管理職の役割
1年はあっという間に過ぎる。
楽しく働いている組織には敵わない。
楽しければ、何も言わずともメンバーは主体的に業務を行う。
では、「楽しい」に管理職はどのような貢献ができるのか?
- メンバーを褒めれば良いのか?
- 高い賞与を与えれば良いのか?
私自身、この1年を通して悩みながら、メンバーに伝えてきたことを振り返る。
以下は、この1年間の毎月の全体ミーティングで伝えた内容をまとめたものである。
※会社名やお客様名が分かる部分、具体的な記載は表現を変更しています。
2024年12月
1. 2025年に向けて
- 各自、「新しい体験」を自ら計画して実施してください。
毎年「新しい体験」を行うことで、自分の枠や範囲を少しずつ広げていきましょう。
2. サーベイ結果の共有および対応方針
リーダー以上
- 人への言い方・話し方に気を付ける
⇒ リーダー同士で相互チェックを行う - 管理職同士のコミュニケーションを強化する
⇒ 対面でのコミュニケーション機会を設ける - 新人教育の見える化、タスクの細分化
⇒ ナレッジとしてまとめる - メンバーの将来的なキャリア育成をサポートする
⇒ 1on1で実施 - 運用効率化のためのシステム拡充
⇒ システム開発の見える化を進める
全メンバー
- 未来に関わる意識を持つ
- 各自が新しい取り組みや情報を組織にフィードバックする
3. 主体性と楽しさの関係
- 自分が主体的に関わることで、仕事はより楽しくなる
- 主体的に動くことで、仕事の効率も高まる
- 結果として「楽しさ」に繋がる
このように、管理職として「楽しさ」を生み出すためには、
メンバーが自ら考え、動ける環境を整えることが重要である。
2025年1月
1. 2025年のミッションの共有
「質の高いサービスを顧客に提供し続け、社会に貢献し続ける。」
2. ミッションを踏まえたグループディスカッション
- 「質の高いサービス」とは何か?
- 「続ける」ために必要なことは何か?
ディスカッションの目的は、ミッションを各自が腹落ちさせ、見える化すること。
2025年2月
1. ミッションに関するディスカッション結果の発表
- 各チームがグループディスカッションの最終合意内容を発表。
2. 具体的な計画業務の共有および個人の業務目標設定
- チーム発表を踏まえ、個人の業務目標を設定する。
2025年3月
1. リーダー以上の対面打合せを踏まえた共有
「運用」の意識について
- その日のインシデント対応などは主体的に頑張る。
- ただし、主体的とは「1人で頑張る」ことではない。
⇒ 他メンバーに頼ることも主体的な行動である。 - 翌日以降の対応はナレッジ化し、見える化して引き継ぐ。
具体例:
打合せや作業中に、メール・チャット・問い合わせ・アラームなどへ
すぐに反応できない状況がある場合は、
「朝会でメンバーに伝える」など、事前または都度の声掛けをお願いします。
2. 全社最適のための他部門調整
- 他部門との調整を行う際は、状況を管理職にも共有してください。
- 他部門のマインド(考え方・役割など)の差分は、短期的には埋まりません。
そのような状況になった場合は、管理職が引き取ります。
上記を踏まえ、管理職が対応した具体的な他部門調整の実務例を共有。
2025年4月
1. 自分たちのサービスを知ることから始めよう
-
トラブルやお客様からの問い合わせを「機会」として、仕様書・約款・契約書を確認する。
⇒ 元となる情報を知ることが第一歩。 -
仕様に記載がない部分でも、利用者に評価されている要素(メンテナンス連絡やお客様対応など)がある。
ただし、仕様書にない部分は他サービスとの比較が難しい。 -
自分たちが自社サービスの「違い」を理解し、その上で営業部・企画部にも共有する。
-
「強み」は、他事業者の状況を知らなければ自分たちでは分からない。
⇒ 同業他社のやり方をヒアリングし、良いと感じた部分は社内でも提案できると良い。
2. 運用中機器作業の共有について
-
どのような作業でも「組織」に共有をお願いします。(監視系作業も含む)
ユーザーへの影響の有無に関わらず、共有は必須です。 -
