)となるように、
$a^2+b^2=1$ となるような $a,b$ を設定すること。
この $a,b$ の組のベクトルは、直線の法線ベクトルでもあるので、直線の法線ベクトルを単位ベクトル化するとも言える。
正規化するには、ベクトル $(a,b)$ の大きさの逆数、
$$\frac{1}{\sqrt{a^2+b^2}}$$
を掛ける(ベクトルの大きさで割る)ことで変形することができる。
【例】直線 3x-2y-4=0 を正規化する。
$a=3, b=-2$ なので、
$$\frac{1}{\sqrt{a^2+b^2}}=\frac{1}{\sqrt{3^2+(-2)^2}}=\frac{1}{\sqrt{13}}$$
よって正規化された直線の方程式は、
$$\frac{3\sqrt{13}}{13}x-\frac{2\sqrt{13}}{13}y-\frac{4\sqrt{13}}{13}=0$$
となる。小数で表すと、
$$0.832050x-0.554700y-1.109400=0$$
正規化された直線の方程式を使って点と直線の距離を求める
直線 $ax+by+c=0$ と点 $P(x_0,y_0)$ との距離を $PH$ とすると、点と直線の距離の公式より、
$$PH=\dfrac{\mid ax_0+by_0+c\mid}{\sqrt{a^2+b^2}}$$
となる。
正規化された直線の方程式を使うと、この公式の分母 $\sqrt{a^2+b^2}$ が 1 となるので、
$$PH=\mid ax_0+by_0+c \mid$$
で求めることができる。
また、原点 $(0,0)$ と直線 $ax+by+c=0$との距離の公式
$$PH=\dfrac{\mid c\mid}{\sqrt{a^2+b^2}}$$
は、正規化された直線の方程式を使うと単に、
$$PH=\mid c \mid$$
です。
正規化された直線の方程式の係数 $c$ の絶対値は、原点 $(0,0)$ からの距離を表している。