8
5

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

Spotipy: PythonでSpotify Web API を利用する

Last updated at Posted at 2024-03-19

Spotipy: PythonでSpotify Web API を利用する

1. はじめに

Spotifyは、楽曲のメタデータの取得、レコメンデーションの取得、プレイリストの作成と管理などを可能にする、Spotify Web APIを公開しています。

Spotipyは、このSpotify Web APIをPythonから利用するためのライブラリです。
Spotipyを活用することで、Pythonスクリプトから、以下に示すような機能を使用できます。

公式ドキュメントはこちら

主な機能

  • ユーザー認証: OAuth 2.0をサポートし、ユーザー認証を実行。
  • データアクセス: アーティスト、アルバム、トラックに関する詳細情報の取得や、ユーザーのプレイリスト操作。
  • 検索機能: 曲名、アーティスト名、アルバム名による検索。
  • プレイリスト管理: ユーザーのプレイリストの作成、更新、削除。

2. インストール方法

2-0. Spotify Web APIのクライアントID、クライアントシークレットの取得

Spotipyを使用するには、まずSpotify Developer Dashboardでアプリを登録し、
クライアントIDクライアントシークレットを取得する必要があります。

取得方法については、公式ドキュメントなどを参考にしてください。
また、日本語の解説記事も多くありますので、ここでの説明は割愛します。

2-1. 環境変数への設定

前節のクライアントIDとクライアントシークレットが取得できたら、それらを環境変数へ設定します。
APIのアクセストークン等はスクリプト内にベタ書きするのはよくないので、ここでは環境変数に設定しています。

なお、Spotipyでは以下の変数名で格納しておくと、(後述しますが)認証の際にクライアントIDと
クライアントシークレットを明示的に引数として渡す必要がないため、便利です。

export SPOTIPY_CLIENT_ID='your-spotify-client-id'
export SPOTIPY_CLIENT_SECRET='your-spotify-client-secret'

2-2. Spotipyのインストール

Spotipyはpipを使用して簡単にインストールできます。

pip install spotipy

2-3. 基本的な使い方

認証後に、あるトラックの情報を取得する例です。

import spotipy
from spotipy.oauth2 import SpotifyClientCredentials

# Spotifyの認証情報
client_credentials_manager = SpotifyClientCredentials(client_id='Your_Client_ID', client_secret='Your_Client_Secret')
sp = spotipy.Spotify(client_credentials_manager=client_credentials_manager)

# トラック情報の取得
track = sp.track('spotify:track:4cluDES4hQEUhmXj6TXkSo')
print(track)
  • 上の例では、SpotifyClientCredentials()にクライアントIDとクライアントシークレットを渡していますが、前述のSPOTIPY_CLIENT_IDおよびSPOTIPY_CLIENT_SECRETを設定することで、引数にこれらを渡さなくても認証ができます。
  • トラックIDとして、4cluDES4hQEUhmXj6TXkSo という記号列を渡していますが、これは、Spotify デスクトップアプリのシェアリンクから取得できます。また、spotify:track:track_idという形式で渡していますが、以下の形式に対応しています。

3. サポートされているモジュール・メソッド

主に以下2つのモジュールが提供されています。

モジュール名 概要
client モジュール 楽曲検索等、データ取得全般をサポートする。メインで使用するのはこっち。
oauth2 モジュール ユーザのプレイリスト取得等、認証周りの機能をサポートする。

3-1. clientモジュール

clientモジュールで実装されているメソッドを紹介します。

アルバム情報

メソッド名 概要
album 指定したアルバムIDに関する情報を取得する。
album_tracks 指定したアルバムIDに含まれるトラックのリストを取得する。
albums 複数のアルバムIDに基づいて、アルバム情報を取得する。
new_releases 新しくリリースされたアルバムの情報を取得する。

アーティスト情報

メソッド名 概要
artist 指定したアーティストIDに関する情報を取得する。
artist_albums 指定したアーティストIDのアルバムを取得する。
artist_top_tracks 指定したアーティストIDのトップトラックを取得する。
artist_related_artists 指定したアーティストIDに関連するアーティストを取得する。
artists 複数のアーティストIDに関する情報を取得する。

トラック情報

メソッド名 概要
audio_analysis 指定したトラックIDのオーディオ詳細情報を取得する。1トラックに対してさらに細かい単位で、属性値が決まるイメージ。例: 小節ごとの長さ
audio_features 指定したトラックIDのオーディオ属性情報を取得する。1トラックに対して1つ属性値が決まるイメージ。例: 曲の長さ
track 指定したトラックIDに関する情報を取得する。
tracks 複数のトラックIDに基づいて、トラック情報を取得する。

カテゴリ情報

メソッド名 概要
categories 利用可能なカテゴリのリストを取得する。
category_playlists 特定のカテゴリに属するプレイリストを取得する。