作業によって管理の程度(Excelでの管理、システムでの管理など)に違いはありますが、
「共有」は必ず実施すること。 -
「何となく」の判断で個人が作業を実施しない。
また、「何となく」実施した作業で不具合が発生した場合、
「自分で解決しなければ」と抱え込まないようにする。
⇒ 結果的に泥沼にはまり、多くの人に迷惑をかけることになる。
2025年5月
1. 在宅勤務と出社勤務について
-
出社の第一の目的は「運用」にある。
この「運用」を踏まえ、出社と在宅の交互勤務を実施している。 -
「サービス運用」「設備運用」など、24時間365日の対応を1人で行うことはできない。
⇒ これはメンバーシップ型の業務である。 -
一方、ジョブ型とは、特定業務に特化した人材がその業務だけに携わる働き方を指す。
-
引き続き「5割以上の出社」を基本とする。
※現時点では厳密なカウントは行わない。
※自己都合で在宅が増える場合は、評価(他者との比較)に影響する可能性がある。
2. 出社によるチーム成果の向上
- 出社により、個人の「成果」だけでなく、チームとしての「成果」も高めていく。
具体例:
困っているメンバーに気づき、サポートする。
そのサポートにより、組織全体の対応時間が短縮され、
サポートした側も含めてお客様の課題を正確に把握し、自信を持って対応できるようになる。
-
運用としてサポートしている人を正当に評価する。
※評価者も、日頃から工夫をしながらメンバーの業務を把握し、評価を行う。 -
また、評価者は「成果」だけでなく、「過程」も評価する。
⇒従来の仕事の形態に加えて、在宅(テレワーク)という手段が追加されたと考える。
2025年6月
1. 部門内の他グループへのインターン制度
- 部内の開発人材育成の一つの方法として、
「誰でもちょっとした開発ができる!」未来を目指す。 - 人事異動ではなく、期間限定の業務実施として行う。
参加条件
- とにかく何かをシステム開発したい人
- 期間中、自分の業務を他メンバーに引き継ぐこと
- 開発する案件があること
- 開発案件ごとに条件を設定(情熱があれば柔軟に判断)
例:
- Linux操作ができる
- Djangoの概要を把握している など
2. システム開発の流れ
- システム開発のための最低限の作法や開発プラットフォーム(CICD)を理解する
- 必要なアウトプットをシステム開発する(必要に応じて社外サポートと連携)
補足
- 受け入れ側のグループとして、ある程度業務に余裕があり、人を動かせることが前提。
- 複数人同時には実施しない。
- 希望者はいつでもマネージャーに相談してください。
2025年7月
1. サービスレベルと強み
- 私たちのサービスレベルが「強み」を生み出している。
- 「強み」はサービスを利用するお客様だけでなく、サービスを提供する私たちにとっても欠かせないもの。
強みは「後天的」に作られる。
⇒ 結果的に「強み」が分かる。
2. 価格と競争の関係
- 価格設定は、当初は他社の価格をベースに競争力のある定価を設定する。
- しかし、後発サービスの登場により価格の優位性は失われる。
- 価格競争を続ける場合、企業の体力勝負になる。
3. 「価格以外」の差別化
- サービスを提供し続ける中で、他社との違いが見えてくる。
- 継続的な提供により、お客様の求めること(フィードバック)が聞こえてくる。
- 弱みは強みにもなり、逆もまた然り。
4. 強みの本質
- この「強み」はお客様のためだけでなく、サービス提供者である私たち自身のためでもある。
- 他社と異なる「強み」が、サービス提供者自身のモチベーションとなる。
5. 運用部門の役割とバランス
- 運用部門が自信をもって運用することで、会社全体の各部門がバランスよく存在できる。
⇒ 会社が良い状態を維持できる。 - 「営業が強い」「企画が強い」ではなく、全部門が対等に存在する状態が理想。
6. 保守的にならないために
- 「運用」を盾に保守的になるのは避けるべき。
⇒ 目的と手段を取り違えたときに発生する。 - どんなに品質が高くても、お客様のニーズに応えることが最優先。
- 変化し続けなければ会社として存続できない!
