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ElixirのGenStageに入門する #1

Last updated at Posted at 2018-04-28

この記事は、「Elixir or Phoenix Advent Calendar 2017」の5日目です。
昨日は @tuchiro さんの「ElixirでSI開発入門 #1 Ectoで悲観的ロック」でした。

fukuoka.ex

twinbeeことenぺだーしと申します。
福岡でfukuoka.exという活動をやっております。

fukuokaex_tuchiro_enpedasi.jpg

先日こちらサイトでfukuoka.exのコアメンバーとして取材を受けました。福岡でのElixirのコミュニティー活動に興味がある方は是非ご覧ください。

FlowとGenStage

ElixirにはFlowという並列ストリームを直観的に使えるライブラリがありますが、本格的に使おうとすると、GenStageの知識が必用になってきます。名前の通りStageがどういうものかも直観的に理解ができます。

Flowの簡潔さに比べて、GenStageのコードは一見わかりにくいのですが、定義の一つ一つは簡単です。JavaやC#、Javascriptなどオブジェクト指向から入ってこられた方は、Behaiviorのコールバック実装が継承クラスのメソッド実装に似ているので、こちらのほうが馴染みやすいかもしれません。

公式ドキュメントを元にGenStageに入門してみましょう。

まずはプロジェクトを作成します。

 # mix new gentest
 # cd gentest
mix.exs
  defp deps do
    [
      {:gen_stage, "~> 0.13.1"} # 追加
    ]
 # mix deps.get

実装の手順

サンプルプログラムは、数字をカウントしながら無限にリストを流すという内容です。
最後のほうにアニメーションGIFがありますので、そちらをご覧になるとイメージが掴めると思います。
今回出来上がったプログラムはA,B,Cはそれぞれ並列ですが、各工程はシングルプロセスで動作します。

ステージには3種類のタイプがあります。
ストリームの入り口から消費先まで、3段階のステージが分かれています。

A) Producer ストリーム発生元(生産者・供給者)
B) Producer-Consumer 中間加工(生産者-消費者)
C) Consumer 結果 (消費者)

今回の例では以下の流れで実装していきます。
1.上記ABCそれぞれに、コールバックを設置する。
2.ABCの購読(配管)を行う。

「ABCの各ステージを作って購読(配管)すれば、勝手にストリームが流れ出す!」それがGenStageです。(GenStageの一部です)


各モジュールの実装

以下ABCモジュールは同一ファイルに書いてもOKです。lib\gen.ex等適宜ファイルを作成してコードを書いて(コピペして)いきましょう。

Aモジュール (Producer)

defmodule直後のuse句はマクロ使用の予約語でGenStageはマクロを利用した言語拡張で書かれていることがわかります。

モジュール内の下記関数はコールバックなので、手動で呼び出すことはなく、処理の流れの中でイベントを受け取った際に勝手に実行されます。

  • init ステージのタイプ:producerの宣言、カウンター初期値を設定しています。
  • handle_demand
    引数のdemandは要求数、counterは現在値です。現在値~{現在値+要求数)のリストを作って次のタプルを返します。
{ :noreply, 結果のリスト, 次回の開始値 }

ソースを見ると一目瞭然なので、解説読むほうがしんどいかもしれませんね。

生産者なのに、需要であるdemandが引数になってるのがポイントですが、何か変だな?と感じた方は鋭いです! それは次回に解説します。

A
defmodule A do
  use GenStage #「このモジュールはGenStageとして使用する」宣言

  def start_link(number) do
    GenStage.start_link(A, number) # 本モジュールをプロセスに登録
  end

  def init(counter) do
    {:producer, counter}           # "生産者"宣言
  end

  def handle_demand(demand, counter) when demand > 0 do
    events = Enum.to_list(counter..counter+demand-1) #リストを作成
    {:noreply, events, counter + demand}
  end
end

形式的には、終始この形で下記3種のコールバックを書いていく流れとなります。
これ以上難しいものは、もう出てきません。

  • start_link … モジュールをプロセスとして起動する際に呼び出されるコールバック
  • init … 初期化コールバック
  • handle_events / handle_demand … データの受取、需要発生時のコールバック

Bモジュール (producer-consumer)

ステージAから送られてきたデータに、numberを掛けて次のステージに流す中間加工所です

  • initで生産者-消費者タイプを登録
  • handle_eventsで、リストの各要素にnumberを掛け合わせます。
B
defmodule B do
  use GenStage

  def start_link(number) do
    GenStage.start_link(B, number) # 本モジュールをプロセスとして登録
  end

  def init(number) do
    {:producer_consumer, number} # 中間加工業者 宣言
  end

  def handle_events(events, _from, number) do # データ受取った時にする仕事を宣言
    events = Enum.map(events, & &1 * number)  # 加工処理の本体 
    {:noreply, events, number}                # 次の工程へ
  end
end

Cモジュール(cosumer)

initで消費者タイプを登録
handle_eventsで、1秒ごとに前のステージBから送られてきたリストを表示します

C
defmodule C do
  use GenStage

  def start_link() do
    GenStage.start_link(C, :ok)
  end

  def init(:ok) do
    {:consumer, :the_state_does_not_matter} # "消費者" 宣言
  end

  def handle_events(events, _from, state) do
    Process.sleep(1000)   # 1秒待つ
    IO.inspect(events)    # リストを表示
    {:noreply, [], state} # 消費者なので、次のステージに渡すリスト(events)はなし
  end
end

購読(配管)

ここも、解説することがないぐらいシンプルです。
前半3行でABCそれぞれのプロセスを引数を与えて起動、後半2行で各ステージの購読先を登録。

これだけです。

{:ok, a} = A.start_link(0)  # 0から始めます
{:ok, b} = B.start_link(2)  # 2を掛けます
{:ok, c} = C.start_link()   # 状態は不要

GenStage.sync_subscribe(c, to: b)
GenStage.sync_subscribe(b, to: a)

5行目を書き終えたら、配管が完成するのでストリームが流れ出します。

gen_stage1.gif

1秒ごとに、2倍されたカウンターのリストが表示されると思います。(gifは0.5秒)
永遠に流れ続けるので、Ctrl+Cで適当に終わってくだい。

サンプルを動かすと、どういうものか一目瞭然だと思います。


次回予告

お疲れ様でした!
次回はElixirのGenStageに入門する#2 バックプレッシャーを理解するになります。

明日はzacky1972さんによる
ZEAM開発ログv0.1.0 Flow / GenStage による並列プログラミング入門です。

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