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Raspberry PIで量子コンピューターをシミュレーションする(blueqat環境構築編)

Last updated at Posted at 2020-07-30

:atom: この記事の目的

現代のコンピューターの性能を凌ぐと期待されている量子コンピューター。
ハード面ではまだまだ技術的な問題があります(令和2年現在)が、いずれこれらの課題が解消され、実用的な段階に入ることが望まれています。

量子コンピューターの実機は量子力学などの物理法則に従って挙動を示しますが、この挙動を現代のコンピューター(古典コンピューターとも呼びます)の上で仮想的に実現したものをシミュレータと呼びます(シミュレータは一般用語ですが)。

この記事では、持ち運びにも便利なシングルボードコンピューターのラズベリーパイ(Raspberry PI)を使って、量子コンピューティング・シミュレータを作ってみたいと思います。

:atom: 量子コンピューティング・シミュレータ ソフトウェア「blueqat」

量子コンピューティング・シミュレータを実現するソフトウェアとして、日本では、blueqat株式会社(旧称、MDR株式会社)からオープンソースの blueqat がリリースされています。blueqatは”ブルーキャット”と発音します。(マンガに出てくる、日本の超スーパーコンピュータを備えた青色の猫型ロボットが名前の由来だそうです)

blueqat:オープンソース量子コンピューティングプラットフォーム
https://blueqat.com/?hl=ja

blueqatの特徴は、直感的に扱いやすい上に、アニーリング方式やゲート方式の計算ロジックを備えた多機能性で、世界的にも人気のソフトウェアです。

また、blueqatはPython言語で書かれており、動作するにはPythonの環境が必要です。

:atom: Pythonのバージョン確認とインストール

今回は以下の内容でRaspberry PIを用意しました。

■Raspberry PI スペック
(令和2年7月時点)

Raspberry PI バージョン:Raspberry PI 4 Model B (8GB)
OSバージョン:Linux raspberrypi 4.19.97-v7l
Pythonバージョン:Python 3.7.3
Micro SDカード容量:16GB

Raspberry PIのインストールでは、本家サイトからNOOBS v3.3.1を取得し、Micro SDカード上に展開、その後Raspberry PIを起動しインストールを進めました。

インストール完了後、プロンプト画面(LXTerminal)を起動し、Pythonのコマンド python -V を実行しPythonのバージョンを確認します。
image.png

標準設定でpythonコマンドはPython2を指定していました。
続いて python3 -V とコマンドを実行してみます。
image.png

当マシンの標準設定では、Python3はコマンドpython3で実行される設定のようです。
では、blueqatをインストールします。

pip install blueqat

image.png

blueqatをインストールする際にいくつかのエラーが出ましたので以下にまとめました。以下の「インストール時のトラブルシューティング」をご参照下さい。

インストールが終わりましたら、「インストール後の動作確認」へ進んで下さい。

:atom: インストール時のトラブルシューティング

blueqatをインストールする際にいくつかのエラーが出ましたので以下にまとめました。

①pipインストールエラーの対応

pip installを実行すると、以下のエラーが出ます。
image.png

これは、システムにpipモジュールが無いためにおこるエラーです。
以下のコマンドでpipモジュールをインストールして下さい。

curl https://bootstrap.pypa.io/get-pip.py -o get-pip.py

以下はコマンド実行後の様子です。
image.png
モジュール取得後、以下でインストール
sudo python get-pip.py

②pythonコマンドのエラーの対応

Pythonのバージョン確認を行った際に、システムの標準設定ではPython2を指定していました。blueqatのインストール処理内部で「python ...」コマンドが実行されるため、pythonコマンドがPython3を指すようにシステムの修正が必要です。
image.png

以下のコマンドで修正を行って下さい。

sudo ln -sf /usr/bin/python3 /usr/bin/python
※強制実行オプション"f"が付いているので実行の際はご注意下さい。

修正後は、python -V コマンドでPython3が指定されていることを確認できます。
image.png

③scipyモジュールインストールエラーの対応

内部的にscipyモジュールをインストールする際に、いくつかの補助モジュールが不足しているために生じるエラーです。
image.png

以下の2つのコマンドを予め実行して下さい。
sudo apt-get install libatlas-base-dev
sudo apt-get install gfortran libopenblas-dev liblapack-dev

:atom: インストール後の動作確認

以下を実行し、念のためblueqatが正常に動作することを確認して下さい。

①バージョンの確認

pip list | grep blueqat
バージョンが表示されればOKです。
(以下は令和2年7月現在)
image.png

②importのテスト

python対話モードで以下を実行して下さい。
from blueqat import Circuit
エラーが出なければOKです。
image.png

③量子演算のテスト
Hゲート(アダマールゲート)を作用させてみます。
Circuit().h[0].run()
image.png

動作に問題無ければこれで終了です。

:atom: 関連情報

■Blueqatで簡単な頂点被覆問題を解く
https://qiita.com/ttlabo/items/b4ab222ef9c5ee99233c

■Blueqatでナップサック問題を解く一例
https://qiita.com/ttlabo/items/537564c90056a6d56879

:atom: ご意見など

ご意見、間違い訂正などございましたらお寄せ下さい。

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