- 強みを活かし続けることが出来れば良いが、変化する中で、強みも変わっていく場合もある。
2025年8月
1. 他社の最近の変化
- 他社の動向や変化を常に意識し、自社の取り組みとの違いを把握する。
2. 「しやすい」を考えて仕事をする
- 5年後のメンバーが困らないように、「しやすい」仕事を意識する。
例:
- 保守しやすい
- 開発しやすい
- 引き継ぎしやすい
3. 「目的」を考える
- 仕事を進める際は、常に「目的」を意識する。
- 例えば、「目的」を考えて「分け方」を決める。
⇒ 目的によって、最適な分け方は変わる。 - あえて「分けない」(まとめた方が良い)という判断もある。
2025年9月
1. コスト意識について
-
コストに対して鈍感にならないよう注意する。
-
技術部門としては売値を決める立場ではないが(売値を決めるのは営業や企画)、
売値を意識し、疑問があれば積極的に確認する。 -
大まかでも構わないので、サービスに関する「お金の流れ」や「現状」を把握しておく。
2025年10月
1. 会社全体の運用を知る
-
それぞれの部門が「運用」のために努力している。
⇒ 「自部門だけが大変」というわけではない。 -
現状では、部門ごとの体制の違いや、個人が頑張らざるを得ない状況もある。
-
今後、売上を拡大していく中で、個人に依存した運用では継続できない。
-
サービス品質を落とさず、メンバーの業務負荷を下げることを追求し続ける必要がある。
2024年11月
1. 最近のセキュリティ事情の共有(SecurityDays)
SecurityDaysとは?
- 官公庁の講演もあるが、企業の売り込み要素が強いイベント。
- 個人的には「セキュリティの定点観測」として参加している。
2. AIとセキュリティの関係の変遷
- 2016年:マルウェア対策として「AI」活用の記載あり(当時は「人工知能」と呼ばれ、第三次ブーム)
- 2023年:「AI」が再登場(第四次ブーム、現在の生成AI)
3. SecurityDaysでのトピック
- 本気の標的型メール攻撃は防げない!
- 2025年から標的型メール攻撃が異常に増加(2024年比で倍以上)
- 増加した攻撃のうち、約80%が日本への攻撃
4. 攻撃の変化と背景
- これまで日本は「日本語」という言語の壁によって守られていた。
- しかし、生成AIの登場により、日本語の壁がなくなった。
⇒ 攻撃の精度が上がり、被害が急増。
対応の基本姿勢:
「やばい!」と思ったら、すぐに全体へ共有する。
5. 最近の身近なセキュリティインシデント
(標的型メール攻撃とは無関係のものも含む)
- ランサムウェアによる影響
- アサヒビール(9月)
- アスクル(10月)
ランサムウェアグループ例:
- Qilin
- Kawa4096
これらのグループは日本を主な標的としているという報告もある。
6. 攻撃者の変化
- 攻撃者グループが統合され、無差別攻撃が発生している。
- 以前は「医療機関は狙わない」などのルールを持つグループも存在したが、
現在はそのような制限がなくなっている。
7. テクノロジーの両面性
- 便利なテクノロジーは、悪意のある人にも利用される。
- そして、悪意のある人の方が上手に使う傾向がある。
8. サービス運用における意識
- サービス運用はプロとして自信をもってお客様に接する。
- しかし、サイバー攻撃に関しては、
**「既にやられているかもしれない」**という前提で対応することが重要。