プレイリスト情報

メソッド名 概要
featured_playlists Spotifyが提供するプレイリストを取得する。
playlist 指定したプレイリストからプレイリストの情報を取得する。
playlist_add_items 指定したプレイリストにトラック/エピソードを追加する。
playlist_change_details 指定したプレイリストの詳細情報を変更する。
playlist_cover_image 指定したプレイリストのカバー画像を取得する。
playlist_items 指定したプレイリスト内のトラック/エピソードを取得する。
playlist_upload_cover_image 指定したプレイリストのカバー画像を変更する。
user_playlist_create 新しいプレイリストを作成する。
user_playlist_remove_all_occurrences_of_tracks 指定したプレイリストから指定したすべてのトラックを削除する。
user_playlist_remove_specific_occurrences_of_tracks 指定したプレイリストから指定したトラックの特定の出現位置(再生順序)を削除する。
user_playlist_replace_tracks 指定したプレイリストのトラックを置き換える。
user_playlist_reorder_tracks 指定したプレイリストID内のトラックの順序を変更する。
user_playlist_tracks ユーザーのプレイリストに含まれるトラックを取得する。
user_playlists 特定のユーザーのプレイリストを取得する。

再生

メソッド名 概要
device ユーザーの利用可能なデバイスを取得する。
repeat 再生中のトラックのリピートモードを設定する。
shuffle 再生中のトラックのシャッフルモードを設定する。
volume 再生中のデバイスの音量を設定する。
pause_playback 再生中のコンテンツを止める。
previous_track 再生中のトラックを前のトラックへ戻す。
queue 再生キューを取得する。
next_track 再生中のトラックを次のトラックへ進める。

ユーザ情報

メソッド名 概要
current_playback 自分の現在の再生情報を取得する。
current_user 自分のアカウント情報を取得する。meメソッドへのエイリアス。
current_user_follow_playlist プレイリストをフォローする。
current_user_followed_artists 自分がフォローしているアーティストを取得する。
current_user_unfollow_playlist プレイリストをアンフォローする。
current_user_playlists 自分ののプレイリスト一覧を取得する。
current_user_saved_albums ユーザーが保存したアルバムを取得する。
current_user_saved_tracks ユーザーが保存したトラックを取得する。
current_user_top_artists ユーザーのトップアーティストを取得する。
current_user_top_tracks ユーザーのトップトラックを取得する。
me ユーザーのアカウント情報を取得する。

検索 & レコメンド

メソッド名 概要
next ページネーションをサポートするため、次の結果セットを取得する。
previous ページネーションをサポートするため、前の結果セットを取得する。
search Spotifyのカタログでトラック、アーティスト、アルバム、プレイリストを検索する。
recommendations 指定した情報に基づくレコメンデーションを取得する。

3-2. oauthモジュール

oauth2モジュールで実装されているクラスを紹介します。主に認証まわりで利用するクラスが実装されています。

メソッド名 概要
SpotifyOAuth クライアント認証フローをサポートするクラス。クライアントID、クライアントシークレット、リダイレクトURIなどを引数に取る。
SpotifyClientCredentials 認証コードフローをサポートするクラス。クライアントID、クライアントシークレットなどを引数に取る。
SpotifyImplicitGrant 暗黙的な認証をサポートするクラス。ブラウザベースのアプリケーション向けに設計されており、クライアントシークレットを必要としない。

4. 認証フローについて

これまで明示的にユーザ認証について扱っていませんでしたが、認証周りについて本節で扱いたいと思います。
はじめに、上記すべてのクラス、メソッドを使用するには、ユーザ認証が必要となります。
Spotipyでは主に二つの認証フローをサポートしています。他にも、"PKCE Authorization Flow" や "Implicit Grant Flow"
という認証についてもサポートされているようですが、筆者がこの辺り詳しくないこともあり、ここでは割愛します。

認証コードフロー

  • ユーザーが一度ログインする長期間実行されるようなアプリケーション向き。ユーザーに代わって、プレイリストの操作等行う必要がある場合に使用する。
  • spotipy.oauth2.SpotifyClientCredentialsクラスを使用する。
  • リダイレクトURI (SPOTIPY_REDIRECT_URI) を設定する必要がある。Spotify Web APIのMy Dashboardから設定できる
  • 取得するデータに応じて、適切なスコープを設定して利用する。指定可能なスコープはこちら。スコープを適切に定義しないと ERROR 401 Unauthorized, permission missing が発生する可能性がある。

クライアント認証フロー

  • ユーザ情報の取得を伴わないアプリケーション向き。そのため、認証コードフローに比べ、取得可能なデータの範囲は小さい。
  • spotipy.oauth2.SpotifyOAuthクラスを使用する。
  • リダイレクトURI (SPOTIPY_REDIRECT_URI) を設定する必要がない。つまり、ブラウザのサインインページへリダイレクトされることはない。
8
5
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
8
5

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?