はじめに
実際にデータが登録されたり、画面に一覧が出たりすると、
「よし、これで完成だ」と思ってしまいがちです。
でも本番で使われるサービスにおいては、
「動く」ことと「耐えられる」ことはまったく別の話です。
この記事では、初心者が見落としがちな「負荷テスト」の重要性と、
日常の開発の中でできる意識づけのポイントについてまとめました。
負荷テストの大切さと意識付けについて
最近、開発を進めていく中で感じたのが「負荷テストって大事だな」ということです。
機能が動くことに集中しているときほど、つい忘れがちですが、サービスを長く安定して動かすためには 「どれくらいの負荷に耐えられるか」 を意識することが欠かせません。
「動く」と「耐えられる」はまったく別の話
開発中はテストデータが少なく、APIも軽くてサクサク動きます。
そのため、「動いている=問題ない」と思ってしまいがちです。
しかし、実際の運用ではデータがどんどん増え、アクセスも集中します。
そのときに初めて、「思ったより遅い」「処理が詰まる」 と気づくことがあります。
この問題は、開発中に気づけるかどうか で大きく結果が変わります。
なぜ負荷テストを意識すべきなのか
負荷テストを行う目的は、単に数字を出すことではありません。
最終的には、サービスを安定して気持ちよく動かせる状態を作るため です。
たとえば、以下のようなトラブルを事前に防ぐことができます。
- データが増えた途端、一覧APIが数秒かかるようになる
- ユーザーアクセスが集中してDB接続が枯渇する
- キャッシュを入れても思ったほど効果が出ない
- 想定外の処理がボトルネックになっていた
こうした問題をリリース後に気づくと、対応はどうしても後手になります。
トラブルが起きてから修正に追われると、開発側も利用者側もストレスが大きいです。
逆に、事前にボトルネックを見つけて対策できていれば、リリース後に「安定して動いているね」と言われる瞬間が増え、開発者もお客さんも気分よくプロジェクトを進められます。
つまり、負荷テストは単なる「確認作業」ではなく、
チームやお客さんが安心してリリースを迎えられるための準備でもあります。
ツールを使わなくても「負荷の意識」は持てる
「Locust」や「k6」といった負荷テストツールを使うのが理想ですが、
初心者や小規模チームの場合、そこまで手が回らないこともあると思います。
そんなときでも、「本番を想定したデータ量で動かしてみる」 だけでも大きな意味があります。
たとえば:
- テストデータを1件ではなく、1000件・1万件登録して動かしてみる
- 一覧ページや検索APIのレスポンス時間を簡単に計測してみる
- 想定ユーザー数分のリクエストを並行で送ってみる
これだけでも、「あれ、ちょっと遅いな」という気づきが得られます。
そして、事前に気づくことこそが改善の第一歩だと思います。
開発段階からできる小さな工夫
-
本番を意識したデータ量でテストする
→ 開発環境でもできるだけ「多めのデータ」で確認してみる。 -
レスポンス時間をログに出す
→ どの処理が遅いのかを定量的に把握できる。 -
JOIN・集約・ソートなど重い処理に注意
→ 開発初期に気づけば、設計レベルでの改善も可能。
まとめ
負荷テストは、単なる技術的な作業ではなく「開発の心構え」だと考えております。
まずは「本番ではデータもアクセスももっと多いはず」という意識を持つこと。
それだけでも設計や実装の丁寧さが変わってきます。
小さなテストでもいい、意識するだけでもいい。
その積み重ねが、安定したサービスと信頼につながると思います。
“動く” だけでなく “耐えられる” サービスをつくる。
これが、開発者として一歩成長するための大切な視点だと感じました。